発達障害の治療では心理社会的な治療が中心です

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[投稿日] '16/04/17 [最終更新日] '18/03/18 563views
発達障害の治療では心理社会的な治療が中心です

発達障害は対人関係やコミュニケーションの障害などの特性から、生活のしづらさを抱えることが多いです。また、親としてどのようにかかわったらよいかと悩んだり、「親の育て方の問題」といった誤解を受けたり、辛い思いをしている人は少なくありません。
ここでは、発達障害の原因と治療についてご紹介いたします。

 

発達障害の原因

発達障害の人に起きている脳の機能障害は遺伝などの生まれつきの要因、あるいは妊娠中や出産のとき、生まれて間もない時期の何らかの要因で起こると考えられています。しかし、原因そのものは不明です。

現在のところ発達障害は一つの要因ではなく、遺伝的な要因や複数の環境的な要因が関連し合って起こるのではないかという説が有力で、親の育て方が原因ではありません。

 

発達障害の治療

発達障害の治療では心理社会的な治療が中心で、薬物療法は補助的な役割を果たしています。

心理社会的治療

心理社会的治療は個々の特性や発達レベルに合わせた働きかけによって行動の異常の改善や予防、また、環境に適した行動を促すことを目指した治療法です。

世界的なアプローチ法としては、米国のノースカロライナ州立大学を基盤にして実践されているTEACCH(ティーチ)プログラムがあります。TEACCHは自閉症の子とその家族への支援をはじめ、支援にかかわる専門家の養成なども行う包括的なプログラムです。TEACCHでは観察によって認知と行動の面から障害の特性を理解し、養育者と専門家が協力してかかわることで「その子らしく」地域でいきいきと生活できることを目指します。

TEACCHで使われる「構造化」は混乱の少ない、不適応を起こしにくい状況をつくることで理解を促し、学習や活動が効果的にできるようにする支援方法です。たとえば、スケジュールを絵や写真などを使い、「いつ・どこで・何をするか」を提示(時間の構造化)します。また、視覚的構造化は視覚情報の処理に優れている特性を活かし、「聞く」だけでなく「見える形」にして理解を促進する方法です。

さらに、対人スキルなどを身につける社会的スキル訓練(Social Skills Training:SST)や養育者がかかわり方などを学ぶペアレント・トレーニングなどもあります。養育者も「共同治療者」として生活の中で適切な方法でかかわり、支援することが求められます。

薬物療法

注意欠如多動症(ADHD)には治療薬がありますが、障害そのものを治す薬ではありません。また、薬物療法を始める前には周囲が障害を正しく理解し、お子さんへの対応の仕方を身につけるなど環境を整えることが重要です。

ADHDの多動性や集中できないなどの症状には中枢神経刺激薬の「コンサータ」(塩酸メチルフェニデート)を使うと改善が期待できます。ADHDの治療に使うのは徐放剤という効果が長く続くコンサータです。副作用としては、コンサータは脳を刺激して覚醒させる作用があるため不眠となることがあり、食欲不振などの副作用もあります。

また、「ストラテラ」(アトモキセチン)もADHDの子の注意力や集中力を高め、落ち着きをもたらす作用がある薬です。非中枢神経刺激薬のストラテラは食欲不振が現れてもコンサータよりも軽く、不眠で困ることもそれほど多くありません。しかし、効果が出るまでに1ヶ月以上かかることもあるのがデメリットです。

自閉症スペクトラム障害で現れやすい過敏さや情緒の不安定さ、不眠などが著しいときは薬物療法で症状の緩和を図ることがあります。特に、興奮やかんしゃくなどが増えると危険なこともあり、友人関係などにも影響を与えるので抗精神病薬や抗てんかん薬を用いて治療することが多いです。

さらに、こだわり行動や強迫行為に対しては抗うつ薬の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などを使うことがあります。

 

治療薬の効果を予測する客観的な指標に関する研究

コンサータはADHDの治療によく使われますが効果を示すのは約7割、残りの約3割には長期に服用しても改善がなかった子も含まれています。コンサータは食欲不振や不眠など成長期のお子さんにとって影響の大きい副作用があるため、治療効果の予測は治療法の選択において大きな意味をもつものです。

2015年、東京大学大学院医学研究科の石井らの研究グループは、ADHDの子に対するコンサータの治療効果を予測できる可能性をもつ指標について報告しています。その指標は、コンサータの服用前と一度、服用した後に「光トポグラフィー検査」を行うことで得られる客観的な指標です。

身体に害のない光トポグラフィー検査で治療の効果を客観的に予測できれば、治療による副作用などのリスクや負担が軽減されるでしょう。今後、さらなる研究開発が期待されています。

発達障害のあるお子さんがその子の特性を活かして健やかに育っていくには医療や福祉、そして教育との連携も不可欠です。必要なのは医療だけではありませんが、行動の異常などが著しい場合は治療により症状が和らぐと疎通性がよくなり、福祉や教育のアプローチがしやすくなることも少なくありません。発達障害の名医を受診したい、というときは、クリンタルで探してみましょう。
 

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