ほっとかないで!胃のムカムカはこんな病気の可能性が!!

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[投稿日] '16/11/20 [最終更新日] '18/03/18 8,689views
ほっとかないで!胃のムカムカはこんな病気の可能性が!!

「胃がもたれる」「吐き気がする」「気持ち悪い」という胃の不調はよく聞かれるものですが、なぜこのような症状が起こるのでしょうか。

今回は、胃がムカムカする仕組みと考えられる病気、行われる検査や対処法についてご紹介していきます。

胃が原因だと思っていても、意外なところから原因が見つかるかもしれません。

 

そもそもなぜ胃がムカムカするのか

胃がムカムカする原因には、「胃の動き」と「胃酸の分泌量」の2つが関与しています。

消化管の動きは自律神経によって支配されていますが、この自律神経というのは一日の中で変化します。

緊張している時や運動時のように身体が活発に活動している場合、睡眠中には消化管の働きは低下し、逆にリラックスしている時には消化管の働きが活発になります。このため、夜遅くに食事をしたり、ストレスを抱えているような場合には、消化管の活動が低下するため、食べ物が胃に留まってしまい、胃がムカムカする原因となります。

また胃の中では、食べ物を消化するために胃酸が分泌されています。消化に時間のかかる油分や脂肪を多く含んだ食事(揚げ物、肉など)、暴飲暴食をしたような場合、消化するためにはより多くの胃酸が必要になります。

胃酸は非常に酸性の強い消化液となります。通常分泌される程度の胃酸であれば胃の粘膜に問題はありませんが、胃酸が大量に分泌されると、粘膜が傷ついてしまいます。食べ物の消化に時間がかかることに加え、大量の胃酸によって胃の粘膜が障害を受けることでも、胃のムカムカを感じる原因になります。

 

胃がムカムカする原因としてはどういう病気が考えられるか

胃炎、十二指腸炎(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)

胃炎、十二指腸炎は、食べ過ぎやストレス、感染症、薬の副作用などさまざまな原因によって胃粘膜、十二指腸粘膜に起こる炎症です。

胃のムカムカだけでなく、胃の痛み、嘔吐などの症状が生じます。炎症が進み、粘膜を超えて胃や十二指腸の壁まで炎症が及ぶと、胃潰瘍や十二指腸潰瘍となります。ちなみに、潰瘍とは深い傷という意味です。潰瘍になると上記の症状に加え、出血もみられるようになります。胃の痛みは食事をすると悪化し、十二指腸の炎症では食事によって痛みが治まるという特徴があります。

胃がん

日本では肺がんの次に死亡率が高いがんで、ピロリ菌の感染が原因として挙げられます。

ピロリ菌は40歳以上の方のうち70~80%と高確率で保菌しているといわれていますが、このうち食事や飲酒など生活習慣や遺伝などの影響を受けて胃がんが発症します。胃がんは胃の粘膜に生じるがんであり、進行すると粘膜から胃壁、胃の周囲の臓器へと広がっていきます。完治のためには早期発見が重要です。しかし、初期症状はほとんどなく、胃のムカムカ、膨満感(お腹が張った感じ)、吐き気、体重減少などの症状が現れた頃にはかなり進行しているといわれています。

機能性ディスペプシア

胃のムカムカ、早期膨満感(食事を始めてすぐお腹がいっぱいと感じる)、痛みなど胃に関する症状が続いているにも関わらず、検査を行っても何の異常もみつからない病気です。胃の粘膜に炎症が生じていれば、内視鏡によって確認できますが、機能性ディスペプシアの場合は症状を説明できるような異常を見つけることができません。

原因として考えられるのは、ストレスによって胃の運動が悪くなり、さらに神経が過敏となることで、通常では違和感すら感じないような刺激に対しても、敏感に痛みを感じ取ってしまっていると考えられています。

逆流性食道炎

胃酸が逆流して食道の粘膜に炎症を起こしたものです。加齢や肥満によって、胃酸の逆流を防いでいる食道の筋肉が衰えてしまうことや、食後すぐに横になることで、胃酸が逆流してくることが、原因となります。ほかにも、喫煙や飲酒、食事などの生活習慣が原因として考えられています。

症状としては、胃のムカムカ、のどの違和感、食事のつかえ、胸やけ、呑酸(どんさん:口の中が酸っぱい感じがする)、げっぷが出るなどです。逆流性食道炎の原因、症状は食道がんと似ている部分があり、注意が必要です。

膵炎

膵臓は消化器の臓器の1つで、さまざまな消化酵素を分泌していますが、特に脂肪の消化に関わる酵素の分泌を担っています。膵臓に炎症が起こる主な原因は多量の飲酒であり、膵臓の働きに異常が生じると、その強力な消化酵素によって膵臓自体や周りの臓器を消化してしまいます。最も多い症状は上腹部の痛みです。その他、吐き気や嘔吐、胃のムカムカ、食欲低下なども現れます。炎症が軽度であっても入院が必要になる危険な病気です。

