大動脈弁置換術は、トレーニングを積んだ心臓血管外科医ほど手術時間も入院期間も短くて済む!

大動脈弁置換術は、トレーニングを積んだ心臓血管外科医ほど手術時間も入院期間も短くて済む!

大動脈弁狭窄症に対する大動脈弁置換術とは

心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割を担っています。その送り出した血液が逆流しないようにするため、心臓は弁と呼ばれる組織を左右の心房・心室の間、そして心室と血管の間に計4つ持っています。左心室と大動脈の間にある弁が大動脈弁であり、大動脈弁が固くなり、血液の通り道である弁の隙間が狭くなってしまう病気が大動脈弁狭窄症と呼ばれる病気です。原因としては、リウマチ熱、先天性弁異常、加齢による変性などが知られていますが、この中で最も多いのが加齢による変性です。日本では高齢化が進んでいますが、それに伴う形で高齢者の大動脈弁狭窄症が増加傾向にあります。

大動脈弁狭窄症に対して行われる治療に、大動脈弁置換術があります。大動脈弁置換術は、機能不全になった大動脈弁を、手術によって人工心臓弁などに置換する治療法です。様々な病気を合併している高齢者の大動脈弁狭窄症の手術には高い技術も必要とされ、治療にあたる心臓血管外科医の技術の質を高く保つことは非常に難しいとされています。

 

大動脈弁置換術のトレーニングを受けた専門医とそうでない医師の成績を比較した論文

今回ご紹介する論文では、大動脈弁置換術の全症例(2,747症例)の内、オーストラリアの心臓血管外科学会による厳格なトレーニングを受けた医師によって行われた手術(369症例)とトレーニング未受講の医師との治療成績について比較が行われています。成績としては、手術中の処置時間そして短期および長期における術後の経過を検討しています。

トレーニングプログラムには最低限必要な手術の経験症例数が設定されており、これらの全ての手術記録は、トレーニング記録に記載され、6カ月ごとにチェックされています。

  • 400例の冠動脈バイパス手術の助手経験、70症例の執刀経験
  • 80例の大動脈弁狭窄症の助手経験、10回の執刀経験
  • 3例の僧帽弁手術の助手経験、5回の執刀経験

 

専門のトレーニングを受けた心臓血管外科医では、手術時間も入院期間も短い

手術データの比較を行ったところ、大動脈クランプ術(大動脈をクリップで止め、一時的に心臓の血流をなくす術式)ではトレーニングを受講した医師が平均73.2分であったのに対して、トレーニング未受講の医師で平均88.8分と、トレーニング後の医師の方が術中の処置にかかる時間が短いという結果がでました。また、術中に心臓の血流を保つ時間もトレーニングを受講した医師は117.9分だったのに対して、未受講の医師は平均98.9分と、心臓へ負担をかける時間が減っているという結果が出ています。

また術後の短期経過を比較したところ、術後の入院期間もトレーニングを受けた医師が治療した患者の方が平均して1日以上短いという結果がありました。術後長期の比較は1、3、5、そして7年の生存率で検討しましたが、こちらに関しては有意差は認めませんでした。

トレーニングを受講した医師が手術を行った場合、手術中に心臓の血流を保っている時間が長く、手術時間が短いながらも、合計入院期間の短縮が図れています。この結果は、心臓への負担が少なく、術後の回復が早いということを示しており、大動脈弁置換術を受ける場合は専門的にトレーニングを積んだ医師に執刀してもらうようが良いという結果を表しています。

 

大動脈弁置換術を受ける場合、専門性の高い名医を探すとよい

今回ご紹介した論文から、高い技術を獲得するためのトレーニングプログラムをきちんと受けている医師であるほど名医であるということが示されました。心臓は命に大きく係わる臓器の一つです。丁寧で素早い処置が、早期回復につながると言えると考えます。近年高齢の大動脈弁狭窄症の患者さんが増加傾向にあることからも、細かなリスクの管理が求められます。

日本では明らかなトレーニングプログラムというのはありませんが、オーストラリアのプログラムで最低症例数が設定されているように、経験症例数というのは非常に重要です。医師の手術数を参考に心臓外科手術の名医を探してみると良いでしょう。

 

参考論文:Training surgeon status is not associated with an increased risk of early or late mortality after isolated aortic valve replacement surgery:Saxena A, Dinh D, Smith JA, Reid CM, Shardey G, Newcomb AE

 

 

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