アルコール依存症は女性のほうが発症しやすく、遺伝的要因も関係します

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[投稿日] '16/04/13 [最終更新日] '18/05/22 131views
アルコール依存症は女性のほうが発症しやすく、遺伝的要因も関係します

アルコールによる健康障害

アルコールは成人であれば覚醒剤やコカインなどのように法律による制限はありませんが、多量飲酒によって心身両面に異常をきたすこともあり、社会的な問題が生じることも多いです。ここでは、アルコール中毒や依存症などアルコールによる健康障害について説明します。

急性アルコール中毒

急性アルコール中毒は「酩酊(めいてい)」と呼ばれる状態で、飲酒によって嘔吐のほかに呼吸数や血圧の低下、また、一過性の意識障害なども現れます。特に、「イッキ飲み」によって血中のアルコール濃度が急激に高くなると呼吸や心臓の働きが低下して昏睡という重い意識障害を起こすこともあり、大変危険です。
急性アルコール中毒で亡くなった人の中には意識レベルの低下だけでなく、意識のない状態で嘔吐し、吐いたものが喉に詰まって窒息したという人も少なくありません。

飲酒によって顔が赤くなるタイプの人は体内でのアルコール分解に時間がかかるとされ、急性アルコール中毒のリスクが高いとされます。また、高齢者も発症リスクが高い傾向にあるとされますが、大学生や新社会人といった若年者でも無茶な飲み方をするなどの理由で急性アルコール中毒から亡くなってしまう事例が毎年発生しています。

アルコール精神病

長期間、多量の飲酒を続けることで幻聴などが現れるアルコール幻覚症や配偶者が浮気しているなどの妄想(嫉妬妄想)、また健忘や誤った記憶に基づいた発言を繰り返す作話などの記憶障害が生じるコルサコフ症候群を発症することがあります。
薬物による慢性中毒と同様に、アルコール精神病の症状が治まってもアルコール依存症が治る訳ではありません。治療には専門の医療機関での精神症状への治療に加え、アルコールに対する欲求を抑制して断酒を続けることが必要です。

 

アルコール依存症

アルコール依存症とは、飲酒に対するコントロールができなくなる状態です。依存症の場合、飲むのを止めたり、量を少なくしたりすると手の震えや異常な汗、不眠などの「離脱症状」が現れる場合があります。離脱症状はアルコールを飲むことによって改善するため、さらなる飲酒へとつながっていきやすいのです。

アルコール依存症になると日常生活への影響が次第に大きくなり、夫婦間の不和や家庭内暴力、失業や転職を繰り返すなど社会的な問題も増えていきます。また、依存症の人はアルコールの影響で脂肪肝や肝硬変、肝がんなどの肝障害や高血圧、糖尿病などの健康問題を抱えるリスクも高いです。
さらに、アルコール依存症になると不眠やうつ病などの精神障害の発症率も高くなります。

「多量飲酒」と「節度のある飲酒」との違いは?

厚生労働省が掲げる「健康日本21」によると、「多量飲酒」は1日の平均が「純アルコール換算で60gを超える飲酒」と定義されています。酒類に含まれる「純アルコール換算で60g」というのは日本酒でいうと3合弱、ビールの中ビンなら3本程度です。
一方、節度のある飲酒は1日平均、純アルコール換算で20g程度となっています。

アルコール依存症の可能性を知るには、飲酒の頻度や自制ができるかなどを尋ねる「アルコール使用障害スクリーニング(AUDIT)」が参考になるでしょう。

「機会飲酒」から『連続飲酒』へ

アルコール依存症のプロセスでは酒席のときだけ飲む「機会飲酒」が、毎日の習慣となる「習慣飲酒」に変わっていき、やがて数時間おきに飲む『連続飲酒』へと移行していきます。連続飲酒では、数時間おきにアルコールを摂取することで体内のアルコール濃度はほとんど下がらない状態です。

アルコール依存症の多くは連続飲酒を認め、アルコールを飲まないと手の震えや動悸などが生じる身体依存やアルコールに対する強い欲求をコントロールできなくなる精神依存も生じます。アルコール依存症の人にとって酒を飲むことは生活の中で何よりも優先されるものとなり、ときには嘘をついて、あるいは罪を犯してまで飲みたいものになってしまうのです。

アルコール依存症の発症には遺伝的要因が関与

アルコール依存症は酒の多量摂取を長期に続けることによって起こりますが、発症には遺伝的な要因も関与するといわれます。アルコール依存症のおよそ5~6割が遺伝的要因で発症し、他に環境的要因などが複雑に絡み合って起こると考えられています。

アルコール依存症の影響すると言われる遺伝的要因の一つが体内でアルコールが代謝されてつくられるアセトアルデヒドを分解するときに必要となる「2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)」の遺伝子型です。ALDH2にはアセトアルデヒドを分解する能力が強い人、弱い人、まったくない人と3つの型があり、この酵素が強い人は酒に強く、依存症になりやすいといわれています。

ALDH2の働きが弱い、まったくない人はいわゆる酒に弱いタイプとなり、アセトアルデヒドの影響によって顔の紅潮や頭痛などの「フラッシング反応」という不快な症状が現れるので大量に飲むことができません。一方、正常活性遺伝子型をもつ人は不快な症状が起こりにくいため多量摂取が可能となり、依存症のリスクが高くなるのです。

女性は男性よりアルコール依存症になりやすい

女性のほうが体重の軽い傾向にあることから、同じ飲酒量でも血中濃度が高くなりやすいこともあり、女性は男性よりも短い期間、また、少ない飲酒量で依存が形成されるといわれています。

一方、男性・女性に関係なく若年での飲酒開始はアルコール依存症になる危険が高いことも知られています。特に、妊娠中の母親の飲酒はお腹の中の子どもにも影響を及ぼし、脳障害や低体重、成人後のアルコール依存症になりやすいことなどが指摘されています。

アルコール依存症は徐々に進行し生活への影響が次第に大きくなり、やがて生活が破綻してしまうことも少なくありません。
気になることがある場合は、一人で悩まずに専門家に相談しましょう。
次のコラム「薬物依存/アルコール依存は家族だけで解決しようとせず、医師を受診しましょう」では薬物依存/アルコール依存の治療法について紹介します。

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