胃がんの腹腔鏡手術は手術経験46件以上で治療成績が安定する!?

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胃がんの腹腔鏡手術は手術経験46件以上で治療成績が安定する!?

罹患数・死亡数ともに高い胃がん

胃がんは日本人に多いがんの1つです。胃がんはヘリコバクター・ピロリ菌の感染が原因の一つと考えられていますが、日本人の約50%はヘリコバクター・ピロリ菌に感染していると言われています。また食生活の欧米化や塩分の過剰摂取なども、胃がんの原因の大きな要素として考えられています。

胃がんは1998年まではがんによる死因の第1位でしたが、現在は第3位まで下がっており、完治する人の数も徐々に増えてきています。しかし死因としての順位は下がったものの、罹患数は第2位と高く、まだまだ身近ながんであることに変わりはありません。

胃がんの一般的な治療法は手術ですが、出来るだけ身体に与えるダメージを少なくする低侵襲治療が広まり、手術方法も様々となっています。そのような低侵襲治療の一つに腹腔鏡手術がありますが、腹腔鏡手術とは一体どのような手術なのでしょうか。その手術方法について、少し詳しくお伝え致します。

 

腹腔鏡手術は切開創から挿入したカメラの映像をみて、病変部の治療を行う

腹腔鏡下胃切除術(LADG)では、腹部に5箇所5mm~10mm大の切開を行い。腹腔鏡と呼ばれるカメラと専用の器具を切開創から挿入します。挿入したカメラの映像をもとに、胃の切除と周辺のリンパ節の切除(リンパ節郭清)を行います。腹部に5cmの小切開を加え、切除した臓器を取り出し、残った胃と十二指腸とを吻合して、最後に創を閉じて終了となります。

従来の開腹手術では、臍から10cmほどの大きな切開をしてお腹をあける方法をとっていました。腹腔鏡を用いることで、傷が目立たないだけでなく、痛みや術後合併症のリスクの低下、出血量の減少、術後早期の回復などのメリットが期待できるようになりました。

ですが腹腔鏡手術はカメラからの映像を見て手術を行うため、視野が狭く、微細な器具の取り扱いも必要であり、非常に難易度が高くなります。そのため手術を受ける場合は、確実な技術を習得している名医に執刀をしてほしいと考えると思います。では、どの程度の経験がある医師が安定した治療成績を残す名医なのでしょうか。

今回は腹腔鏡下胃切除術と医師の熟練度について6年間にわたって調査した論文をご紹介致します。

 

腹腔鏡下胃切除術の治療成績を1年ごとに集計した論文

対象となったのは、中国西部の病院で、2006年から2011年の6年間に腹腔鏡下胃切除術を受けた246名の患者さんです。手術は同一医療機関において、1人の外科医によって行われました。246名の胃がん患者さんは、医師が手術を行った年ごとに5つの群に分類されました。

  • A群:2006年から2007年に手術を受けた46名
  • B群:2008年に手術を受けた47名
  • C群:2009年に手術を受けた49名
  • D群:2010年に手術を受けた73名
  • E群:2011年に手術を受けた31名

すべての群間において、患者さんの年齢や性別、腫瘍の大きさ・位置・進行度に大きな差はありませんでした。

 

46件以上の手術を経験すると、手術成績が安定する

医師の熟練度と治療成績との関連を評価するため、手術時間、出血量、離床までの期間、術後最初の排ガスまでの期間、術後最初の飲水までの期間、退院までの期間をパラメータとして分析しました。

腹部の手術において、合併症として腸閉塞が知られています。手術をきっかけに腸の動きが悪くなっていないか確認するために、術後の排ガスや排便は有用な指標となります。

  • 手術時間:A群 299分、B群 272分、C群 269分、D群 271分、E群 268分
  • 出血量:A群 185mL、B群 145mL、C群 146mL、D群 145mL、E群 147mL
  • 離床までの期間:A群 3.7日、B群 3.2日、C群 3.1日、D群 2.9日、E群 3.0日
  • 排ガスまでの期間:A群 4.9日、B群 4.0日、C群 3.9日、D群 3.8日、E群 4.1日
  • 飲水までの期間:A群 6.7日、B群 5.9日、C群 5.9日、D群 5.8日、E群 5.9日
  • 退院までの期間:A群 11.0日、B群 10.1日、C群 10.2日、D群 9.9日、E群 10.2日

手術時間は経験の浅いA群では299分、経験を積んだE群では268分と短縮していて、出血量はA群では185mL、E群では147mLとこちらも大幅な減少がみられました。離床までの期間はA群で3.7日、E群で3.0日、排ガスまでの期間はA群で4.9日、E群で4.1日、飲水までの期間はA群で6.7日、E群で5.9日、退院までの期間はA群で11.0日、E群で10.2日と、いずれにおいても1日前後の変化があり、統計的に有意な改善を認めました。

いずれのパラメータにおいても、A群からB群にかけて成績が急激に上がり、その後は安定してその成績を維持していました。

 

手術を受ける前に、年間の手術数を調べてみましょう

外科手術の安全性を評価するための指標としては、手術時間や出血量、入院日数などが重要な指標となります。今回の研究では、これらの項目が外科医の手術経験と密接に関わっていることが分かりました。

経験豊富な名医による治療を受けることで、合併症のリスクにさらされずに、短い入院期間で順調な回復を迎えることが可能になります。もちろん技術的な成熟は明確に指標化できる部分ではありませんが、今回の論文では46件の手術経験を積むと、その後の治療成績は大きく変化しないというデータが出ています。

罹患数の高い身近ながんについて、名医を探す際にはまず手術件数に注目してみてはいかがでしょうか。

 

【参考論文】Lin-Yong Zhao, Wei-Han Zhang, et al : Learning curve for gastric cancer patients with laparoscopy-assisted distal gastrectomy.2016 Sep.

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