摂食障害の症状は食欲不振症(AN)と過食症(BN)で全く異なります

摂食障害の症状は食欲不振症(AN)と過食症(BN)で全く異なります

摂食障害は、神経性食欲不振症と神経性過食症の二つに分けることができます。ここでは、それぞれの精神症状と行動的な特徴、また、身体症状についてみていきましょう。

 

神経性食欲不振症(AN)

神経性食欲不振症(神経性無食欲症、いわゆる拒食症)は「ボディイメージの障害」と考えられています。AN(拒食症)は、大きくは節食や絶食と過剰な運動をする「制限型」と過食と嘔吐を繰り返す「むちゃ食い/排出型」と呼ばれるタイプの二つです。

精神症状

AN(拒食症)の人に多くみられる精神症状は不安や強迫症状などです。これらの症状には摂食障害の患者さんの完璧主義や頑固さ、ゼロか100かの考え方なども関係していると考えられます。
さらに、このような性格傾向が体重へのこだわりを強め、過度な食事制限につながっていることが少なくありません。

また、体型に対するこだわりは肥満恐怖として現れることもあり、骨が浮き上がるほどやせている状態でも「太っている」という人もいます。さらに、体重や体型によって自己評価が大きく左右されて「太っている自分は醜い」といい、外出できない、人にも会えないなど社会生活への影響が大きくなることも多いです。

逆に、医療者には「太りたい」と周囲の受け入れがよい言葉を口にするなど、一見、治療に前向きな患者さんもいます。しかし、言葉に反して過度な食事制限や異常な食行動を一切、止めようとはしないといった言動の不一致も起こりがちです。

行動的特徴

AN(拒食症)の患者さんは拒食や絶食のほかに、食べ方も特徴的です。たとえば、食事にたっぷり1時間以上かける、おかずを一皿ずつ食べる、あるいは食べるのは一つの食品だけといった極端な偏食がみられることもあります。

「むちゃ食い/排出型」の人に特徴的な行動は食べた後に下剤や浣腸で排出する、あるいは指を口に入れて「自己誘発性嘔吐」と呼ばれる嘔吐などを繰り返すことです。食後にいつもトイレに行くという場合は、嘔吐をしている可能性も考えられます。

また、「むちゃ食い/排出型」の人が行う嘔吐は過食に対する“代償”といわれ、指を入れて何度も吐くため歯が当たる手のところには「吐きだこ」ができることも少なくありません。吐きだこも、周囲が病気に気づくサインの一つとなります。

さらに、体重の変化が気になるため一日に何度も体重を測る人が多いです。また、「むちゃ食い/排出型」の人の中には隠れ食べをしたり、盗み食いや万引きなどの問題を起こしたり、あるいはリストカットなどで傷つけるだけでなく中には自殺に至る人もいます。

身体症状

AN(拒食症)では食事制限によって著しい低体重となり、極端なやせが認められるほか、低体温や低血圧、除脈などが生じることも多いです。また、脱水やたんぱく質の不足によるむくみ、あるいは低血糖がひどくなると意識障害の可能性も高くなります。

さらに、嘔吐や下剤の乱用などが激しい場合はカリウムやナトリウムなどの電解質のバランスが崩れてしまい、不整脈など心臓の機能に異常が現れることも少なくありません。AN(拒食症)は症状は全身に及び、しかも重篤な事態を招く可能性があるので注意を要する病気です。

ほかに、月経不順や月経が来なくなる無月経といった問題もあります。無月経の期間が長くなると、女性ホルモンの分泌に関係する卵巣をはじめ、下垂体(かすいたい)や視床下部(ししょうかぶ)といった脳の機能低下につながることも多いです。

将来、妊娠を希望したときには流産の可能性や帝王切開になる割合が高いなど妊娠や出産に関係したリスクが高くなることもあり、摂食障害の影響は少なくありません。しかし、患者さんの中には「女性性」に対する拒絶が強い人も多いので、無月経は患者さんにとってはむしろ望ましい状況といえ、月経の回復に向けた治療に抵抗する人も多いです。

神経性過食症(BN)

BN(いわゆる過食症)は過食行動を自分でコントロールできない点に特徴があり、過食の後に自己誘発性の嘔吐や下剤の乱用などがみられる「排出型」と嘔吐などをともなわない「非排出型」の二つに分けられます。

精神症状

BN(過食症)の場合には体重や体型に対する不満が根強くあり、抑うつ症状や不安感が強く現れることがあります。体重が増加すると「また醜くなった」と自己評価が下がり、過食を「絶対しない」と決めても繰り返してしまうために自信をなくすことが多いです。

次第に、抑うつ症状が重くなり、自殺を考えること(希死念慮)も増えてしまいます。

行動的特徴

BN(過食症)の患者さんの特徴の一つは衝動性がみられることです。BN(過食症)の人は単にたべる量が多いのではなく、大量の食事をまったく味わうこともなく一気に食べてしまいます。食べる量は尋常ではなく、一日に1万キロカロリーを超すようなこともあります。

なお、BN(過食症)の人の衝動性は過食のほかに、自殺という行動になって現れることもあるため注意が必要です。

身体症状

嘔吐を繰り返す排出型の人は歯のエナメル質が損失され、虫歯や歯の変色が認められることが多いです。また、AN(拒食症)の「むちゃ食い/排出型」のように嘔吐のほかに、下剤や浣腸などを頻繁に行うと血液中の電解質異常をきたすことがあります。

さらに、神経性過食症(神経性大食症)の患者さんにも月経異常が起こることはありますが、AN(拒食症)の「むちゃ食い/排出型」の人のように無月経や低体重は認められません。そのため、アメリカ精神医学会の診断基準(DSM-Ⅳ)では無月経と低体重があり、AN(拒食症)の診断基準を満たす場合は「ANのむちゃ食い/排出型」と診断されます。

摂食障害の中でも、AN(拒食症)は極端にやせるため周囲が気づくきっかけになりますが、BN(過食症)は標準的な体重を維持することも多いため周囲にもわかりにくい面があります。患者さんは自ら辛さを訴えることが少ないなど、周囲が気づいた頃には問題が深刻化していることも少なくありません。

周囲の人は患者さんの体型だけでなく、憂うつそうな様子、歯の変色などの身体の変化、また、下剤の溜め込みや家の食料が短期間でなくなってしまうなどの変化にも注意するとよいでしょう。

 

次のコラム「摂食障害は重症化しないうちに治療を開始することが重要です」では、摂食障害の治療法について紹介しています。

 

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