肝硬変

肝臓は身体に必要な栄養素の合成・貯蔵や、身体に不要な毒素の解毒、消化液の1つである胆汁酸の産生を行っている臓器です。ウイルス感染によって肝臓に炎症が起こると、肝炎が生じますが、初期症状はあまりなく、わかりづらいです。肝炎によって肝臓の細胞が少しずつ壊され、肝硬変まで進行すると、発熱、全身倦怠感、食欲低下、胃のムカムカ、膨満感、黄疸(おうだん:白目や皮膚が黄色くなる)、むくみ、かゆみなどの症状が現れます。健康診断で見つかることも多いので、しっかり毎年健診をうけましょう。

狭心症

心臓は全身へ栄養や酸素を送っている臓器ですが、この心臓が働くために栄養や酸素を送っている動脈を冠動脈(かんどうみゃく)といいます。動脈硬化によってこの冠動脈が狭くなり、心臓の筋肉の働きが落ちてしまう病気が狭心症です。特に運動時は身体中の筋肉が血液を要求するため、心臓には負担がかかります。普段は症状がなくても、運動時に胸痛が生じることが特徴です。心臓は身体の左側にあるといいますが、実際は身体の中心で、やや左に膨らんでいます。このため、心臓に異常がある場合にみぞおちの辺りに違和感や痛みが珍しくありません。「胃が痛い」と訴えが実は心臓の異常であり、胃の不調で受診した患者さんから狭心症が見つかることもあります。

 

どれくらい胃がムカムカする時に病院を受診すべきか

食事や水分が摂れない

ムカムカする、吐き気があるというような胃の不調によって食事や水分が摂れなくなっている状態が続くと、栄養失調や脱水に進展してしまうことがあります。全身の臓器でも特に脳は栄養や血液を要求するため、単なる食欲低下が脳の障害につながってしまう可能性もゼロではありません。

運動時に症状が悪化する

狭心症の項目でもご紹介しましたが、運動時には心臓の負担が増加します。このため、運動時に症状が悪化する場合、狭心症の可能性も考えられます。心筋の血流が不足している状態では、みぞおちや胸の痛みだけでなく、肩や首などに痛みが広がる(放散痛)ことがあり、冷や汗や動悸が伴うこともあります。

吐血した、または便が黒い

消化管内に出血があっても、身体の外側からはなかなか気付くことができません。消化管出血では、知らず知らずのうちに出血が続くことで血液が大量に失われ、血圧が下がって意識が障害されるようなショック状態に陥ることもあります。嘔吐物に血が混じっている、嘔吐後の口の中に血の味がする場合や、便が黒く変色している場合は消化管出血が疑われます。

 

胃がムカムカする原因を調べるのにどういう検査をするか

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血液検査

血液検査では全身の臓器の機能を調べることができます。消化管出血による貧血がないか、肝臓で合成されるはずの栄養分は十分あるか、解毒されるはずの毒素が残っていないか、心臓の筋肉は壊れていないか、消化酵素は適切な量分泌されているか、など非常に多彩な情報が得られます。

バリウム検査

バリウムはレントゲンで白くうつる性質があります。飲み込んだバリウムが胃の壁の凸凹に合わせて付着することで、胃全体の形を映し出し、異常な隆起(がん)やくぼみ(潰瘍)を見つけることができます。

内視鏡検査

いわゆる胃カメラのことで、胃の粘膜を直接見る検査です。カメラのついた細い管を口または鼻から挿入して食道、胃、十二指腸まで観察します。バリウム検査と比べると苦しい検査ですが、白黒の画像を得るバリウム検査に対し、色や性状まで細かく観察することができます。

 

胃がムカムカするときに自分でできる対処法

最も基本的な方法は胃を休めることです。

消化が停滞して胃がムカムカしている時は、無理に食事をせず、症状が落ち着くまでリラックスできる環境を作ってスムーズな消化を促しましょう。食べた物が便として排泄されるまでには2日ほどかかるといわれていますが、このうち胃で消化される時間は食べた内容物にもよりますが、大体3~6時間程度です。胃の不調であっても消化はゆっくり確実に行われていくので、まずは胃を休めることが大切です。

 

胃がムカムカしないようにするには

食べ過ぎや飲み過ぎ、脂肪の多い食事では胃に負担がかかります。胃をムカムカさせないためには、消化の良い食事を選び、就寝前の食事は控えましょう。消化の効率を高めるためには、食べるときはよく噛み、早食いしないことも重要です。また、ストレスによっても消化管の不調をきたすため、睡眠時間の確保、入浴、など身体の疲れを癒すことも意識してみましょう。

 

いかがでしょうか。

胃がムカムカしているときは、何かの病気が隠れている場合もあります。

すぐに治るだろうと放置せずに、一度病院に受診すると良いかもしれませんね。

 

 

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