視神経乳頭陥凹ありと言われたら、次受けなければいけない検査は…

視神経乳頭陥凹ありと言われたら、次受けなければいけない検査は…

職場などで行なわれる一般的な健康診断では、目の検査については視力検査が主ですが、人間ドックなど、更に詳細な健康診断を受けると、目に関する検査でより細かい内容の検査を行なうことがあります。

目のかすみや痛みなどの自覚症状もないところに、目の精密な検査によって、” 視神経乳頭陥凹あり”という検査結果が出されたら、驚きますよね。

”視神経”という検査項目ですので、何となく目に関することであることはわかります。けれども、視神経乳頭なんて聞き慣れない言葉ですから、不安になりますよね。もし目が見えなくなったらどうしようと悩んでしまうこともあるかもしれません。そこで、 ”視神経乳頭陥凹あり”という検査結果について、視神経乳頭とは何か、”視神経乳頭陥凹あり”という結果から疑われる病気について、わかりやすくまとめてみました。

 

視神経乳頭(ししんけいにゅうとう)ってなに?

まずは、視神経乳頭について理解するところから始めましょう。視神経乳頭とは、網膜とよばれる眼球の内側にある薄い膜の神経線維が眼球(目玉のことです。)の外へ出るところのことです。網膜の内側にある神経線維は、視神経乳頭に集まり、ここを経て視神経とよばれる視覚に関係する脳神経につながっています。この網膜の内側の神経線維が、網膜にうつった光を集める役割を果たしており、この光の情報が視神経を伝って脳に送り届けられます。ですから、視神経乳頭はいわば、視神経という脳に目から得られた光の情報を伝える神経につながる中継点にあたるわけです。

視神経乳頭陥凹、加齢黄斑変性 眼科

この視神経乳頭は、円形に近い形をしておりまして、少し盛り上がって見えるために、このような名前がつけられました。ところで、少し盛り上がっている視神経乳頭の中央部は、逆に少しくぼんでいます。これを”生理的陥凹(せいりてきかんおう)”といい、この少しくぼんだ形が正常な状態です。くぼみができる理由は、乳頭の表面にあったグリア細胞とよばれる神経細胞に栄養を与えたり、その神経構造を支えたりしていた細胞群が消失したことによります。

視神経乳頭は、特別な検査機器を使えば、外から見ることができます。視神経乳頭部を診るために行なわれる検査が、”眼底検査(がんていけんさ)”という検査です。眼底検査をすれば、眼球の中心部から少し鼻の方向にずれた位置に、丸い形で存在しているのが見えます。もしも、眼底検査の結果、”視神経乳頭陥凹あり”と指摘されれば、この凹みが大きくなっている事を意味します。眼底検査は、基本的には痛みを伴う検査ではないのですが、検査の際に眩しさを感じることがあります。検査については後ほど詳しく説明します。

 

「視神経乳頭陥凹あり」となる原因ってなに?

視神経乳頭は、実はとても弱い部分です。眼球の内部の圧力(これを眼圧といいます。)が高まると、それに容易に負けてしまい、視神経乳頭の本来持っていた生理的陥凹が拡大し、”視神経乳頭陥凹あり”という状態になると言われていました。しかも眼圧を下げると視神経乳頭陥凹が改善することからも、その説が有力でした。

ところが、逆に眼圧が正常なレベルであっても”視神経乳頭陥凹あり”という状態になることがあります。そのため、”視神経乳頭陥凹あり”となる原因ですが、現時点では実はよくわかってはいないのです。眼圧が高くなり”視神経乳頭陥凹あり”となるという従来からの説の他、視神経乳頭部の血流に異常が起こって生じるのではないかという仮説、遺伝子上の問題でもともと視神経乳頭部が弱かったために起こるのではないかという仮説、パーキンソン病などの神経が異常を起こす病気により視神経乳頭の陥凹が拡大するのではないかという仮説など、いろいろありますが、まだどれも仮説の段階です。

 

「視神経乳頭陥凹あり」となる基準値について

視神経乳頭

視神経乳頭

視神経は、直径1.5mmほどの太さの神経で、眼の中心部からやや鼻側にずれた位置にあり、脳につながっている脳神経です。ちなみに全部で13ある脳神経のうちの2番目の脳神経ということで、第2脳神経ともいわれます。そして、視神経の中心付近に白っぽい色調で見えるのが、視神経乳頭です。正常な視神経乳頭のくぼみである生理的陥凹の場合、一般的に、視神経乳頭の直径に対して約50%ほどのくぼみであるといわれています。そして、この視神経乳頭に対するくぼみの比率が60%を超えると”視神経乳頭陥凹あり”といわれることになります。

ただし、視神経乳頭の陥凹の範囲が視神経に対し60%を超えているからといって、必ずしも目のかすみや痛みなどの自覚症状があるとは限りません。自覚症状がなく人間ドックなどの検診で偶然見つかることも多いです。

 

「視神経乳頭陥凹あり」というときに考えられる病気について

緑内障(りょくないしょう)

緑内障とは、目の病気の一つです。目の神経細胞が死んでしまう病気で、目の見える範囲である視野がどんどん狭くなってくることが特徴です。一度狭くなった視野は元に戻ることはないため、進行すればやがて失明に至ることもある病気です。以前は、眼圧が高まる事が緑内障の原因とされ、眼圧を下げる治療がなされていました。実際、眼圧を下げると緑内障が改善します。しかし、眼圧を下げれば必ずよくなるということでもありません。実際に眼圧を下げても改善されない症例もあるために、現在では、眼圧の上昇だけが原因ではなく、視神経乳頭に異常が起こることで緑内障が起こるのではないかと考えられるようになりました。

