多数の医師のオンライン投票による難病診断!ーCrowdMed (クラウドメド)

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[投稿日] '16/08/27 [最終更新日] '18/03/18 744views
多数の医師のオンライン投票による難病診断!ーCrowdMed (クラウドメド)

集合知としての「CrowdMed」

今回ご紹介するのは、病名診断や、治療法を提案するクラウドソーシングサービス、CrowdMedです。

CrowdMed は、長年の月日をかけて様々な医師のもとにかかっても、「診断」が得られない…そういった難病を患った患者さんの診断のために誕生しました。

カリフォルニア州サンフランシスコで、2012年にジャレッド・ヘイマン氏が設立し、2013年4月から、DropBoxなどの有名企業を輩出したベンチャーキャピタルY Combinator 他より110万ドルもの出資を受けています。

そもそも、ヘイマン氏がCrowdMed を設立した背景には、15,000人に一人という難病を患った妹のために、16名の専門医のもとにかかり、10万ドルもの高額な医療費をかけた経験がありました。

このヘイマン氏の妹のケースのように、難病を患った際、名医のセカンドオピニオンを受けることが一般的になりつつありますが、CrowdMedは診断結果が出るまでの時間、医療費、労力を軽減させるために有効とされています。

 

CrowdMedのサービス内容

CrowdMedで、患者が匿名で年齢、性別、人種、症状、いつから症状が始まったか、病歴、などのカルテ情報を登録すると、「医療探偵」と呼ばれる、世界中の医師、医学生、研究者などが回答し、どの病名が正しいかを投票し合います。さらに、独自のソフトウェアで数値化されたうえで、最も有効と考えられる方策を提示する仕組みとなっています。

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一方、診断や意見を提出した「医療探偵」は報酬としてポイントが享受することができ、さらにポイントに応じてリーダーボードという地位を獲得することができたり、現金収入を得たり、その現金をチャリティーとして寄付することができます。

ちなみに、患者がケースを投稿する費用は199ドルとなっていますが、結果に満足できない場合は、払い戻される仕組みになっています。

 

CrowdMedの企業としての成熟度

設立後1年で110万ドルもの資金を獲得したことは前述した通りですが、公式WEBサイトによると、現在では解決済みのケースが1000件を越し、60%の成功率であると公表しています。

医学雑誌、健康イノベーションサミット、TEDMEDなどのメディアやイベントにて特出すべき結果のケースについて発表しているとともに、かの有名なスタンフォード大学医学部もCrowdMedを利用し、20例を約700人のコミュニティに診断させるなどして、教育の現場でも役立つということが報告されています。

設立から4〜5年足らずの企業としては、驚くべき業績であるといえますが、今後さらなる成長が望まれています。

 

類似サービスとの違い

現行の類似サービスとしては、下記4種類が挙げられます。

(1)The Human Diagnosis Project

世界中のケース情報を集め、診断の基盤となるデータ構造を理解しようと試みているプロジェクト。日本未展開。

(2)First Opinion

医師にメッセージで健康相談をすることができるチャットアプリケーションサービス。「3分以内に回答が得られること」が売り。過去には1年間で10万件の相談実績がある。日本未展開。

(3)Ask doctors

First Opinionと同様、医師にQ&Aで健康相談ができるWEBサービス。エムスリーが運営し、日本で2000年よりサービス展開されている。こちらは24時間以内。

(4)Doctors me

First OpinionやAskdoctorsと同様、医師に相談できるWEBサービスだが、専門家として薬剤師、歯科医師、栄養士、カウンセラー、獣医師にも相談することができる。株式会社サイバーバズにより2013年よりサービス展開されている。

これら4つのサービスを比較いただければわかる通り、CrowdMedは、より「解決が難しい疾患(難病)」にフォーカスしていること、さらに、健康相談というよりも「診断」そのものが得られるサービスであること、医師と1対1でコミュニケーションをとるのではなく、世界中の専門家の「集合知」を利用している点が他のサービスとは異なるといえます。

 

日本での適用は可能か?

単純なWEBサービスの仕組みとしては、日本でも可能だといえます。

しかし、戦後長らく医療父権主義、いわゆるパターナリズムの状態が続いてきた日本では、顔の見えないWEB上でのセカンドオピニオンがどこまで浸透し、受け入れられるかは、未知数だといえます。

また、アメリカと比べて新しいサービス自体に対する患者側・医療者側の抵抗感が強いという側面もあるかと思います。日本人の国民性に沿ったサービス展開が実現すれば、Ask doctorsなどと並び、広まる可能性を秘めています。

 

CrowdMed—今後の課題

世界中の人々から意見を集め、互いに「投票し合う」という形で評価を行うため、診断結果は信頼度の高いものになっていると考えられていますが、名医のみならず学生も診断できるサービスであることから、なかには診断の信憑性について警鐘を鳴らす人々もいます。

実際、まだ診断法や治療法が確立していない難病がメインのサービスであるとはいえ、診断の成功率が「60%」という数字を高いとみるか低いとみるかは、人によって意見が異なるでしょう。仮に診断の成功率が同じだとしても、多数の匿名医師よりも1人の信頼できる名医の方が、信頼関係ができている分納得感があると思います。

今後のCrowdMedにおいては、ケース数を増やし、診断の成功率を高めていくことが課題となります。

 

ヘイマン氏はCrowdMedを「将来、病気になれば誰もが使うサービスにしたい」と語っていますが、近い将来、医師や患者のための重要な参考情報の1つになることが期待できるといえます。

 

 

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