喫煙や糖尿病は膵臓がんのリスクにもなります!

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[投稿日] '16/07/06 [最終更新日] '18/05/26 199views
喫煙や糖尿病は膵臓がんのリスクにもなります!

膵臓がんは早期には症状に乏しく、進行しても特徴的な症状に乏しいことから早期発見が難しいがんの一つです。また、進行が早いことから手術が可能な状態で発見されても5年生存率は10-30%と予後の不良な病気です。今回はそんな膵臓がんの概要とともにそのリスクについて紹介します。

 

膵臓とは

膵臓は胃のうしろあたりにある15cmほどの長さの細長い臓器であり、主に2つの働きをしています。

  • 食物の消化を行うための消化酵素を含む膵液を産生すること
  • 血糖値を下げるためのホルモンであるインスリンを産生すること

膵液は膵管を通って膵臓から分泌され、十二指腸に放出されますが、その過程で胆道(胆管)という肝臓で産生された胆汁を運ぶ管と合流します。胆汁は脂肪の消化と吸収に必要な液体で、肝臓で作られた後、肝臓内を走る胆道(肝内胆管)を通り、胆嚢に貯められた後に再度、胆道(肝外胆管)を通って十二指腸に排出されます。

膵管と胆道は十二指腸に出る直前、十二指腸乳頭と言われる部分で合流します。この十二指腸乳頭は括約筋という筋肉で囲まれており、膵液、胆汁が互いに逆流しないように調整しています。

 

膵臓がんの概要

膵臓は膵液を産生する腺房、膵液が通る膵管、インスリンなどのホルモンを産生するランゲルハンス島などから構成されていますが、膵臓がんの90%以上は膵管に発生するため、一般的に膵臓がんというと膵管がんを示します*1

膵臓がんの発症年齢は60歳ごろから増加し、高齢になるほど発症しやすくなります。男性の方がやや発症しやすく、男性では1年間に10万人あたり約29.1人、女性では約25.5人の患者さんが新たに膵臓がんと診断されます*1

膵臓がんは初期には症状に乏しいことが多いです。進行してくると胃のあたりや背中の重苦しさや痛み、お腹の具合が悪い、食欲がないという症状が認められます。膵臓がんに関連のある症状としては皮膚や目の白い部分が黄色くなる黄疸、糖尿病を発症したりすることがあります。いずれの症状も膵臓がん以外の病気でも見られることがあります。

症状に乏しいこともあり、膵臓がんが手術が可能な時期に発見される症例は15-20%程度と言われます。また、仮に手術が可能であったとしても手術後の5年生存率は10-30%と極めて予後が不良ながんと言えます*2

 

膵臓がんのリスク

膵臓がんのリスクには下記のものが言われています。

膵臓がんの家族歴

膵臓がんの患者さんの4-8%が血の繋がった家族の中に膵がんの方がいると言われています。ご家族の中に膵臓がんにかかった方がいらっしゃる場合、いない人と比べてて13倍も膵臓がんになるリスクが高いと言われています*3

喫煙

喫煙は膵臓がんの発症リスクを2.5倍増加させるという報告があります。ただし、喫煙年数や喫煙量が多いほど膵臓がんのリスクが高くなるかどうかについてははっきりしていません。喫煙者の膵臓がんのリスクは禁煙によって下がるとも言われており、10-15年の禁煙で非喫煙者と同じレベルまで下がるという報告もあります*2

糖尿病

糖尿病は膵臓が血糖値を下げるために放出するインスリンというホルモンが足りないことから血糖値が高い状態が続き、全身の血管などにダメージを与える生活習慣病の一種です。膵臓がんはそれ自体が膵臓を破壊し、機能を低下させ、糖尿病を引き起こします。そのため、膵臓がんが糖尿病によって引き起こされたのか、糖尿病によって膵臓がんになったのかは因果関係の調査は困難となりますが、糖尿病自体が膵臓がんのリスクになるという意見もあります。

国内のデータでは、糖尿病の患者さんでは膵臓がんになるリスクが男性で2.1倍、女性で1.5倍との報告もあります。以前まで血糖値に問題がなかった方が急に糖尿病を発症した場合や、長い間糖尿病の治療を行なっている方がはっきりした原因もなく急に治療経過が悪化した場合などでは膵臓がんを疑うことも必要となります*3

食事

燻製や加工肉などの肉類や脂質(飽和脂肪酸)、血糖値を急激に上昇させる食事は膵臓がんの危険性を高めると言われます。一方、ビタミンCや食物繊維を含む野菜や果物の摂取は発症リスクを低下させるというデータがあります*3

脂肪は大きく分けて飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2つがあります。飽和脂肪酸は常温で固まるものが多く、バターなどの動物性の油脂に多く含まれます。一方、不飽和脂肪酸は常温で液体となり、植物性の油や青魚に含まれるEPADHAなどに該当します。

肥満

日本のデータでは肥満と膵臓がんのリスクにははっきりとした関連は認められていませんが、海外のデータでは肥満指数(BMI: Body Mass Index)と膵臓がんのリスクは相関するという報告があります。BMIは体重(キログラム)÷身長(メートル)÷身長(メートル)で計算します(例えば身長170cm、体重60kgであれば、60÷1.7÷1.7=20.7となります)が、この値が30以上の人では1.3-1.4倍、膵臓がんのリスクが高いとの報告もあります*3

コーヒー

以前はコーヒーが膵臓がんのリスクを上げるとの意見がありましたが、現在では膵臓がんとコーヒーの関連は明らかではないと言われています。日本の疫学調査では全体としてはコーヒーを飲む量は膵臓がんのリスクと関連しないとのデータがありますが、男性だけでみると、よく飲む人たちではむしろ膵臓がんのリスクが低くなる傾向も報告されています。

 

これらの他に過去に胆石・胆嚢炎にかかったことがある人や慢性膵炎にかかった人なども膵臓がんのリスクが高いと考えられています。

膵臓がんは初期には症状もはっきりせず特徴的な症状もないため、早期発見が難しく、治療しても予後の悪いがんの一つではあります。これらのリスクに当てはまる方は生活習慣の見直しを行い、黄疸や原因不明の体重減少、背中の痛みなどが続く場合は一度、医師に相談をしてみましょう。

 

このコラムの続き「 膵臓がん/胆道がん手術はかなり大掛かり」のコラムでは、膵臓がん/胆道がんの手術、薬物治療、放射線治療などの詳細について紹介しています。

 

*1 国立がん研究センターがん情報サービス「膵臓がん」

*2 UpToDate「膵外分泌癌の疫学と非家族性の危険因子」

*3 日本消化器病学会「膵臓がんが疑われる症状から診断まで」

 

 

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