脳動脈瘤手術は症例数の多い病院において死亡率が低い!

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[投稿日] '16/03/28 [最終更新日] '18/03/18 2,533views
脳動脈瘤手術は症例数の多い病院において死亡率が低い!

脳動脈瘤は脳の中にある血管にこぶのように膨れた部分のことです。脳動脈瘤が高血圧や動脈硬化、その他の要因によって徐々に大きくなると周囲の神経を圧迫したり、破裂して出血すると命に関わることもあります。今回は脳動脈瘤手術をなるべく手術件数の多い病院で受けた方が良いことを裏付ける論文について紹介します。

 

脳動脈瘤の治療法について

脳動脈瘤が破裂すると、くも膜下出血を起こし、意識消失や体の麻痺を伴うだけでなく、死亡することもあります。日本での発症は、年間4,000-5,000件と言われています。脳動脈瘤が破裂し緊急手術となると死亡率がとても高いことが分かっているので、破裂の危険がある脳動脈瘤が発見された時点で予定手術をした方が良いと考えられています。

現在日本で行われている脳動脈瘤の治療法は、頭を開けて直接脳動脈瘤の首の部分をクリップで挟むクリッピングと呼ばれる手術法と脳の血管内から動脈瘤にコイルやバルーンをつめる血管内手術法があります。クリッピングの方が、血管内手術より以前から行われており長期的にも再出血や再発が少ないと言われていますが、血管内手術も使用するステントなどが改善されており有効な治療法として期待されています。

脳動脈瘤手術のクリッピングは高い技術を必要とします。では病院の手術件数の違いで、クリッピング後の死亡率に違いがあるのでしょうか。

 

脳動脈瘤手術後の死亡率は手術件数の多い病院では5.6%も低い

今回の研究では、アメリカの入院患者記録に登録されている脳動脈瘤に対してクリッピングを行った12,023人の患者を対象としています。全体の65%が緊急入院なので、アメリカでも脳動脈瘤が破裂した後に緊急で手術をすることが多いかがわかります。また、対象となった患者の平均年齢は53.2±13.5歳でした。

 

病院の年間の手術件数は、統計学的な方法で手術件数が最も少ない病院、少ない病院、多い病院、最も多い病院の4つのグループに分けられました。

全体ではクリッピング後の死亡率は、手術件数が最も少ない病院では12.2%、最も多い病院では6.6%と言うことが分かりました。これは手術件数が多い病院の方が、より死亡率が低いことを証明しています。

 

また、入院の形式で見ると緊急手術の場合には手術件数が最も少ない病院では死亡率が14.7%と高く、手術件数が多い病院では8.9%でした。予定手術の場合にも、手術件数が最も少ない病院では死亡率が9.4%と高く、手術件数が多い病院では4.5%でした。

 

死亡に影響する要因としては、腎疾患や慢性閉塞性肺疾患の合併、60歳以上などが挙げられました。なるべく若く、合併症のない方が死亡率が低かったということです。

最も年間手術件数が少なかった病院で手術をすると、最も手術件数が多い病院に比べて死亡するリスクが1.59倍になることも分かりました。

 

脳動脈瘤手術の名医がいる病院を探すには

クリンタルでも脳動脈瘤の名医がいる病院について紹介しています。

実際に各病院のホームページを調べると年間の手術件数を診療実績として掲載している病院も多いので、今回の論文の結果を考慮すると、年間の手術件数を比較すれば名医がいるかどうかの判断材料になると考えられます。

 

参考論文:Outcomes after cerebral aneurysm clip occlusion in the United States: the need for evidence-based hospital referral.

 

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