神の手が真価を発揮する良性脳腫瘍!

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[投稿日] '16/09/05 [最終更新日] '18/04/20 224views
神の手が真価を発揮する良性脳腫瘍!

良性脳腫瘍の概要

腫瘍とは、体に元々存在している細胞が、理由もなく(無目的)、好き勝手に(無秩序)、限りなく(無制限)、増え続けた状態のことをいいます。腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍とがあり、後者のことを一般的には”がん”とよびます。良性腫瘍は、悪性腫瘍と異なり、急激に大きくなったり、広がったりすることはほとんどありません。取り除く手術が出来れば、その後は再発も少なく、経過が比較的良いのが特徴です。このような良性腫瘍が、脳にできたものが良性脳腫瘍です。

良性脳腫瘍が疑われる場合、脳のCTやMRIといった画像検査をもとに診査します。特にMRIが開発されてからは、まだ腫瘍径が小さな初期段階でも発見しやすくなりました。

良性脳腫瘍の種類

良性脳腫瘍とは、脳に出来る良性腫瘍の総称です。良性脳腫瘍という病気があるわけではありません。脳にできる腫瘍のうち6~7割が良性腫瘍といわれています。良性脳腫瘍としては、以下にあげる腫瘍が多いです。
①髄膜腫
②下垂体腺腫
③神経鞘腫
④頭蓋咽頭腫

良性脳腫瘍 脳神経外科

良性脳腫瘍の治療法

外科手術が基本となります。従来から行なわれている頭の骨を開いて摘出する開頭摘出術に加えて、近年ではガンマナイフなどの放射線治療法も開発されています。また脳腫瘍の摘出手術は顕微鏡を用いて正常な脳組織を傷つけない様に注意して行なうことはもちろんですが、神経ナビゲーションなどの新しい技術も用いることで安全性の向上が図られています。

良性脳腫瘍はきれいに摘出ができれば後遺症もなく再発もなく完治する可能性がありますので、非常に繊細な技術が必要とされます。テレビなどで取り上げられている脳外科の神の手と呼ばれるような名医の多くは良性脳腫瘍を専門としています。

代表的な良性脳腫瘍について下記にてお教えいたします。

 

髄膜腫

髄膜腫とは

髄膜とは頭蓋骨の内側にあり、脳を包んでいる膜のことです。髄膜腫とは、この膜に発生した腫瘍です。脳に発生する良性腫瘍のうちで、もっとも頻度が多いのがこの髄膜腫で成人女性によく見られます。ほとんどが良性腫瘍なのでゆっくりと大きくなっていくのですが、稀に悪性度の高い場合もあります。

髄膜腫の症状

初期の段階では自覚症状に乏しいですが、腫瘍径が大きくなってきますと、周りの脳実質や脳神経を圧迫してきますので、様々な症状をもたらしてきます。脳のどこに出来たかによって症状は異なりますが以下の症状が代表的です。

脳実質への影響

  • 運動障害
  • 言語障害
  • 感覚障害
  • 視野障害
  • けいれん

脳神経への影響

  • 視力障害
  • 聴力障害
  • 顔面神経麻痺
  • 嚥下機能障害

その後、腫瘍が大きくなるにつれて頭蓋内圧亢進により頭痛や吐気、意識障害などを認めるようになります。

髄膜腫の治療

初期のうちの小さい段階や自覚症状に乏しい場合は経過観察となることが多いですが、自覚症状が現れた場合、もしくは自覚症状がなくても腫瘍径が大きな場合は手術適応となります。手術方法は開頭摘出術となります。これは、髄膜腫の発生した髄膜ごと取り除く方法ですので治癒率は非常に高いです。ただ、取り除きにくい場所に出来た場合にはガンマナイフなどの放射線治療で治療をすることもあります。

 

下垂体腺腫

下垂体腺腫とは

下垂体はホルモンを出す指令を行なっている部分です。下垂体腺腫とはこの下垂体に出来た良性腫瘍のことです。脳腫瘍全体の2割ほどを下垂体腺腫が占めます。成人女性に多く認められます。

下垂体腺腫の種類

下垂体腺腫はホルモン産生性下垂体腺腫とホルモン非産生性下垂体腺腫の2つにわけられます。
①ホルモン産生性下垂体腺腫
ホルモンの分泌を必要以上に促進するのが特徴です。

②ホルモン非産生性下垂体腺腫
ホルモンの分泌にあまり関与しないのが特徴です。

下垂体腺腫の症状

①ホルモン産生性下垂体腺腫

視力の低下や、視野が狭くなったりします。頭痛を伴うことも多いです。そして、ホルモンの分泌を過剰に促進しますので、それぞれのホルモンの役割に従った症状が発現します。

成長ホルモン産生性下垂体腺腫
成長期に発現した場合は身長が大きくなりすぎる巨人症になり、成人後に発症すると手や足が大きくなる末端肥大症という状態になります。末端肥大症では年々靴のサイズが大きくなるなどの症状を認めます。

