尿道下裂では年間20件以上手術を行っている病院を探そう!

「尿道下裂」とは男子の陰茎に見られる先天的な異常のことですが、もしかするとあまりなじみのない病名かもしれません。しかし、300人に1人の割合で発生すると推定されており、決して稀な病気ではありません。また見た目の問題に留まることなく、尿の排泄や性交などにも影響を及ぼす病気であり、子供の生活に大きく影響を与えることが考えられます。今回は尿道下裂に関連した論文をご紹介致します。
尿道下裂とは300人に1人ぐらいの病気
外見上、正常な尿道は陰茎の先端に認めます。しかし尿道下裂においては、尿道の出口が亀頭の先端にまで届くことなく、陰茎の途中で開いている異常を言います。尿道の出口が通常よりも陰茎の根元寄りに存在することに加え、陰茎が下に向くことも多いです。
300人に1人の割合で認める病気であると報告されています。原因についての仮説は様々ですが、遺伝的な要素や体内でのホルモン環境の異常などが関与していることが疑われています。事実、同胞や父親に家族歴を認めることもあります。
尿道下裂の診断と症状
尿道下裂は出生後、陰茎の見た目から診断されることが多いです。中には精巣がしっかりと下まで降りてきておらず陰嚢内に触れることができなかったり(停留精巣と呼びます)、染色体異常を伴うこともあります。そのため尿道下裂を認めた時には、こうした合併症を併発していないかどうかの検索も必要になります。
尿道下裂の症状としては、大きく分けて①見た目の問題、②排尿時の問題、③性交渉時の問題、の三つに分類することができます。①については特に成長した際に問題になることが多く、非常にナイーブな部位の病気であることから精神的なコンプレックスにつながることがあり得ます。②については、尿の出口が陰茎の途中に開いていることから、排尿するときに尿が前に飛ばず、周囲に尿が飛び散ります。尿道下裂の程度が強い場合には、立って排尿する事ができないこともありえます。また③については、陰茎そのものが曲がっているため、勃起時にうまく腟内に挿入できず射精ができないこともあります。
尿道下裂の治療法
尿道下裂の症状は多岐に渡るため、精神的な負担を少しでも減らす意味からも、早期の手術(1歳から2歳が標準)が必要です。手術は「尿の出口を新しく作ること」及び「曲がった陰茎の形を真っすぐにすること」の二つを目的として行われます。
尿道下裂の手術は 非常に繊細であり、術後の合併症が起こりやすいことも知られています。尿の出口が皮膚と交通したり(瘻孔形成)、尿道がせまくなり排尿に障害が残ったり(尿道狭窄)することがあります。
手術において高度な技術を要する病気であるだけに、技術の高い医者を選択する必要があると考えられています。そこで今回は、尿道下裂の手術件数と治療成績の関係を報告した論文を紹介します。
尿道下裂手術件数と合併症との関係とは?
本論文では、尿道下裂手術件数と合併症との関連性について検討しています。筆者らは、1999年~2009年にイギリス内75施設で尿道下裂の手術を受けた23,962症例を対象としています。
尿道下裂の手術を受けた年齢は平均22ヶ月(15〜38ヶ月)であり、その内の18.1%の子供において何かしらの術後合併症がありました。施設ごとの合併症発生率を調査したところ、平均して20.0%に合併症が認められており、合併症が最も多い施設は13.9%、最も少ない施設は27.4%と、その差に約13.5%の開きがありました。
特に年間20件以上の尿道下裂に対する手術を行う施設においては、20件未満の施設と比較すると「平均7%以上」も合併症のリスクが低くなることが示されました。
尿道下裂の治療件数を基準として名医を選ぶとよい
本研究結果から、尿道下裂に対する手術を多く実施している施設ほど、術後合併症が少なくなることが明らかになっています。先にも述べた通り、尿道下裂の手術は卓越した技術を要するものであり、手術件数と治療成績に相関性があることはある程度予測出来ることです。
尿道下裂の問題は、見た目や排尿・性交機能にも影響を及ぼすものであり、精神面にも悪影響が生じることがあります。健康なお子さんと比べた際に、不要なコンプレックスを抱えることなく生活を送ることためにも、問題なく手術を遂行することがとても大切です。
手術件数だけがすべてを規定する訳ではありませんが、名医を選択する上での一つの重要項目として、手術件数に視点をおいて病院を選択してはいかがでしょうか。
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