マンモグラフィーで異常が見つかった!乳がんなの……!?

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[投稿日] '16/11/21 [最終更新日] '18/08/14 4,881views
マンモグラフィーで異常が見つかった!乳がんなの……!?

乳がん検診の際に行われるマンモグラフィー。検査の結果、異常を指摘され、乳がんなのかと不安になっているという方もいるのではないでしょうか。

マンモグラフィーで異常が見つかった場合には乳がん以外の可能性もありますので、どういう病気が考えられるかについてご説明します。

 

マンモグラフィーとは

マンモグラフィーは簡単にいうと乳房だけを撮影したレントゲンです。通常の胸のレントゲンでは乳房は肺や心臓と重なって見えてしまうので、正確な診断ができません。乳房を挟むように撮影することで、乳房だけを撮影することができ、乳房の中に隠れた病気を見つけることが可能になります。

通常、マンモグラフィーは乳房を縦に挟んでの撮影と横に挟んでの撮影の2種類を行います。2方向から撮影することで乳房の隅々まで撮影することができますし、もしも乳房内に異常なものがあった場合に、縦横から見たときの形からどのような形をしているのか想像することができます。異常が見つかった場合にはその部分だけを拡大して撮影することもでき、病変部を詳しく見たい際に有用です。

よくマンモグラフィーで痛みを感じると思う方もいらっしゃいますが、この痛みは挟むことによる物理的な痛み以外に、乳房内部に異常なものがあることによる痛みの可能性もあります。もしマンモグラフィーによる痛みを避けたい場合、月経開始後の5〜8日後に検査を行いましょう。月経の後は乳房の張りが和らぎますので、マンモグラフィーによって痛みを感じにくくなります。

 

マンモグラフィーを受ける時期

乳房は皮下脂肪や乳腺で構成されていますので、マンモグラフィーでは通常乳房の中に線のようなものが見えます。赤ちゃんに母乳をあげるために乳腺が発達するのは10〜30代で、それ以降の年代では少しずつ乳腺が脂肪組織に置き換わっていきます。乳腺が多いとマンモグラフィーで異常を見つけにくいので、通常マンモグラフィーの検診は40歳以降に行います。

また乳がんの発症には遺伝が大きく関係していると言われています※1。ご家族や親戚などに乳がんと言われたことがある人が多い場合は、20-30代のうちから検診を定期的に受けることでがんの早期発見につながります。

初期の乳がんは自覚症状もないため、早めに検診を受けることをお勧めします。より詳しい話は「乳がんは2年に1度の検診が大事!」に掲載されていますので、よろしければご覧ください。

 

マンモグラフィーで異常が見られた時に考えられる病気

マンモグラフィーで異常が見つかる病気は

  • 乳がん
  • 線維腺腫
  • 乳腺症

の3つが代表的です。

乳がん

乳がんは40歳以降に多く見られる病気で、女性のがんの中でなる可能性が一番高いです。

乳がんはマンモグラフィーで、白いいびつな影にうつり、放射状に伸びた突起が見られることがあります。また石灰化と呼ばれる変化が生じている場合は、一段強いはっきりとした白い影が内部に点々と見られます。

マンモグラフィーで乳がんが疑われた場合、超音波検査などの検査を追加で行いますが、最もはっきり結果がわかる検査は細胞診と組織診です。

細胞診は病変部の細胞を直接とってくるので、がん細胞の有無を顕微鏡で確かめることができます。乳頭から分泌物が出てくる場合には分泌液をチェックし、分泌物が出てこない場合は乳房に針を刺して病変部の細胞を採取します。組織診は腫瘤の一部を針でとってくる方法です。顕微鏡で観察することで詳しい乳がんのタイプを調べることができます。ただし体に針を刺すことになるので、まずは超音波検査を行います。

線維腺腫

線維腺腫は10代から40代までに好発する乳房の腫瘤です。乳がんとは異なり良性の腫瘍ですので、切除をせずに経過観察することもあります。

線維腺腫はマンモグラフィーで乳癌と同様に塊が見られますが、乳がんと異なり良性の腫瘍なので周囲の組織へ広がりはなく、画像上で周囲との境界がはっきりしている点と腫瘤の白さが少し薄いという違いがみられます。また線維腺腫は腫瘍を膜が覆っているため、腫瘤の周りが黒く縁取られているような画像となることもあります。乳がんと同様に石灰化がみられることもありますが、乳がんの石灰化は点状に写ることに対して、一つの大きな石灰化像としてみられる点が異なります。

