心筋梗塞の治療は名医のいる症例数の多い病院にかぎる!

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[投稿日] '16/02/06 [最終更新日] '18/03/18 1,484views
心筋梗塞の治療は名医のいる症例数の多い病院にかぎる!

日本人の死因の第2位は心血管疾患であり、食生活の欧米化や生活習慣の変化により死亡数は増加傾向になっています。2015年の人口動態統計によると、心疾患で死亡した人数は19万6,926人で、心筋梗塞が原因だった方は3万8,991人でした。1970年代に比べると現在は、心筋梗塞の発症率は4倍に増加しています。

 

それでは、命に関わる危険の高い心筋梗塞の治療はどこで受けるのが一番良いのでしょうか。今回は、心筋梗塞に対する治療方法と、名医と治療成績に関するアメリカの報告をまとめます。

 

心筋梗塞に対するカテーテル治療とは

心臓には、心臓を栄養している主要な血管(冠動脈)が3本あります。この血管のどれか、または全て閉塞してしまうと心臓へ行く血流が途絶えてしまい心臓がうまく機能できなくなってしまいます。心臓は全身へ血液を送る大事な臓器なので、心臓が機能しなくなることは死を意味します。

 

心筋梗塞の原因は、高血圧や糖尿病、肥満、脂質異常症、喫煙など様々なものが考えられますが、バランスの悪い食事や運動不足から誘発されるため生活習慣病の1つとも言われています。心筋梗塞を発症すると突然今まで感じたことのないような胸の痛み、圧迫感、呼吸困難などを自覚し、意識を失うこともあります。

 

心筋梗塞を発症後は、なるべく早く救急車で病院へ行きカテーテル治療で狭窄または閉塞した心臓の血管を再開通させなくてはいけません。発症してから治療までの時間が短ければ短いほど救命率は高いことが分かっています。

 

カテーテル治療は足の付け根や腕にある動脈から細いカテーテルを挿入し、放射線で透視をしながら狭窄部分まで到達したら風船を膨らませて血管を広げ、ステントと呼ばれる短い筒のようなものを留置して再度狭窄することを防ぎます。このカテーテルを用いた治療法を冠動脈拡張術(Percutaneous Coronary Intervention: PCI)と言います。緊急性の高い症例に対するPCIを緊急PCIと言い、状態が安定しているので治療予定を立ててから計画的に行うPCIを待機的PCIと言います。

 

名医のいる症例数の多い病院では心筋梗塞の急性期死亡率が4.8%と低い

アメリカ循環器学会は、心筋梗塞に対するPCI治療(緊急PCIも待機的PCIも含む)は年間75例以上施行している名医が行うことを推奨しています。また緊急PCI治療においては年間11例以上経験している名医の方が望ましく、施設としては年間400症例以上のPCI治療症例数が推奨されています。

 

今回ご紹介するアメリカからの報告では、年間PCI治療症例数の多い病院で、なおかつ年間PCI治療症例数が多い名医でPCI後の死亡率や合併症率、入院日数などを比較しています。1つの病院で、19か月間3人の医師(A医師, B医師, C医師)を対象に解析しました。合計で331人の急性心筋梗塞の患者に対して緊急PCI治療し、内訳はA医師が130人、B医師が102人、C医師が99人でした。

 

それぞれの医師が治療した患者の性別や年齢、喫煙歴や高血圧、糖尿病、心機能に差はなく、死亡率も4-5%で入院日数も10日前後と統計学的に違いがありませんでした。合併症の発症率も有意な差がありませんでした。

 

この施設の緊急PCIは331例で、待機的PCIは741例と年間で合計1072例を経験しているので、アメリカ循環器学会が推奨する施設としての年間PCI治療症例数(400例)を超えており、なおかつ3人の名医は推奨される緊急PCIの年間経験症例数(11例)を優に越えています(A:130例、B:102例、C:99例)。

 

この報告から、心筋梗塞に対して十分な年間PCI治療症例数があると名医が存在する可能性が高く、そのような施設で治療を受ける場合は救命率も高いことが示唆されました。

 

心筋梗塞に対するPCI治療の名医を探すには

今回の研究では、年間PCI治療症例数400例以上の病院で、年間75例以上にPCI治療を施行している名医であれば死亡率や合併症に差が出ないことが分かりました。

 

クリンタルで、心筋梗塞に対するカテーテル治療の名医がいる病院として紹介している順天堂大学医学部附属順天堂病院 循環器内科のホームページで治療実績を見ると毎年のPCI件数が記載されています。年間PCI症例数は約550例で、緊急PCIは約120例と明記されています。

 

つまりアメリカ循環器学会が推奨する年間400症例以上をクリアしている病院なので、必然的に名医もいることが想像されます。

緊急時に病院を探すのはなかなか大変ですので、リスクの高い高血圧や高脂血症をお持ちの方は普段から有事の受診先を決めておくと良いでしょう。名医を探すときには、病院としての治療実績を確認してみるのも良い方法の1つです。

【併せて読みたい】
症状・疾患別受診すべき医療機関-⑨循環器の症状(循環器内科・心臓血管外科)では、循環器の症状について、どの診療科を受診すべきかをご紹介しています。

 

参考論文:Operator volume and outcomes of primary angioplasty for acute myocardial infarction in a single high-volume centre.

 

 

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