症状・疾患別受診すべき医療機関―⑬痛み:麻酔科・ペインクリニック科

「痛み」の役割?
頭痛、腹痛、腰痛、関節痛、創痛、打撲痛…。私たちは、生きているうえで、色々な痛みを感じます。
では、そもそも、なぜ痛みというものが存在するのでしょうか?
実は、痛みは「警告反応」として、大切な役割を担っているのです。言い換えれば、私たちは痛みによって、身体に生じた何らかの「異常事態」に気づくことができ、危険を察知したり、回避したりすることができるのです。
しかし、度を過ぎると、警告反応という範疇をこえ、痛みそのものが「病気」となってしまいます。それでは、痛みの種類には、何があるでしょうか。
「痛み」の種類
痛みの種類は、下記の3種類に分けられるとされています。
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侵害受容性疼痛
切り傷、火傷、打撲、骨折など、本来の痛みの機能に由来する痛み
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神経障害性疼痛
神経の切断・圧迫などの病的な痛み
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心因性疼痛
人間関係のストレスなどの心情と密接に関連する痛み
人間は複雑な生物ですから、痛みが生じている場合に、「この種類の痛みだけが生じている」とは言い切れないこともあります。図のように、色々な因子が重なり合って痛みが生じることがあるのです。こういったすべての痛みが、治療の対象となります。
それでは次に、痛みに関する診療科をご紹介します。
「痛み」に関する診療科
痛みに関する診療科には、主に麻酔科やペインクリニック科があります。
麻酔科 | ペインクリニック科 | |
主な役割 | オペ室での麻酔管理 | 主に外来での疼痛管理 |
治療法 | 術前、術中、術後に、麻酔による全身管理を行う。特に全身麻酔下における生命維持全般の役割を担う。 | 神経ブロック療法や薬物療法などの様々な方法を用いて、有害な痛みを緩和するための治療を行う。 |
医師 | 麻酔科医 | 麻酔科医・整形外科・心療内科等 |
上記の表をご覧にいただくと、手術に関連した麻酔管理を行うため、麻酔科医は主に「オペ室」に勤務しています。一方、痛みの治療を行うため、ペインクリニックの医師は主に「外来」に勤務しています。
麻酔科には麻酔科医が勤務しますが、麻酔科や心療内科のサブスペシャリティ(さらに細かい専門性)としてペインクリニック科を受け持つ医師もいます。よって、ペインクリニックには麻酔科医や心療内科医、整形外科医などが勤務しています。
そもそも痛み…特に慢性疼痛の治療には、ペインクリニック科が得意とする神経ブロックだけではなく、その他にも薬物療法、リハビリ、心理学的なアプローチ(認知行動療法)など、原因に応じてさまざまな種類があり、実際の診療には整形外科・リハビリテーション科、精神科・心療内科など、様々な診療科が関わります。
これまでの内容をふまえたうえで、最後に、痛みに対するオススメの受診方法をご紹介します。
「痛み」に対するオススメの受診方法
すでに開業医やクリニックのかかりつけ医から治療を受けていて、痛みが改善されているならそのまま受診し続けていて問題ないでしょう。一方、新しく受診する場合、多くは、自分の痛みの原因がどこにあるかははっきりしないため、リハビリを得意とする医師や、心理学的アプローチを得意とする医師、どのペインクリニックの医師を受診すればいいか、選ぶのは難しいと思います。
もちろん、1人ですべての治療法に長けている開業医やクリニック医師もいますが、あまり多くはないので、慢性疼痛に関しては、まず大病院で治療法を確立してからクリニックを受診する方が良いでしょう。
受診の仕方としては、まず痛みの原因が、明らかな疾患(変形性膝関節症など)ではないことを確認するために、内科や整形外科などのクリニックを受診し、そのような疾患を除外してもらった上で、ペインクリニックを紹介してもらうのがよいでしょう。
もし可能であれば、神経ブロック、薬物療法、リハビリ、心理学的なアプローチ(認知行動療法)など、様々な治療法を全て兼ね備えている病院を受診することが望ましいです。つまり、ペインクリニック科に複数の医師がいて、それぞれの治療法に長けた医師がそろっている病院を受診するか、もしくは、ペインクリニック科だけで完結はしなくても、整形・精神科との連携で治療に対応できる病院を受診できると、治療の選択肢が幅広くなるでしょう。
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