頭頸部がんの生存率は、放射線治療件数が多い施設ほど高くなる!20%もの差が!

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頭頸部がんの生存率は、放射線治療件数が多い施設ほど高くなる!20%もの差が!

頭頸部に発生するがんを総称して「頭頸部がん」と呼びます。頭頸部には発語、嚥下などの機能的な部分を担う部分が多く、構造がとても複雑です。そのため、一度がんが発生するといかに機能を温存しながら、かつ見た目も保ちながら治療を行うかに難渋することもあります。頭頸部がんの治療では、手術はもちろんのこと放射線治療が果たす役割も大きいです。今回は、頭頸部がんと放射線治療についての論文を紹介します。

 

頭頸部がんとは

頭頸部がんには、頭や首に位置する臓器に関連したがんを総称した名称です。具体的には、舌がん、咽頭がん、喉頭がん、甲状腺がんなど多くのものが含まれます。全体のがん患者に含める発症頻度としては、およそ5%ほどです。しかし各臓器ごとのがんに分類すると、さらに頻度的には小さくなります。

頻度的にはそれほど大きくはありませんが、発生する部位を考慮すると他のがんとは異なった問題点が浮かび上がってきます。

 

頭頸部がんにまつわる問題点

通常「がん」というと、発生した臓器の名前が付くことが多いのですが(例えば肺から発生したがんであれば「肺がん」と呼びます)、頭頸部がんではがんが発生した臓器を区別するような名称にはなっていません。何故「頭頸部がん」という名称が使用されるかについては、がんが発生した臓器に関係なく共通する特徴があるからです。

舌と咽頭に発生したがんはそれぞれ、「舌がん」、「咽頭がん」と呼ばれる一方、頭頸部がんにも含まれます。舌に発生したがんであっても咽頭に発生したがんであっても、食べ物を食べるという機能障害を起こす点は共通です。また声を出すなどの機能とも深く関連することから、病状の進行や治療経過に応じて生活の質(QOL: Quality of Life)をいかに担保するかという観点が重要です。

また、顔や首の見える部分にがんが発生すると、見た目に対する影響も大きく、美容的な観点からも共通点があるといえるでしょう。すなわち、舌にできたがんであろうが、甲状腺にできたがんであろうが、一括して「頭頸部がん」と呼びます。頭頸部がんは、非常に目立つ部位に発生しますし、服などで病変部位を隠すこともできません。そのため、例えば手術などで摘出をすると美容的に影響が強く生じるため、治療に関連してうつを発症し自殺に追い込まれる方も他のがん患者と比べて多いといわれています。

さらに頭頸部がんに含まれる多くのがんは、組織学的に「扁平上皮がん」と呼ばれるものに含まれます。扁平上皮がんは放射線療法が効きやすいことを考慮すると、頭頸部がんという名前には治療法が共通するという意味合いも含まれます。

 

頭頸部がんの治療

頭頸部の構造は非常に複雑であり、機能を失わないようにしつつ手術介入を行うのが困難な場合もあります。また、がんの性格上、放射線が非常に効果的なものであることも多いため、他のがんと比較して放射線治療が果たす役割は大きいです。そのため、根治的に手術でとりきることはせずに、「根治的放射線療法」という方法が第一選択としてとられることもあります。放射線療法では、正常組織への影響を少なくしつつ、病変部位に対してピンポイントに放射線をあてることも可能です

しかし、先に述べたとおり頭頸部の構造は非常に複雑であり、機能的にも重要な組織が密に存在しています。味覚障害や粘膜障害などの副作用が出現することも懸念されます。そのため、合併症の発症率を低く保ちながら高い効果を担保した放射線療法を行うには、高い技術が必要とされます。

 

頭頸部がんと放射線治療に関する論文紹介

今回の論文は、根治的放射線治療と頭頸部がんの治療成績についての論文です。本論分では、頭頸部がんに罹患した1060施設で治療を受けた46,567名の患者さんを対象に、各施設における治療件数と長期的な予後との関係性を検討しています。頭頸部がんの種類としては、中・下咽頭がんと喉頭がん(いずれも組織学的には扁平上皮がん)が含まれています。

本論分では治療件数に応じて施設に順位付けをした上で、治療件数が治療成績に影響を及ぼすかを検討しています。その結果、治療件数が多くなればなるほど、治療成績が有意に増加することが示されました(P<0.001)。治療件数に準じて分類した際に、上位1%の治療件数をもつ施設において治療をすると、20%ほども生存率の改善につながることを報告しています。

 

まとめ

頭頸部がんの治療成績において、本論分を通して治療件数が多くなればなるほど生存率が改善することが示されました。頭頸部がんの治療においては放射線療法の役割はもちろん化学療法の使用も重要な位置を占めるのですが、個々の症例に応じた適切な治療方法の選択についても、治療件数が好影響を及ぼした可能性も示唆されています。

頭頸部がんは、複雑な構造部位に発生するがんです。治療経験が生存率はもちろんのこと、その後の機能面の温存やひいては生活の質にも影響が生じる可能性があります。最大限効果的な治療を受けるためにも、少しでも治療経験が多い施設を選択することは重要かもしれません。

 

参考文献:Treatment at high-volume facilities and academic centers is independently associated with improved survival in patients with locally advanced head and neck cancer

 

 

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