”視神経乳頭陥凹あり”と検査で指摘されるということは、緑内障にかかっている可能性が高いと考えられます。緑内障と診断された人は、日本人の約4%ほどといわれていますので、日本国内では200万人くらいになる計算です。ですから、珍しい病気ではありません。緑内障で狭くなった視野は、自然になおることはありませんし、現在の医学では元には戻すこともできません。

緑内障は、目の痛みや目のかすみなどの自覚症状がなく、とてもゆっくりと進行していくことがほとんどなので、なかなか気がつかない場合が多いです。しかも、片方の目に緑内障が発生しても、反対側の正常な目で緑内障で狭くなった側の視野を補ってしまうので、よほど大きく視野に異常が認められるまで、視野が狭くなったことすらもわからないこともあります。視野を回復させる方法がない現在、緑内障を初期のうちに見けることができるのが大切です。そのためにも定期的に目の定期検診をうけ、まだ視神経乳頭の陥凹が軽度なうちに、”陥凹あり”と見つけてもらうほうがいいでしょう。

 

「視神経乳頭陥凹あり」となった場合の追加の検査

眼底検査で”視神経乳頭陥凹あり”となった場合は、緑内障の可能性が高くなります。緑内障かどうかを診断するために、追加で眼圧検査、隅角検査、視野検査を行ないます。

眼圧検査(がんあつけんさ)

眼圧とは、目の内部の圧力のことです。眼圧を測定する方法は2種類あります。目に直接接触して測定する接触型と、目に風を当てて測定する非接触型です。接触型は、検査機器を目に直接当てて行なわれる検査法なので、目に麻酔をしないといけませんが、非接触型はそうではなくより行ないやすい検査です。しかし、非接触型で検査をしたのち、より精度の高い検査が必要となれば麻酔をして接触型の眼圧測定をすることになります。緑内障では、眼圧が上がる事が多いので、欠かせない大切な検査です。

隅角検査(ぐうかくけんさ)

隅角検査を行なうと緑内障のタイプがわかります。目の表面に麻酔をしたのち、検査用のコンタクトレンズを角膜に装着して押し当てて行ないます。麻酔していますから痛みは伴いません。

視野検査(しやけんさ)

緑内障の主な症状は視野が狭くなる視野狭窄です。そのため視野検査も必要です。特殊な検査機器の前に座り、30分ほどかけて小さな光の点がどこまでみえているかを調べます。

緑内障の視野狭窄は、初期段階では中心から15°から30°付近の中心付近の範囲に起こりますが、その後、進行に伴い、末期になるまで中心付近の視野は回復し、保たれるようになることが多いです。ですが、もし中心部の視野まで狭窄が進行してしまいますと、急速に視力が低下していきます。ですから、視野検査は緑内障の進行具合を知る上でも非常に大切です。

緑内障の治療法

緑内障の治療法について、視神経の再生については現時点では望みが薄く、眼圧を下げて進行を遅らせる治療が主です。眼圧を下げる方法としては、目薬や飲み薬などの薬物治療と外科手術があります。

”視神経乳頭陥凹あり”と診断された時点がもし、緑内障の初期段階であったなら、薬による治療で対応する可能性が高いです。もし、目薬の治療が開始されたなら、決められた時間に必ず目薬をさすようにしてください。また、外出時など途中で目薬がなくなると困りますので、予備を少なくとも1つは携帯するよう心がけてください。

ところで、緑内障で失われた視神経は元に戻す方法は、今のところありません。しかしながら、まだ、確立はされていないのですが、現在消失した視神経の再生治療が研究されています。そんな中、iPS細胞から視神経細胞をつくりだすことに、日本の国立成育医療センターの研究チームが世界で初めて成功しました。視神経の再生が確立されると緑内障にとって根本的な治療が行なえるようになりますので、今後の研究の成果が期待されます。

 

「視神経乳頭陥凹あり」となる可能性が高い人

眼圧が高いと、視神経乳頭の陥凹が広くなりやすくなり、”視神経乳頭陥凹あり”と指摘されるリスクが上がります。また、年齢と共に緑内障のリスクが上がってきます。特に高齢者については、”視神経乳頭陥凹あり”と指摘される可能性が、より高くなってきます。そのほか、両親や親戚に緑内障の人がいる場合、視神経乳頭の陥凹が広くなりやすい傾向があります。そして、近視もリスク要素の1つにあげれられています。

 

「視神経乳頭陥凹あり」となる前に、予防法について

”視神経乳頭陥凹あり”となると、緑内障の可能性が高まってきますが、そうなる前に予防する方法があります。視神経乳頭は、圧力に弱いという特徴があります。眼圧を高めない事が一番の予防法です。具体的には、長時間顔を下に向けないよう気をつける、襟元のきつ過ぎる服を着ない、ネクタイを締めすぎないなどです。1リットル以上の大量の水分を一度に飲み干すのも眼圧が上がりますので、よくありません。抗うつ剤も種類によっては眼圧を高める事がありますので、不安な場合は、主治医の先生に相談してください。

 

まとめ

目の検診で、”視神経乳頭陥凹あり”という検査結果を渡された人のすべてが、緑内障であるというわけではありません。また、緑内障であると診断されても、自覚症状を覚えることなく生涯を終えることができる可能性も少なくありません。ですが、一旦進行し狭くなった視野を回復させることは、現時点では非常に難しいです。ですから、”視神経乳頭陥凹あり”と指摘された場合は、緑内障の可能性も視野に入れて、たとえ自覚症状がなくても必要に応じて追加の検査を受けるようにしてください。

そして、その結果、緑内障が疑われる場合は、目薬や飲み薬を処方してもらうなど、適切な治療を受けるようにしてください。また、”視神経乳頭陥凹あり”とならなくても、緑内障を初期のうちにみつけるために、定期的に目の検査をうけるようにしましょう。

 

 

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