甲状腺がんでは、年間手術数25件以上の名医を選べば合併症の発生が少ない…!

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甲状腺がんでは、年間手術数25件以上の名医を選べば合併症の発生が少ない…!

甲状腺って何をしている臓器?

甲状腺とはのどぼとけのすぐ下あたりに位置する臓器で、ホルモンを分泌して代謝を正常に保つ役割を持っています。代謝という身体にとって重要な機能を司る甲状腺ですが、腫瘍やがんなど異常が起こるとホルモン分泌過剰(または過小)となってしまい、身体に不調を起こしてしまいます。

甲状腺ホルモンが過剰な状態では、代謝が活発になりすぎて動悸や体重減少をおこしたり、逆にホルモンが過小な状態では代謝が低下して、冷え性やむくみなどの症状が現れます。

甲状腺が機能異常になる原因として冒頭に記載した、甲状腺腫瘍ですが、大きく分けて良性腫瘍と悪性腫瘍があります。それらはどのような違いがあるのでしょうか。その点について、少しご説明致します。

 

甲状腺腫瘍が良性の場合は経過観察、悪性の場合は手術での治療が基本。

甲状腺腫瘍は良性腫瘍と悪性腫瘍の2種類に大別されます。

良性腫瘍は腫瘍ではありますが、悪性とは違って他の場所に転移したり周りにどんどんと浸潤したりしません。ですのでサイズが大きくなることはありますが、他の臓器を侵すことがないため、基本的には治療は必要なく経過観察となります。ただし、悪性の可能性が否定できない場合や、腫瘍の圧迫を受けてのどのつっかえ感や息苦しさなどの症状を認める場合には、手術を行うことがあります。

一方、悪性腫瘍とはいわゆる「がん」のことで、進行すると全身の臓器へと転移していきます。悪性腫瘍の治療の基本は、手術による腫瘍の切除となります。悪性腫瘍の中にも細かい分類があり、種類によっては手術のみで治療可能なものもあれば、手術に加えて化学療法や放射線治療が必要なものもあります。次の項目では、甲状腺がんの種類による違いについてご説明します。

 

甲状腺がんには種類が4種類あり、予後にも差がある

甲状腺がんには乳頭がん、濾胞がん、髄様がん、未分化がんの4つの分類があります。

  • 乳頭がん

甲状腺がんのうち最も頻度の高いタイプであり、全体の90%を占めます。発症するのは30~50歳が多く、女性に多い疾患です。ゆるやかに経過し、多くの場合で手術のみで根治が期待できます。

  • 濾胞腺がん(ろほうせんがん)

乳頭がんに次いで多く、全体の5%を占めます。好発年齢は同じく30~50歳で、女性に多い疾患です。経過はゆるやかで、基本は手術となりますが、このタイプは良性の濾胞腺腫と術前に区別することが難しく、切除後の病理検査で判明することが多いです。遠隔転移を起こす頻度も高いため、その場合は放射性ヨード内容療法(アイソトープ治療)の追加治療が必要になります。

  • 髄様がん

好発年齢は同じく30~50歳で女性に多く、甲状腺がんの1~2%を占めます。40%に遺伝性がみられ、その場合、褐色細胞腫や副甲状腺機能亢進症などを合併することがあります。上記の2つと異なり、ヨウ素を取り込む性質がないため、アイソトープ治療を行うことができません。

  • 未分化がん

甲状腺がんの1~2%を占め、好発年齢は60歳以上の高齢者です。急速に進行し、周囲の組織に浸潤すると、嗄声(声のかすれ)や呼吸困難、血痰、嚥下困難(飲み込みづらさ)などの症状が生じ、甲状腺がんの中で唯一圧痛(押すと痛む)を認めます。ほとんどの例で手術の適応にならず、化学療法や放射線療法が主体となります。診断後1年以上の生存はまれで、予後は非常に悪い疾患です。

 

甲状腺全摘術における合併症のリスク

今回ご紹介するのは、甲状腺腫瘍に対して行う甲状腺全摘術において、合併症率と手術件数の関連を調査した論文です。

甲状腺の周辺には声帯の動きを司る反回神経、血中のカルシウム濃度を調整する副甲状腺があり、手術によってこれらの組織が損傷を受けてしまうと、合併症が起こってしまいます。反回神経の損傷では、反回神経麻痺による嗄声が出現し、副甲状腺の損傷では副甲状腺機能低下症となり、低カルシウム血症によるしびれやけいれんなどが生じることがあります。

今回の論文では、医師が年間何件の手術を行なっていれば、これらの合併症のリスクを減らすことができるのかというところに焦点が置かれ、調査が行われています。

 

年間手術件数の多い名医の執刀で合併症リスクが4割減

対象となったのは1998年~2009年に甲状腺全摘術を受けた16,954名の患者さんです。このうち47%は甲状腺がん、53%は良性腫瘍でした。

外科医の平均手術件数は7件、合併症が生じたのは1,027名(6%)でした。

医師の手術経験と合併症発生率の関係性について調査を行ったところ、年間手術件数が25件以上の医師は、年間手術件数25件未満の医師と比較して、合併症の発生リスクが約4割減少することが分かりました。また入院期間についても調査を行なったところ、年間手術数25件未満の医師が手術を行うと、入院期間が約12%ほど長くなることが分かりました。

つまり年間手術数の多い医師が執刀すると、入院期間を短縮しながら、合併症のリスクを抑えて治療を行うことができる、と調査の結果判明しました。

 

甲状腺全摘術の名医の目安は年間25件以上!

甲状腺がんは手術が基本的な治療に。しかし、手術による合併症が発生することで、その治療のための時間が必要となってしまうことも考える必要があります。

今回の研究で、甲状腺全摘術の名医の目安は年間25件以上とお伝えしました。甲状腺の手術をする必要があると言われた方は、医師の手術経験についてまず調べてみて、術後の合併症リスクの少なくなる目安として、25件以上の手術を行っているような名医を選んで、治療を受けてみてはいかがでしょうか。

 

【参考文献】Adam MA, Thomas S, et al : Is There a Minimum Number of Thyroidectomies a Surgeon Should Perform to Optimize Patient Outcomes? 2017 Feb.

 

 

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