乳がんは2年に1度の検診が大事!

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[投稿日] '16/07/31 [最終更新日] '18/08/14 456views
乳がんは2年に1度の検診が大事!

乳がんとは

乳がんは女性が発症するがんのうちもっとも多く、近年、急増しています。比較的、若い年齢での発症が多く、ピークは40歳代ですが30歳代から増え始めることが特徴です。

乳がんの診察は乳房の状態を見たり(視診)、実際に触れて(触診)しこりや乳頭からの分泌物などがないかを調べます。また、「マンモグラフィ検査」と呼ばれる乳房のX線撮影や超音波検査は、早期の乳がんを発見する方法として有用な検査法です。

乳がんは乳房の温存手術、あるいは切除術などの外科療法のほかに、抗がん剤やホルモン剤による薬物療法、また、放射線療法などで治療を行います。しかし、乳がんによって亡くなる人は年間に1万人以上です。厚生労働省が3年おきに行っている患者調査によると、平成26年にはおよそ13,300人の人が亡くなっています。

一方で乳がんは早期に発見できれば、胃がんのように「治りやすい」といわれるがんの一つです。ある調査では、腫瘍の大きさが1cm以下であれば10年後に生存していられる確率(10年生存率)は95%を上回り、1~3cm以下の大きさでは10年生存率が約76%と報告されています※1。10年生存率を高めるには、早期の発見が重要といえます。

 

40歳になったら乳がん検診で早期発見

すでにご存じの方も多いと思いますが、1980年代にアメリカで始まった「ピンクリボン運動」は日本にも広がり、乳がんの正しい知識の啓発や乳がん検診の推進に向けた活動が積極的に行われています。乳がんの場合、早期に発見するには月に一度の自己検診(セルフチェック)が重要です。

自己検診は乳房のしこりなどを自分で確認するもので、月に1回、生理が終わって1週間ほどたった時期に行うのが望ましいとされています。また、自治体では40歳以上を対象にマンモグラフィ検査による乳がん検診を行っていますので、定期的に受診することが大切です。

特に、40歳以降の人は2年に一度のペースで検診を受けることが推奨されています。しかし、平成25年の乳がんの受診率は、子宮頸がん検診(約31%)よりもさらに低く、25%ほどに留まっています。

 

乳がんの原因

遺伝的な要因

母親や姉妹など家族で乳がんになった人がいる場合は、乳がんを発症する可能性が高くなるといわれています※2。遺伝的な近さや親戚の中で発症した人数が多くなるに従って、乳がんの発症リスクは大きくなるといわれており、このように遺伝的な要因が深く関与している乳がんは「遺伝性乳がん」と呼ばれるタイプになります。遺伝性乳がんと考えられるのは、乳がん全体からみておよそ5~10%程度とのことです。

遺伝性乳がんの場合、40歳未満でも乳がんを発症しやすいなど血縁者に乳がんがいない人よりも若く発症するといわれています。また遺伝性乳がんは特定の遺伝子に変化を起こしているタイプであることが多く、その遺伝子に変化を起こしている人は健康な乳房に乳がんを発症する割合や、卵巣がんや卵管がんににかかる割合が、通常の乳がんの患者さんに比べて高くなるといわれています※3

なお乳がんは男性も発症することもありますが、乳がん患者全体からみて150人に1人程度の割合と全体の1%程度といわれています。また男性乳がんの患者さんの約15~20%に乳がんの家族歴があり、発症には遺伝が大きく関係しています※4

女性ホルモンの影響

乳がんの発症には、女性ホルモンのうちエストロゲンの関与が指摘されています。経口避妊薬のピルの服用やホルモン補充療法などでエストロゲンの濃度が高い、また、初潮が早い(11歳以前)、閉経が遅い、未婚、出産や授乳の経験が少ない人などは乳がんになりやすいといわれています※5

生活習慣などの要因※6

閉経した後の肥満や動物性脂肪の取り過ぎ、多量の飲酒や喫煙などの生活習慣も発症のリスクを高めることがあるので注意しましょう。逆に、運動をするとリスクを低減できるといった報告もあります。

ここでご紹介したような要因に思い当たる場合は、40歳未満であって定期的な乳癌検診を心がけてください。ただし、自治体の乳癌検診は40歳以上の人を対象としているので、病院で検診を受けることになります。

 

乳癌の症状

自覚症状としては乳房を触ったときのしこり、乳頭のただれや分泌液、また、乳房の痛みなどです。鏡で見ると、乳房の皮膚が引きつれている、乳頭の形や向きが左右で違っているなどの症状が現れることがあります。自己検診の際にはこれらの点をチェックしましょう。

なお、乳頭をつまんだときに分泌液だけでなく、血液が混じる(血性乳頭分泌)のは注意が必要な症状です。血液といっても真っ赤なものではなく、うっすらとしたピンク色や黒っぽい色をしていることが多いので注意してください。

また、乳房のしこりなどの症状は、乳腺症などの他の病気で起こることもあります。自己判断でがんと決めつけてしまわず、病院できちんと診てもらいましょう。

 

乳がんの受診に迷いがあったら

乳がんを診てもらうには、乳腺科、あるいは乳腺外科などの乳腺を専門とする診療科のある病院をお勧めします。また、乳房の診察というと恥ずかしさから検診や病院での受診が不安になるでしょう。しかし、専門家に診てもらうためには、恥ずかしさがあっても、勇気を持って診察を受けることも必要です。

ただ、なかなか踏ん切りがつかないときは女性医師が診察している病院や乳腺専門外来、乳腺専門病院などもあります。受診しやすい病院を探してみるとよいでしょう。

 

※1 日本乳癌学会「乳癌診療ガイドライン 日本人女性と欧米人女性との乳癌予後の比較」(http://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/g4/q19/)
※2 日本乳癌学会「患者さんのための乳癌診療ガイドライン Q.68」(http://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/g9/q68/)
※3 
日本乳癌学会「患者さんのための乳癌診療ガイドライン Q.5」(http://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/g1/q05/)
※4 日本乳癌学会「乳癌診療ガイドライン 乳癌家族歴は乳癌発症のリスク因子となるか」(http://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/g4/q19/)
※5 日本乳癌学会「乳癌診療ガイドライン 初経年齢、閉経年齢は乳癌発症リスクと関連するか
」(http://jbcs.gr.jp/guidline/guideline/g4/g41230/)
※6 日本乳癌学会「患者さんのための乳癌診療ガイドライン Q.2」(http://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/g1/q02/)

 

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