副腎皮質ホルモン産生性下垂体腺腫
顔がむくんで丸くなる満月様顔貌や肥満、高血圧症などの症状を認めます。

性腺刺激ホルモン
男性の場合は性欲低下や勃起不全、女性の場合は生理不順、無月経、乳汁分泌などを認めます。

②ホルモン非産生性下垂体腺腫

下垂体腺腫の成長に伴って視力が低下したり視野が狭くなったりします。また頭痛を起こすことも多いです。腫瘍が原因となって下垂体の機能が低下しますので、生理不順やEDの原因となることもあります。

下垂体腺腫の治療

①ホルモン産生性下垂体腺腫

薬物療法が効果的なことがあります。特にプロラクチンホルモン産生性下垂体腺腫の場合は薬物療法が治療の第一選択となることもあります。薬による治療が効かない場合や吐気などの副作用により薬が使えない場合は手術適応となります。その他のホルモン産生性下垂体腺腫の場合は外科手術が第一選択となることが多いです。

②ホルモン非産生性下垂体腺腫

腫瘍が小さく症状に乏しい場合は経過観察となることが多いですが、反対に腫瘍が大きく視力障害などの症状が認められる場合は手術適応となり腫瘍を摘出します。

 

神経鞘腫

神経鞘腫とは

神経を包む役割をしているのがシュワン細胞とよばれるものなのですが、この部分から発生した良性腫瘍のことをいいます。脳腫瘍のうち1割近くがこの病気といわれています。成人に多く、男女比はやや女性に多いとされています。脳神経は全部で12ありますが、特に第8番目の内耳神経に出来やすいとされています。

神経鞘腫の症状

神経鞘腫はひとの声が聞き取りにくくなるなど耳の聞こえ具合の悪化から症状が始まることが多く、耳鳴りを伴うことが特徴です。腫瘍径が大きくなってきますと顔面神経麻痺や三叉神経麻痺といった顔を動かす筋肉が機能しなくなったり顔の感覚が無くなったりするようになります。

神経鞘腫の治療

小さな神経鞘腫の場合は経過観察になることもありますが、基本的には外科手術や放射線治療となります。神経鞘腫は摘出すれば治癒率は高いです。

放射線治療の場合は近年ガンマナイフを用いた治療が増加しています。放射線治療をおこなったからといって直ちに腫瘍が消失するわけではありませんが、腫瘍を小さくする効果や成長するのを抑える効果が期待出来ます。また、顔面神経など他の神経を傷つけるリスクなどが低いというメリットもあります。ただし30[mm]を超えるものについては適応が難しく外科的治療が選択されます。

 

頭蓋咽頭腫

頭蓋咽頭腫とは

脳と下垂体を繋いでいる部分に発生する良性腫瘍です。胎児の時に存在していた頭蓋咽頭管というところが生まれた後も消えずに残ったものから腫瘍が発生しているのではないかと考えられています。どの年齢層にも発生しうるのが特徴です。

頭蓋咽頭腫の症状

頭蓋咽頭腫の症状としては、頭痛や吐気、嘔吐が主となります。腫瘍が視神経を圧迫すれば視力が低下したり視野が狭くなったりします。また、下垂体の機能が低下するので子供の場合は成長が遅くなります。ほかには低体温症や意識障害などが症状として挙げられます。

頭蓋咽頭腫の治療

治療の第一選択は外科手術による開頭摘出術です。

良性脳腫瘍の新しい治療法

定位的放射線治療装置(ガンマナイフ)

腫瘍組織にだけ放射線照射が可能な近年開発された新しい放射線治療の方法です。定位的放射線治療装置、通称ガンマナイフとよばれる装置を用いて行ないます。通常分割外照射法とは異なり、照射を行うのは治療1クールで1回(通常2泊3日の入院期間のうち照射を行うのは1日だけ)と、入院期間が短期間であることや、脳腫瘍の位置をあらかじめCTやMRIを用いて正確に測定し、頭をしっかりと固定した上で放射線を照射するため正常脳組織が余分な放射線を受けないのが大きなメリットです。この大きなメリットがある反面、適応となる腫瘍の大きさに限度があります。腫瘍の直径が30mm程度までの転移性脳腫瘍などが適応となりますので、腫瘍径30mm以上の大きな腫瘍には使えません。治療に用いるガンマナイフという装置は新型モデルになればなるほど、自動化される範囲が広くなり、操作ミスなどの人的エラーのリスクが低下しています。

神経ナビゲーションシステム

これは車でおなじみのカーナビのように手術中どこを処置しているのかをリアルタイムで知ることが出来る方法です。手術前に撮影したCTやMRIの画像上に手術をしている部位の位置関係を表示することで、見えにくい頭蓋内の状況を3次元的に把握しやすくすることができます。このようにコンピュータの支援を受けることで、従来は術者の経験に大きく依存していた脳手術の安全性や正確性が高まりました。手術中の位置情報を獲得する方法にはカメラを用いる方法、磁石を用いる方法などいろいろあり、それぞれのメーカーの特色になっています。

 

 

 

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