乳がんの名医はセンチネルリンパ節生検を積極的に取り入れる

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[投稿日] '16/03/01 [最終更新日] '18/08/14 views
乳がんの名医はセンチネルリンパ節生検を積極的に取り入れる

乳がんは現在、日本人女性の15人に1人が発症しているとも言われており、定期的な検診の重要性が非常に高い病気の一つです。

乳がんの手術には乳房を温存する方法と乳房を全摘出する方法の2つがあります。「乳房をできるだけ残したい」という多くの患者さんの希望を叶えていく上で、重要になるのががんがどこまで広がっているかを精密に検査する事です。

今まではがんの転移をできる限り防ぐために、手術を受けるすべての乳がん患者さんに対してリンパ節の除去を行う事が一般的でした。しかし、リンパ節を除去してしまうと腕のむくみや腕の感覚異常など、手術による影響も大きいというのが実情です。またもしリンパ節に転移していない場合だと、リンパ節を除去することは体にとってのデメリットの方が大きく、除去しないで済む方法についても模索されてきました。

そこで現在は、がんがリンパ節へ転移しているかどうかが分かりにくい場合、センチネルリンパ節生検を行い、手術で切除しなければならない範囲を決めるという方法が日本でも行われるようになってきています。

できる限り影響の少ない手術を受けるためには、センチネルリンパ節生検がひとつのカギになりそうです。今回「センチネルリンパ節生検は名医の方が積極的に行っている」というアメリカの論文を見つけたので、ご紹介しますね。

 

乳癌に対するセンチネルリンパ節生検とは

日本で行われているがんの手術のほとんどは、がんとリンパ節を同時に切除します。その目的は、がんが他の臓器へ転移するルートであるリンパ節もできる限り取り除き、がんが転移しないようにすることです。乳がんに対しても以前は標準的にがんやリンパ節を全て切除していましたが、リンパ節を取り除く手術(リンパ節廓清)を行うと手や腕のむくみやしびれを来すことが多く、体への負担が大きいのも事実でした。

最近では検診などで早期のがんが発見されるようになり、リンパ節に明らかに転移がない場合にはリンパ節廓清を行わない治療が取り入れられています。それを判断するときに用いられる方法がセンチネルリンパ節生検です。

センチネルリンパ節とはがんが最初に転移すると考えられているリンパ節のことで、手術中に放射性同位元素または染料、または両方を用いて同定し、そのリンパ節を顕微鏡で確認し、がん細胞がないか確かめます。がん細胞がない場合には転移がないと考え、リンパ節廓清を省略します。

この方法は約10年前にアメリカで提唱され、乳がんだけでなく皮膚がんや陰茎がんなどの手術においても行われており、日本でも取り入れる施設が増えています。

 

乳がん手術の経験数が多い名医ほどセンチネルリンパ節生検を実施

今回紹介する研究では、カリフォルニア州・フロリダ州・イリノイ州の病院で2003年に乳がんに対する手術を行った65-89歳の1,703名の女性患者を対象にして調査が行われ、併せて乳がん手術を行った医師863名に対しても解析が行われています。

1年間の経験症例数は医師によって約2~57例と開きがあり、その医師が1年間に行っている手術に対して乳がん手術が占める割合も、0.4~100%と大きな違いがありました。

統計を取ったところ、全体の56.4%がセンチネルリンパ節生検、37.2%がリンパ節廓清を受けており、生検もリンパ節廓清も受けなかった患者は6.3%となりました。そしてその結果を更に検証したところ、経験症例数の多い医師または年間の手術件数に占める乳がんの割合が高い医師の方が、乳がんに対してセンチネルリンパ節生検を行っていることが明らかになりました。また同様にアメリカ胸部外科学会や腫瘍外科学会に所属している医師の方が、センチネルリンパ節生検を行なっているということも判明しました。

この研究では、乳がん手術の経験症例数が少ない医師は、センチネルリンパ節生検を行わずに不必要なリンパ節廓清を行いがちであり、結果として腕や手のむくみなどの症状を引き起こす可能性があると示されました。その結果を踏まえて、乳がん手術を受ける際にはできるだけ経験数の多い名医にかかる方が、患者にとってメリットの大きい検査・治療になると結論付けています。

 

日本でも名医は乳癌に対しセンチネルリンパ節生検を実施

乳がん治療ガイドラインという、乳がんの標準的な治療方法を示した文章でも、センチネルリンパ節生検は有効性の高い検査方法であると書かれています※1。今までのように全ての患者さんへリンパ節の除去を行なった場合と、センチネルリンパ節生検の結果によって除去するかどうかを決めた場合を比較して、その後の生存率に変化がないということも研究によって証明されています。

クリンタルで名医がいる病院として紹介している順天堂大学医学部附属順天堂病院 乳腺科国立がん研究センター中央病院 乳腺外科などのホームページには、乳癌に対してセンチネルリンパ節生検を実施していると書かれています。日本でも乳癌症例経験数の多い施設または名医は、センチネルリンパ節生検を取り入れていることが多いと推測されますが、最初から選択肢に挙げられるか否かは患者にとって大切なことです。乳がんに対する手術をする場合には、症例経験数やセンチネルリンパ節生検の実施の有無などについて注目して調べると良いかもしれません。

ただしセンチネルリンパ節生検以外にも乳がんの診断を行う方法はあり、がんの状態をみた上で医師が検査方法を選択しています。患者さん一人一人の状態によって変わるので、医師とよく相談して検査や治療方法を決める事が大切です。

 

参考論文:Surgeon specialization and use of sentinel lymph node biopsy for breast cancer.

※1 日本乳癌学会「患者さんのための乳癌診療ガイドライン Q.21」(https://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/g4/q21/)

 

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