肝細胞がんに対する肝切除術は年間手術件数が多い名医ほど死亡率が低くなる!

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[投稿日] '17/05/20 [最終更新日] '18/03/18 287views
肝細胞がんに対する肝切除術は年間手術件数が多い名医ほど死亡率が低くなる!

肝臓がん?肝細胞がん?

肝臓がんは、肝臓そのもの不調が原因となってできるがん(原発性肝がん)と他の臓器から転移したがん(転移性肝がん)の2つに分類されます。原発性肝がんには、肝細胞が原因となる肝細胞がんと、胆管が原因となる胆管細胞がんがありますが、ほとんどは肝細胞がんです。日本人の場合、B型ウィルス肝炎やC型ウィルス肝炎が原因となることが多いですが、それ以外にもアルコール性肝障害や、非アルコール性脂肪性肝炎(肥満や糖尿病などが原因で起こる脂肪肝が進行して肝臓に炎症が起こった状態)も肝細胞がんの原因になります。

肝臓は沈黙の臓器と言われていることからも分かる通り、肝細胞がんの初期には自覚症状がほとんどありません。肝細胞がんが進行した場合には、腹部のしこりや圧迫感などが現れることがあります。また、肝硬変を発症した場合には食欲がなくなる、全身のだるさ、白目や皮膚が黄色くなる(黄疸)などの症状が現れることがあります。

 

肝細胞がんの治療

肝細胞がんの治療には、外科的治療(肝切除術)、ラジオ波を用いた局所療法、肝動脈塞栓術、抗がん剤を用いた化学療法などがあります。これらの治療方法は、肝細胞がんの大きさや個数、患者さんの全身状態に応じて選択されます。また、肝細胞がんができている場所やどのくらい血管に及んでいるか(浸潤度)なども治療に反映されます。

最も確実に肝細胞がんを取り除くことができる治療法のひとつに、肝切除術があります。肝切除術は他の治療方法に比べて治療期間が長く、身体的負担が大きくなるという欠点があります。通常、肝細胞がんの範囲が大きい場合や、がんの個数が少ない場合に肝切除術が選択されます。

 

肝切除術の件数と治療成績との関係を調べた論文

今回ご紹介する論文は、肝切除術の件数と治療成績に関係があるかどうかを検討した研究です。本研究では、台湾の国民健康保険研究データベースに集積されたデータのうち、肝細胞がん・胆管がん・転移性悪性腫瘍・肝内胆管結石などが原因で肝切除術を受けた患者を対象としています。対象期間は2002年から2006年までの5年間で、13,159名の患者が対象となりました。

本研究では、1年間に外科医が執刀した肝切除術の件数に基づき、年間手術件数が多いグループと少ないグループで、肝切除術施行後30日以内に死亡した患者の割合(30日死亡率)、3か月以内に死亡した患者の割合(3か月死亡率)、1年以内に死亡した患者の割合(1年死亡率)を主要な評価項目として治療成績を検討しています。また、1施設あたりの肝切除術の件数についても、年間手術件数が多いグループと少ないグループで同様の検討を行っています。

 

肝切除術の年間手術件数が多い名医ほど手術後の生存率が長い

分析の結果、肝切除術を受けた患者の大部分(61.2%)は肝細胞がんの患者でした。年間手術件数が多い医師の方が少ない医師に比べて30日死亡率で64%、3か月死亡率で62%、1年死亡率で41%、死亡リスクが低下することがわかりました。また、年間手術件数の多い病院の方が少ない病院に比べて30日死亡率で50%、3か月死亡率で56%、1年死亡率で33%、死亡リスクが低下することも明らかとなりました。

今回の結果から、肝切除術の年間手術件数が多い医師ほど患者の生存期間が長くなり、肝細胞がん治療の名医であると言えます。

 

肝細胞がんに対する肝切除術の名医は、年間手術件数を基準に選ぶと良い

今回紹介した論文の結果から、肝切除術の年間手術件数が多い医師は少ない医師に比べて手術成績が良い名医であることがわかりました。また、年間手術件数が多い病院ほど肝切除術の治療成績が良いことも明らかとなりました。

肝細胞がんではがんの大きさや部位、進行度により治療方法が異なりますので、肝切除術の適応があるかどうか名医に診断してもらうことが大切です。肝切除術の適応があると診断された場合には、まず手術件数を基準に肝切除術の名医を探してみてはいかがでしょうか。

 

参考論文:The Combined Effects of Hospital and Surgeon Volume on Short-Term Survival after Hepatic Resection in a Population-Based Study. PLoS One 9(1):e86444, 2014

 

 

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