それぞれの医療機関の機能を理解して正しい医療機関を受診しよう

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[投稿日] '15/10/21 [最終更新日] '18/03/18 1,211views
それぞれの医療機関の機能を理解して正しい医療機関を受診しよう

どの分類の医療機関を受診したらいいの?

これまでのコラムで、医療機関は規模や機能により、かかりつけ医(クリニック)、一般病院、高度医療機関に分けられることをお話しました。また別のコラムで、診療科ごとに診てくれる(得意とする)疾患が異なることもお話しました。ですので、受診する際には、医療機関分類 × 診療科を決めなくてはならないので、そのパターンは数多くあり、「もう自分で最適な受診先を選ぶなんて無理、面倒くさい、医者にまかせるよ」となってしまうかもしれません。ただ、基本的にはその考え方でもそれなりの医療が受けられるような仕組みはあります。

ここで、医療機関の関係性、受診フローの図を再掲します。

医療機関の役割分担

この図のように、各医療機関がより適した医療機関を紹介する仕組みになっています。また、担当医師自身が専門とする疾患でない場合、その疾患を診ることができる診療科を紹介してくれる仕組みも当然あります。

ですが、「患者をどの医療機関に紹介するか」は、医療機関同士・医師同士の関係性などの影響を大きく受けるため、「100%患者目線」であるとはいいきれないのが現状だと思います。自分や家族が本当に適した医療を受けるためには、全てを医者・医療従事者まかせにするのではなく、ご自身で情報を得て、選択していくという積極的な姿勢が必要になります。

“受診する理由”から受診すべき医療機関を選ぶ

受診すべき医療機関分類がどこかは、正確にはどんな症状なのか、何の疾患なのか、によって違ってきますが、あなたが受診を必要と思った理由・動機、受診の目的、受診のきっかけから大まかには分かります。(下記の図は、1〜4の理由の時に、主にどの医療機関分類を受診することが多いか)

どの医療機関が主か

1. 具合が悪くなった(疾患の発症)

医療機関を受診する理由として、当てはまる方が最も多いのではないでしょうか。「転んで怪我をした」「熱がある」「咳が出る」「頭が痛い」「胸が痛い」など、何らかの症状が出現している状況です。つまり何らかの疾患を発症しているということです。あなたは、その症状の原因疾患を診断してもらい、治療してもらうために医療機関を受診することになります。この場合、症状の種類と重症度から医療機関を選ぶべきなのですが、実はこの状況が適した医療機関を選ぶことが一番難しいです。診断はまだついていないのですから、何の疾患かもわかりませんし、また、「重症度」はこの時点ではあくまでも患者さんの主観であるからです。

この”きっかけ”から医療機関を選ぶときは、症状の重症度を主観的に判断して、「軽い」ようならかかりつけ医(クリニック)、「重い」ようなら一般病院、「ものすごく重い、急激に悪くなってきている」ようなら救急車を要請するということになるでしょう(どんな症状の時に、どの医療機関を受診すべきかという詳細については今後のコラムでお話していきます)。

「あれ?高度医療機関は出てこないの?」とお思いの方もいるでしょう。基本的に高度医療機関は患者独自の判断で受診しても患者のメリットになることは少ないのです(参照:「高度医療機関」の役割ー医療機関分類③参照)。ですので、診断がついていない状態では、「ものすごく重症だから高度医療機関」と考えるのではなく、まず一般病院を受診する、あるいは救急車を要請することによって、高度医療機関を受診すべきかどうかを医療従事者に判断してもらう(参照:“どの診療科にいけばいいの?”ー「受診する」って難しい!②)のが良いです。余談ですが、救急車は「重くて急ぎの症状がある人」のためのシステムですので、軽い症状でタクシー・案内係代わりに使用することはやめましょう。

2. 健康診断でひっかかった項目がある

多くの方は、職場や学校などで定期検診を受けていると思います。その結果、「要精査」「要受診」などと言われたことはありませんか?これは、現時点で何らかの疾患を発症しているとは言い切れないが、詳しく調べる必要があるという意味ですので、医療機関を受診するきっかけとなります。(ちなみに、健康診断で引っかかっても無視している人は、健康診断を受けた時間・お金をムダにしていることになるので、よくないですよ。)

この場合は、まずはかかりつけ医(クリニック)が妥当だと考えられます。検診結果を総合的に判断して、そこから疑われる疾患や、追加で行うべき検査をある程度絞って、適切な医療機関を紹介してもらうという流れが効率がよいでしょう。

3. 定期通院

これも医療機関を受診する理由としてはよくあるものでしょう。糖尿病、高血圧、脂質異常症、喘息などの慢性的な病気におかかりの方は、薬の処方を受けたり、病気がうまくコントロールできているかを確かめるために、定期的に受診する必要があります。

この場合も、基本的にはかかりつけ医を受診することになります。ただし、この定期通院というパターンは、真に適切でない分類の医療機関を漫然と受診してしまっているということが起こりえますので注意しましょう。一般病院に通っていて、「もう何年も通っているが、2時間近く待って、2分ぐらいでいつもの薬を処方されるだけ」といった場合は、今後はかかりつけ医(クリニック)でもよいかどうか聞いてみる、という方法もあります。また、定期通院先が高度医療機関になってしまっているというケースでも、一般病院・かかりつけ医(クリニック)に変更することなどを検討してもよいでしょう。病院の変更に気を遣う患者さんも多いのですが、病状の安定した慢性疾患で、定期通院のためだけに家から遠かったり、待ち時間がながかったりする高度医療機関を受診するのはムダが多いですし、患者・医師双方納得してのことならよいのです。ですので、受診に何らかの不便を感じている際には、いきなり病院を変更するのではなく、一度先生に相談してみるといいでしょう。

4. よりよい治療があるかもしれない(セカンドオピニオン等)

セカンドオピニオン

どこかの医療機関で、疾患の診断がついていて治療を開始している、または治療を提案されている方の場合です。ある医療機関のある医師に提案された治療方針があなたにとって最適であるかどうかを判断することは非常に難しいことです。ネット上にはあなたの病気に関する情報が溢れていることでしょう。「私にはこの治療のほうがあっているのではないか」「もっと良い治療法があるのに、なぜやってくれないんだ」など、疑問をもつこともあるでしょう。しかし、いくら多くの情報を得ても、一般の人には、何が正しいか、どの治療法が適しているかを判断することはかなり難しいです。ですので、主治医に治療法を相談し、説明を受けることが治療を進めていくうえで重要なのですが、それでも納得できない場合もあるでしょうし、実際その主治医の判断が最適という保証もありません。そのようなときには、他の医師の意見を聞いてみるのが一番です。(この場合ももちろん、現在の主治医に相談した上で、がよいでしょう。)

この理由で受診すべき医療機関は、あなたの疾患の専門家であることがわかっていればどこの医療機関でもよいのです。ただ各診療科の専門医が多く在籍しているという意味で、高度医療機関が該当することが多くなります。また、この目的を果たすにはいわいる「名医」が求められると思いますので、クリンタルの「名医検索機能」をご利用いただくのもよいでしょう(ただし、疾患や重症度によっては、名医を探している場合じゃないこともありますので、お気をつけ下さい)。

 

 

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