名医が行うと胸腹部大動脈手術後の死亡リスクは半分になる

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[投稿日] '16/04/29 [最終更新日] '18/03/18 2,028views
名医が行うと胸腹部大動脈手術後の死亡リスクは半分になる

大動脈瘤とは全身に血液を送る太い血管にこぶができてしまう病気で、放っておくと破裂して死亡する危険もあります。そのため破裂する前に手術をすることが推奨されています。大動脈の手術ということで、命に関わる可能性もあり、さらに手術自体も難しいとされる胸腹部大動脈瘤の手術は、名医に執刀してもらうことで、どの程度リスクが減るのでしょうか。今回は、その答えになる論文を紹介します。

 

大動脈瘤の原因と治療について

論文自体に入る前に、まずは大動脈瘤とは何なのかということを簡単にご説明致します。大動脈瘤は、心臓から全身に血液を運ぶ重要な血管の一部が広がってこぶのようになってしまった病気です。原因は、動脈硬化や老化、感染、炎症、先天的な異常などさまざまです。高血圧などがあるとさらに病状が悪化することが分かっています。

大動脈は体の中心部を走る太い血管で、胸から腹を通り、そして両足へ分岐します。こぶができる場所によって、上の方から胸部大動脈瘤、胸腹部大動脈瘤、腹部大動脈瘤と呼ばれます。一番多いといわれているのは腹部大動脈瘤です。

大動脈瘤で最も怖いのは、放置すると破裂し、大出血を起こして死亡する可能性があることです。そうなる前に手術や血管内治療を行います。

今回の論文は、胸腹部大動脈瘤に対する手術療法に関する報告です。

 

名医が手術をすると死亡のリスクは半分に!

今回の報告ではアメリカの入院患者の10年間分のデータを解析しており、胸腹部大動脈瘤の患者1,542人を対象としています。

年間の手術件数が最も低い病院には1-3件/年のものが含まれ、最も症例数が多い病院には5-31件/年のものが含まれました。全体の死亡率は22.3%でしたが、年間の手術件数の違いで見ると手術件数が低い病院では27.4%でした。それに対し、手術件数が多い病院では15.0%と死亡率が明らかに低いことが分かりました。

手術件数の多い名医においても死亡率は11.0%と低く、手術件数の少ない医師の死亡率は25.6%と高いことも明らかになりました。統計学的に年齢や性別、合併症などを考慮して解析しても、手術件数の多い病院と名医によって手術が行われると術後死亡のリスクは半分になることが分かりました。

このように大動脈瘤の手術に関しても年間手術件数の多い病院または名医に行ってもらった方がよいことが明らかになりました。

 

胸部大動脈瘤・腹部大動脈瘤の名医がいる病院を探すには

クリンタルでも胸部大動脈瘤の名医がいる病院と腹部大動脈瘤の名医がいる病院について紹介しています。各病院のホームページには、年間の手術症例数が記載されていることも多いです。名医がいる病院を探す時に参考にしてみてください。

今回紹介した論文は、大動脈瘤に対する手術に関する報告でしたが、大動脈瘤に対するもう1つの治療法である血管内治療に関する報告についても「名医は腹部大動脈瘤に対し負担の少ない血管内治療を選択する」でまとめています。もしよければ、併せて読んでみてください。

 

参考論文:Surgical treatment of intact thoracoabdominal aortic aneurysms in the United States: hospital and surgeon volume-related outcomes.

 

 

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