【英国論文】副腎腫瘍は年間6件以上手術を行なっている名医を探すべき!

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[投稿日] '17/06/07 [最終更新日] '18/03/18 882views
【英国論文】副腎腫瘍は年間6件以上手術を行なっている名医を探すべき!

副腎はホルモンのバランス調整役!

腎臓はよく知られている臓器ですが、副腎という臓器はご存知でしょうか。副腎は両方の腎臓の上に帽子のように乗っている、3~4cmほどの大きさの臓器です。

副腎は多くのホルモンをつくっており、そのホルモンは血圧、血糖、水分・塩分量などの体内環境を常にちょうど良い一定の状態に保つために機能しています。コルチゾル、アルドステロン、性ホルモン、アドレナリン、ノルアドレナリンなどのホルモンは副腎から分泌されます。副腎は、血圧や血糖に応じて、下垂体などの指令を受けて、これらのホルモンを放出します。

 

副腎腫瘍は腫瘍の種類によって名前が異なります

今回はそんな副腎にできる「腫瘍」についての記事ですが、この副腎腫瘍は実は1種類というわけではありません。副腎に腫瘍ができることで様々な症状が現れますが、腫瘍からどのようなホルモンが過剰に分泌されるかによって、病気の名前が異なります。

  • クッシング症候群 (高血圧、糖尿病、免疫力低下、多毛、肥満、骨粗鬆症、性格変化など):コルチゾールなどが過剰に
  • 原発性アルドステロン症 (高血圧、筋力低下、手足のしびれなど):アルドステロンが過剰に
  • 褐色細胞腫 (高血圧、脈が速い、頭痛、便秘、高血糖など):アドレナリンなどが過剰に

また、その治療方法も腫瘍の種類によって異なります。例えば、ホルモンの過剰分泌を起こさない腫瘍の場合は症状もほとんどないため、そのまま治療をせずに経過観察をすることもあります。一方で、ホルモンを過剰分泌する腫瘍の場合には、異常に産生されたホルモンによって様々な症状が出てしまうため、副腎の摘出手術を行う場合があります。

 

副腎腫瘍の治療では副腎を摘出すべきかどうかを慎重に調べる

通常、副腎腫瘍が疑われる場合には、CT検査や超音波検査で副腎腫瘍の大きさ、形、内部の構造などが調べられます。また採血検査・尿検査などでホルモンを過剰に産生していないかを調べます。ホルモンの異常は副腎腫瘍以外に原因がある場合もあり、かつ副腎を摘出することは体内のホルモンバランスを崩すことになるため、慎重に検査が行われます。

副腎摘出手術は、腹腔鏡による手術ではおよそ2-3時間で、開胸開腹手術の場合は、約4-5時間程度の手術時間となります。手術は全身麻酔で行われますので、術後1週間ほど入院することになります。

 

年間手術数の多い名医が副腎摘出手術を行うと入院期間と緊急再入院率が下がる

もし副腎摘出手術を受けるなら、できる限り治療に慣れている先生にお願いしたいですね。それでは、どのような医師が副腎摘出手術の名医なのでしょうか?

今回紹介する論文では、イギリスにて222人の医師が行った795例の副腎摘出手術を対象に調査が行われています。対象となった患者は16歳以上で、一人の医師が行った手術は1件から34件まで違いがありました。

対象となった医師のうち、1年間に6件以上の手術を行った医師はわずか16%でした。この16%の医師と、その他の医師が実施した手術の治療成績について、比較検討が行われました。比較内容は「術後の入院日数」と、「術後30日以内の緊急再入院率」についての違いの2点です。つまり、「退院できるまで回復するまでのスピード」と「再発しないかどうか」という観点です。

調査の結果、術後の入院日数の平均日数は7日間でした。年間手術件数の多い16%の医師が手術を行なった場合、それ以外の医師が手術した場合と比較して術後の入院日数が約60% (約3日間) 少なくなっていることがわかりました。さらに30日以内の緊急再入院率については、47%減少していることもわかりました。逆に言うと、1年間に手術を5件以下しかしていない医師が執刀すると、術後30日以内の緊急再入院率が1.5倍になってしまうということですね。

 

副腎摘出手術の名医は年間手術件数がひとつの指標

今回紹介した論文から、副腎摘出手術の年間手術数が6件以上の医師は、術後の入院日数が短く、緊急再入院が少ないことがわかりました。ホルモン異常による病気で副腎摘出手術を行う必要があると診断された際には、副腎摘出手術の年間手術数の多い医師を探すとよいでしょう。

 

参考論文:Adrenal surgery in England: better outcomes in high-volume practices.

 

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