線維腺腫でも、追加で超音波で検査します。超音波検査ではマンモグラフィーと同じように周囲の組織との境界がはっきりしている腫瘤が黒く見えます。

乳腺症

乳腺症は30歳以降に起こりやすいです。乳腺が硬くなったり、嚢胞を作ったりすることで乳房を押すと痛みを感じます。乳腺症は乳腺の病気ですので、マンモグラフィーでは乳腺の流れに沿って白くなることがあります。乳がんの石灰化と異なり、広範囲に白くなることが多いです。また乳腺症は左右両方の乳房に見られることが多い、という特徴も乳がんとの鑑別に重要です。

乳腺症はマンモグラフィーや超音波検査、問診で診断します。超音波検査では白い部分と黒い部分が何層にも重なって見えることがあります。ただし、乳腺症は病変の形が多彩なため、腫瘤型や嚢胞が見られることがあります。

乳腺症は診断も重要です。乳腺症の原因としてエストロゲンが考えられているため、月経の前に痛みが強くなったり、乳頭からの分泌物が多くなったりします。月経後にはエストロゲンの量が減少するため症状が軽快することも特徴です。

 

マンモグラフィーで異常が見つかったら、乳腺科もしくは乳腺外科へ

マンモグラフィーで異常があると言われた時に、乳がんの再検査のために婦人科を受診しようと思われるかもしれませんが、実は違います。もちろん婦人科は女性を診察する診療科ではありますが、子宮や卵巣などの病気を専門に診る診療科になります。

そのため乳がんの詳細な診察を受けに行く場合は、乳腺科もしくは乳腺外科を受診してください。病院によっては、乳腺外科が外科に組み込まれているところもあるため、診察にいかれる病院の診療科をホームページなどで調べて、どのような病気を専門に診療しているかみていく事が大切です。

まら乳腺科や乳腺外科がある病院は限られていますので、場所や診察の予約方法について事前に調べてから受診した方がよいでしょう。特に乳腺専門の病院やクリニックは専門のスタッフやその後のフォローも充実しているので、マンモグラフィーで異常が見つかった際にはそちらを選ばれると良いかもしれません。

 

乳腺科を受診した後の治療

マンモグラフィーの異常が線維腺腫や乳腺症だった場合は、無理に手術などを行わず経過観察とすることが多いです。もし腫瘤が大きい場合や急激に大きくなる場合は手術によって切除することもありますが、線維腺腫は良性腫瘍ですのでそのままにしておいても体に害が及ぶことはありません。

また乳腺症は女性ホルモンのエストロゲンが関係しているので、閉経後には症状がなくなることがほとんどです。乳房の痛みが強い際には薬による治療を行いますが、基本は閉経まで経過観察です。

それに対して乳がんの場合は、そのまま経過をみているとがんが大きくなってしまい、リンパ節などへ転移する可能性など考えられるため、早期治療が重要となります。治療は腫瘍の大きさによって異なり、手術による切除や放射線治療、ホルモン療法などを中心に治療を進めます。これらの治療を行いながら、マンモグラフィーなどの検査を定期的に行い、腫瘍の状態を確認していきます。

また乳がんは再発する可能性があり、がんを手術で切除をした場合においても、10年以内に再発する可能性が10-20%程度あると言われています※2。ですから、手術をした後も長期間マンモグラフィーによる検診を行い、再発が起きていないかチェックする必要があります。術後の検診の頻度は病院によって異なりますが、1年に一回ほど検査を定期検査を行うと良いと言われています※3

 

乳がんは初期に自覚症状がない事が多いため、定期的な検査を受ける事が何より大切です。マンモグラフィーでは自覚症状がない人でもがんの判別をする事ができるため、乳がんの発症率が高くなると言われている40歳以上の人は特に、2年に1回のがん検診を受けてみていただければと思います。

マンモグラフィー以外の乳癌検査については「乳癌の検査はマンモグラフィ検査だけではありません」のコラムでも詳しく紹介していますので、ご興味のある方はぜひご一読ください。

 

※1 日本乳癌学会「患者さんのための乳癌診療ガイドライン Q.68」(http://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/g9/q68/)
※2  日本乳癌学会「乳癌診療ガイドライン 乳癌局所・所属リンパ節再発に対して放射線療法は勧められるか」(http://jbcs.gr.jp/guidline/guideline/g3/g31090/)
※3 日本乳癌学会「患者さんのための乳癌診療ガイドライン Q.38」(http://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/g6/q38/)

 

 

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