症状・疾患別受診すべき医療機関-⑤こどもの症状・疾患(小児科)

こども(小児)の症状・疾患の特徴
今回は、こどもの症状・疾患に関するお話です。
「こどもの病気なので、小児科受診」はすぐに思いつきますが、成人の場合とは違いこども特有の理由から迷ってしまうことも多いと思います。受診すべき医療機関は、症状のあるこども本人ではなく、保護者が選ばなければなりません。また、皮膚の症状だろうが、心臓の症状だろうが、なんでもかんでも小児科でいいのかな?迷ってしまうこともあると思います。
こどものことですから、自分のことよりも心配・不安が大きくなる方も多いですよね。すこしでも安心して医療機関を受診できるポイントを挙げたいと思います。
こども(小児)の症状と疾患
まずは、こどもの症状と、考えられる疾患を整理しますので、医療機関を調べる際の参考にしてください。
発熱
- 咳やのどの痛み:かぜ症候群、急性気管支炎
- 耳や耳の周りが痛い:中耳炎、おたふくかぜ(耳下腺炎)
- 関節が痛い :リウマチ熱
- 高熱(38~40℃) :インフルエンザ
- 高熱+のどの痛み:咽頭結膜炎(プール熱),急性扁桃炎,急性喉蓋炎
- 高熱+意識がはっきりしない:脳炎、髄膜炎
発疹(皮膚のボツボツ、色の変化)
- 同時に発熱:風疹、リウマチ熱、りんご病
- 同時に発熱+かゆみ:水ぼうそう、溶連菌感染症(猩紅熱)
- 発熱後に発疹:手足口病、はしか、川崎病、突発性発疹
- 発熱はない+かゆみ:アトピー性皮膚炎
腹痛
- 発熱もある:急性胃腸炎、虫垂炎
- 発熱はない:そけいヘルニア、腸重積
下痢・嘔吐
- 発熱がある:感染性胃腸炎(ロタウイルス、ノロウイルス)、
- 発熱はない:腸重積、食物アレルギー
咳がでる
- 発熱がある:かぜ症候群、肺炎
- 発熱はない:気管支ぜんそく
けいれん・ひきつけ
- 発熱がある:熱性けいれん
- 発熱はない:てんかん
むくみ
- 尿がすくない:糸球体腎炎
こども(小児)の症状でいい病院・クリニックを選ぶポイント
冒頭でお伝えしたように、こどもの症状・疾患でまず受診すべき科はほとんどの場合が小児科となります。上記のように“発疹“という皮膚の症状が出ていたとしても、それは全身疾患の症状の一部である場合があるので、皮膚科よりもまずは小児の疾患全体を診ることができる小児科がおすすめです。
では、小児科を受診するとして、クリニックと一般病院以上の大病院はどのように使い分ければよいのでしょうか。基本的には、救急車を呼ぶほどの明らかな重症でない限り、まずはクリニック受診がベターでしょう。こどもは、自分で症状を的確に伝えることができませんし、見た目やこどもが訴えるつらさと、実際の重症度が異なる場合もしばしばあります。
そこで重要になるのがかかりつけ医の存在です。こどもの日頃の症状の訴え方、元気さの度合いなどを把握してくれるかかりつけ医を早い段階でみつけておくとよいでしょう。後述しますが、一口に小児科といっても、実は専門分野が分かれていますので、適した専門家がいる病院をかかりつけ医に紹介してもらったほうが、「自分でいきなり大病院を受診したけれども目的の専門家がいない」という失敗もなくなります。
以下では、医療機関選びのポイントをいくつか挙げておきます。
感染症の迅速検査
こどもがかかる最も頻度が高い疾患が感染症でしょう。以前は、感染症といえば、”かぜ”、”胃腸炎”というザックリとした診断名がつき、多くの場合は、解熱剤、咳止め、下痢止めなどの対症療法が行われるだけでした(多くの感染症はこの対症療法で治癒するのも事実です)。しかし、現在では、”かぜ”、”胃腸炎”を起こす原因微生物(細菌やウイルス)を突き止めることができるようになってきています。
迅速検査とは、特定の原因微生物に感染しているかどうかをその場で診断することです(多くは30分以内に判定がでます)有名なものでは、インフルエンザウイルスがありますね。このウイルスが発見される前は、”ひどく熱がでるかぜ”だったのですが、原因がわかってからは、インフルエンザウイルス感染症という病名になりました。現在では、インフルエンザウイルスの迅速検査が普及しているので、”かぜ”がインフルエンザウイルスによるものなのかどうかをその場で判定することができます。
診断を確定できることで、対症療法だけではなく、抗インフルエンザウイルス薬(タミフル、リレンザなど)による治療が可能になるわけです。
迅速検査が可能な主な病原微生物
かぜ様の症状が中心のもの
- インフルエンザウイルス(A型、B型)
- RSウイルス
- 溶連菌
- アデノウイルス(胃腸炎もありうる)
- マイコプラズマ(肺炎で主に行う)
胃腸炎症状(嘔吐・下痢)
- ロタウイルス
- ノロウイルス
実は、上記のなかで、ロタウイルスやノロウイルス、アデノウイルスは、病原微生物が判明したとしても特別な治療はありません。それでも、原因を突き止めることには大きな意味があります。例えば、こどもが下痢を繰り返しているときに「胃腸炎なので、水分をしっかりとって安静にしていれば治りますよ」と言われただけでは、「もしかして他の重大な病気なんじゃ?」という不安は残ります。でも、「ロタウイルスによるものです」
と断定されれば、原因がはっきりしたぶん安心感は増しますよね。
迅速検査は、かなり普及してきているとはいえ、施設によっては実施していない項目もあるので、事前に調べて受診するとよいでしょう。
小児科の中の専門分野
こどもはみんな小児科なのに、成人の診療科では、内科のなかでも消化器内科、循環器内科、神経内科などと細かく分類されていますよね(これはこれで迷ったりもしますが)。実は一口に小児科といっても、小児科の医師はそれぞれ専門とする・得意とする分野をもっています。たとえば、アレルギーに強い医師、腎臓疾患に強い医師、心臓に強い医師、などといった具合です。大学病院クラスの大病院では大抵の専門医が揃っていますが、クリニックや一般病院では、全ての専門家が揃っていることは希でしょう。
喘息やアトピー性皮膚炎などは、クリニックで継続的に診療することも可能ですが、やはりその疾患を得意とする専門家・名医に診てもらったほうがベターでしょう。幸い、喘息やアトピー性皮膚炎を得意とする医師のクリニックは、そのことをwebサイトなどにちゃんと掲載してくれていることが多いので、確認するとよいでしょう。
少し迷われると思うのが、小児科医でアレルギーを診ている医師がいいのか、アレルギー内科で小児を診ている医師がいいのかという部分ですが、これはどちらでもおなじです。もししっかり探そうと思う場合には、日本アレルギー学会ホームページで小児を専門分野としている医師を探すことができますので、そちらから探していただくのが一番いいでしょう。
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