手術件数が多く専門性を持つ病院の方が、がんの治療成績がよい

手術件数が多く専門性を持つ病院の方が、がんの治療成績がよい

がんとは

がんは日本人の死因の第一位で、年間の死亡者数も年々増加しています。厚生労働省の「平成26年人口動態統計」によると、死亡率の高いがんは、肺がん・大腸がん・胃がん・膵臓がん・肝臓がんの順になっています。

がんは「細胞の病気」です。正常な細胞が突然変異してしまい、無限に増殖するがん細胞になってしまう病気です。がんになる原因はいくつも考えられていますが、DNAのコピーミスによる突然変異の蓄積が最大の要因の一つであると考えられています。また、がん細胞は死ぬことがないまま増殖し続けるため、集積してこぶのような細胞のかたまりになります。これが腫瘍です。

悪性腫瘍には3つの特徴があります。特徴の1つは「自律的に増殖をし続けること」であり、2つ目は「周囲に浸潤・転移していくということ」です。そして3つ目は、「悪液質」といって「身体が吸収しようとする栄養を奪ってしまう」という特徴があります。

 

がんの治療の種類

がんの治療には、手術・薬物療法・放射線療法と主に3つあります。

手術は、がんそのものを除去する治療法で、最も優先される治療法です。がんの転移がなければ完治の可能性が高いことがメリットですが、身体の回復に時間がかかったり、身体の機能が失われたりすることもあります。

薬物療法は、抗がん剤を使用してがんの増殖を抑えることを目的にしています。副作用が大きいことがデメリットですが、分子標的薬(特定の抗原を持ったがん細胞のみを攻撃する薬剤)など副作用の少ない薬の開発も進んでいます。

放射線療法は、手術のように体を傷つけることなく、がん細胞を小さくすることのできる治療です。しかしがんの種類や進行状況によって、放射線療法の効果は大きく異なり、放射線治療の適応とならないがんもあります。

がんの治療においては、手術が最も効果を期待できるわけですが、がんの手術において、治療成績が良いのはどのような病院でしょうか? たくさんの医師が勤務している大きな病院でしょうか? それとも専門分野に特化した病院でしょうか? がんの手術をしたいと思っても、どのように病院を選べばいいのか困ってしまうと思います。そこで今回は、病院の手術件数や病院の専門性が、がんの治療成績に影響を与えるかどうかについて調べた論文をご紹介します。

 

手術件数の多い病院ほど治療成績が良い

がんの治療の主な手段として手術がありますが、時にはその治療自体が非常に高いリスクを伴う治療になってしまうこともあります。そのため生命へのリスクが高い手術に関する研究は、過去から数多く実施されてきました。今回ご紹介する論文では、「病院の手術件数や専門性の高さ」と「がんの治療成績」(主に肺がん・膵臓がん・食道がん・胃がん)に関係があるのかということを、MEDLINE(医療関連論文を集積したデータベース)の1988年から1999年までの文献を用いて調べています。

生命へのリスクが高い手術に関する研究の具体例として、膵臓がん手術後(膵臓切除術)の死亡率調査の例が挙げられています。

カリフォルニア州の病院での術後死亡率調査において、年間の手術件数が1件以下の病院では死亡率14.1%だったことに対して、10件/年以上の病院では死亡率が3.5%となっているという調査結果がありました。また、全米がんデータベースを用いた調査においても、年間の手術件数が5件以下の病院では7.7%であったのに対して、年間20件以上実施している病院では4.2%と同様に死亡率が低下するという研究結果も示されています。

その他のがん手術に対しても、多くの研究で同様の比較が実施されていましたが、複雑な外科手術を伴うがんの治療において、病院の年間手術件数の多さが治療成績と関係していることを示していました。

生命へのリスクが比較的少ない手術に対しても、同様に研究が実施されてきました。研究対象となったがんの種類は、乳癌・大腸がん・前立腺がん・子宮がんなどです。1980-1988年にかけて行われた手術後の5年生存率を調査したイギリスの研究では、3786人の患者のうち、専門的な経験を積んだ医師とその他の病院において、5年生存率に違いが出るかについて、追跡調査が行われました。その結果、専門的な経験を積んだ医師が多い医師がいる病院ほど、5年生存率が8-9%改善されていることが示されました。また前立腺がんに関しては、101,604人の男性患者を対象とした論文において、1991年から1994年の間に行われた手術を調査検討したところ、病院の手術件数が多いほど30日死亡率や合併症の発症率が低下しており、症例数と病院の治療例数の間に関連性があることが示されています。年間40件未満の病院では0.63%のところ、年間140件以上では0.35%まで低下していました。

 

病院を選ぶときの目安として手術件数や専門性を確認しましょう!

調査の結果、手術件数が多い病院ほど、より良い治療成績を残していることが分かりました。つまり調査研究の結果から、病院の手術件数および医師の専門性が、がんの治療に影響を及ぼしていることが分かります。1年間にどのくらいの手術件数をしているとその病院は手術件数が多いのか、少ないのかは、がんの部位や種類によって異なりますが、がんの手術を受ける際に病院を比較されるなら、手術件数が多いか、専門性の高い病院かということを目安にしてはいかがでしょうか。

 

【参考文献】

J Clin Oncol. 2000 Jun;18(11):2327-40:Hospital and physician volume or specialization and outcomes in cancer treatment: importance in quality of cancer care.Hillner BE, Smith TJ, Desch CE.

 

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