パニック障害/不安障害の治療には薬物療法とともに精神療法の併用が効果的

パニック障害/不安障害の治療には薬物療法とともに精神療法の併用が効果的

パニック障害はパニック発作の激しい症状のほかに、予期不安や広場恐怖が生じることによって生活への支障が大きくなります。パニック発作を起こしやすい要因にはどのようなものがあるのでしょうか?ここでは、パニック障害の原因と治療についてご紹介します。

 

パニック障害/不安障害の原因

パニック障害がなぜ起こるのか、詳しい原因はわかっていません。しかし、原因と考えられるいくつかの要因や誘因が挙げられています。

脳の機能障害

パニック障害の患者さんの脳の様子を調べると、脳内の情報伝達に必要な神経伝達物質の一つセロトニンの働きが十分でないことが知られています。

パニック障害の患者さんにパニック発作や予期不安が現れるのは「心の弱さ」や「気持ちの問題」と周囲も、患者さん自身も考えがちです。しかし、パニック障害は、現在のところ脳の機能障害が起こることによって発症するのではないかと考えられています。

遺伝的要因

親や兄弟姉妹、子どもにパニック障害になった人がいる場合は、一般の人に比べて発症する可能性が高くなるようです。

しかし、一卵性双生児の研究では、一方がパニック障害のとき、もう一方がパニック障害になる確率は二卵性双生児に比べて高いものの30%強に過ぎません。パニック障害の発症は遺伝的な要因よりも、むしろ環境的な要因の関与の方が大きいのではないかといわれています。

心理的・社会的な要因

パニック障害の発症の誘因としては心理的なストレス、特に、発症する前の一年間に受けたストレスが指摘されています。他に、虐待を受けた経験や家族の死、15歳になる前に親と離れた経験なども発症の可能性を高めるようです。

また、世間体や恥をかくことに対する意識のように、地域、時代、文化などによって生じる他人と異なるという意識が心理的なストレスに影響し、発症につながるのではないかという意見もあります。

生活習慣も誘因になる

カフェインやニコチンの過剰摂取はパニック発作を誘発させるだけでなく、症状を重くする可能性もあるので注意が必要です。

また、飲酒習慣のある人はアルコールを飲むと予期不安や広場恐怖が一時的に緩和することがあるためアルコールで対処する傾向がみられます。しかし、アルコールが身体から抜けると不安が強くなるといったリバウンドが起こり、パニック障害の症状が悪化したり、アルコール依存症になったりすることも少なくありません。

さらに、睡眠不足をはじめ、低血糖や疲労などもパニック発作を誘発する要因といわれています。

 

パニック障害/不安障害の治療

パニック障害をはじめ、強迫性障害などの不安障害は、薬物療法とともに認知行動療法を中心とした精神療法を併用すると治療効果が高まるといわれています。

薬物療法

パニック障害の治療で重要なことは、パニック発作を消失させることです。予期不安は発作がなくなっても続くことはありますが、発作が治まることで予期不安も広場恐怖も改善することが期待できます。

パニック障害の治療に用いる薬剤は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と呼ばれる抗うつ薬です。SSRIは神経伝達物質であるセロトニンの働きを高める作用があり、パニック障害以外の不安障害の治療にもよく使われています。

不安感やうつ症状の改善に効果があるSSRIは薬の依存も生じないことがメリットですが、効果が出るまでに2~4週間ほどがかかることが多いため効き目の早い抗不安薬を併用するのが一般的です。また、SSRIは飲み始めの時期に吐き気や下痢などの副作用が現れやすいため少量で始めて徐々に増量します。
一方、SSRIの効果が現れたら抗不安薬は状況をみながら減量し、依存の防止を図ることも重要です。

なお、SSRIは症状が良くなってもすぐに止めず、医師の処方通りにしばらく続けましょう。服薬を継続することで症状を安定させ、再発を予防することが大切です。

●効果の出現が早いSSRIも登場

近年、SSRIの中に効果が早く現れる「レクサプロ」(エスシタロプラム)が登場しました。レクサプロは従来のSSRIより副作用が少ないため、飲み始めの段階から治療に必要な量を服用できる点がメリットです。

ただし、副作用がない訳ではなく、口の渇きや吐き気、眠気などが現れることもあります。また、薬の価格が高いこともデメリットの一つです。

精神療法

パニック障害における認知行動療法の効果は、多くの研究や脳の画像上の変化などによって確認されています。そのため、薬物療法に併用して認知行動療法を行っている医療機関が多いです。認知行動療法では病気の正しい理解やパニック発作への過剰な不安の軽減、また、リラクセーションの方法を身につけ、回避していた状況に対処できるようにします。

さらに、エクスポージャー(暴露療法)と呼ばれる行動療法は、これまで不安のために回避していた場所や状況を回避せずに繰り返し体験して慣らしていくというものです。その中で、回避していた場所に行っても「発作が起こらない」ことを確認し、うまくいった経験を増やすことにより恐怖心を軽くし必要な行動ができるようにします。

 

パニック障害/不安障害の最新治療

第三の行動療法ACT

ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー:アクト)はパニック障害だけでなく、その他の不安障害に対しても効果が示され、近年、注目されています。

ACTにはアクセプタンス、コミットメント、マインドフルネスの3つの概念があり、マインドフルネスはACTの中心となる概念です。ACTは、エクスポージャーなどの第一世代の行動療法、そして第二世代といわれる認知療法を取り入れた認知行動療法に続く、第三の行動療法と呼ばれています。

ACTでは考えを修正するのではなく、思考や感情などをありのままに受け入れ(アクセプト)、とらわれからの開放に重きを置くことが特徴です。不安や苦痛は回避せずにそのままに受け入れ、自ら目標に向かって実行していくこと(コミットメント)を目指します。

マインドフルネス

また、マインドフルネスを取り入れた治療法は、2000年以前にも欧米から日本に伝えられていましたが、2010年代になって日本でも関心が高くなりました。

マインドフルネスはストレスの軽減法として呼吸や体感に意識を集中する「マインドフルネス瞑想」といった瞑想技法を取り入れたアプローチもあるため、スピリチュアルな印象をもつ人も多いようです。しかし、うつ病や統合失調症などの症状改善に効果があることが研究でも示され、現在ではパニック障害などの不安障害の治療に導入している施設が増えています。

 

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