卵巣がんの手術を名医が行うと死亡率が10%低くなる!

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[投稿日] '16/06/08 [最終更新日] '18/03/18 1,670views
卵巣がんの手術を名医が行うと死亡率が10%低くなる!

卵巣がんは、排卵回数が多いほど発症するリスクが高くなるといわれています。少産傾向の影響もあり、近年日本で増加傾向といわれています。卵巣がんの治療方法は手術療法と化学療法がメインになります。今回は、卵巣がんの手術と名医に関連する論文を紹介します。

 

卵巣がんとは

卵巣は、子宮の両側に存在する臓器で腹膜に接しています。大きさは親指くらいで、ソラマメ型です。卵巣の主なはたらきは、女性ホルモンの分泌と排卵なので女性にとってはとても重要な役割があります。

卵巣にはさまざまな種類のがんが発生する可能性があり、排卵回数、喫煙、動物性脂肪の摂取などがリスクといわれています。発症年齢は、10歳代から65歳以上まで幅広いことがわかっています。

 

卵巣がんは症状が出づらいがんとして知られており、気付いた時には進行していることが多いです。卵巣がんの症状は、腹部膨満感や体重減少、腹痛、胃腸の障害、尿が近いなどです。

卵巣がんは、子宮頚がんや子宮体がんのように直接検診などで組織を取ることもできず、腫瘍マーカーも初期のものでは陽性にならないことが多く早期に発見できるような診断方法が検討されています。診断は、エコー検査やCT検査、MRI検査などの画像検査を用いて行います。

治療法は、基本的に手術でがんを取り除いた後に抗がん剤を使用した化学療法を併用します。

 

卵巣がんの手術を名医が行うと死亡率が10%低くなる

今回紹介する論文の研究では、アメリカの研究チームにより、国内のがん患者の情報が登録されているデータベースから卵巣がん患者のデータが集められ、解析されました。

 

対象となった卵巣がん患者は96,802人で、5年生存率(手術の後に5年間生存している確率)は卵巣がんのステージごとにⅠでは84%、Ⅱでは66.3%、Ⅲでは32%、Ⅳでは15.7%でした。ステージが上昇するとともに、がんが進行しているか、転移していることを示すので、5年生存率も低くなります。

病院ごとの1年間の平均手術件数は、5.7件から26.7件と幅があることがわかりました。患者の56%が、ガイドライン通りではない治療を受けていたことも明らかになりました。

 

一般的に多くの病気に対して、治療ガイドラインとよばれるものが存在しています。ガイドラインは、各疾患に対して詳しく、経験も豊富な医師たちによって今まで報告されている信頼性の高い論文を元に決定されます。治療ガイドラインとは医師や医療従事者にとって実用的な教科書のような意味があり、人や場所が違ってもガイドラインに沿った標準的な治療を行えば、期待される治療結果が得られるものと考えられています。もちろん患者の状態によって対応は異なりますし、時にガイドラインでは対応できないような複雑な病態になってしまうこともありますが、基本的にガイドラインに沿った治療を行うようにするべきです。(参考:以前のクリンタルコラム「ガイドラインの力」)

 

名医がいると考えられる年間症例数の多い病院では、ガイドラインどおりの治療が行われていることが多いことも明らかになりました。また、ガイドライン通りではない治療を行うと死亡率は1.4倍になることがわかりました。

 

年間の手術件数が多い病院で、名医が手術をすると卵巣がん術後の死亡率が10%低下することも明らかになりました。今回の研究の結果から、名医がいる年間手術件数の多い病院では卵巣がん術後の死亡率が低いだけでなく、ガイドライン通りの理想的な治療が行われている可能性が高いことがわかりました。

 

この論文の筆者たちは、卵巣がん患者にとっては名医がいる病院へ行けるようなシステムを整えることが大切だと結論付けていました。これはクリンタルのコンセプトである、「名医がいる病院へ患者さんを紹介する」と同じ考え方といえます。

 

卵巣がんの名医がいる病院の探し方

卵巣がんは手術をする時には進行していることが多く難しい手術になる可能性も高いので、今回紹介した研究結果からもわかるように、経験数の多い名医がいる病院の方が安心です。

 

クリンタルでは卵巣がんの名医を紹介しています。手術には多くの医師が関わるので、医師1人あたりの手術件数はわからないことがほとんどですが、病院の手術件数を見れば1年間のおおよその症例数がわかります。症例数の多い病院には名医がいる可能性が高いと考えてよいでしょう。名医を探す時には、1年間の手術件数を比較してみましょう。

 

参考論文: Ovarian cancer in the United States: contemporary patterns of care associated with improved survival.Cliby WA, Powell MA, Al-Hammadi N, Chen L, Philip Miller J, Roland PY, Mutch DG, Bristow RE.

 

 

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