【米国論文】心臓手術をうけるならレジデント制度のある病院!

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【米国論文】心臓手術をうけるならレジデント制度のある病院!

心疾患の患者は年々増加している

心疾患は、日本人の死因としてがんに次いで2番目に死亡数の多い疾患です。厚生労働省の平成26年の調査結果では、1年間の死亡数がおよそ19万6千人と発表されており、心疾患の患者数は年々増加しています。心疾患の治療では薬物療法のみの場合もありますが、手術によってしか治すことのできない病態も存在します。

しかしながら心臓手術は非常にリスクの高い治療であり、時に生命に重篤な影響を及ぼすような可能性を背負って望まなくてはならないこともあります。生命へのリスクを考えて治療に臨まなければならないのであれば、できる限り医療の質が高い病院にお願いしたいと考えますよね。高リスクな手術となるケースは様々ですが、今回は冠動脈バイパス術(CABG)と大動脈弁置換術(AVR)の同時手術に関する論文をご紹介致します。

論文の紹介に移る前に、まずはそれぞれの手術について簡単にご説明致します。

 

冠動脈バイパス術:詰まった血管の前後に新しい血管をつなぎ、別ルートを作る手術

血液は血管を通じて全身に供給されます。血液には活動するために必要な酸素や栄養が入っており、細胞がこれを受け取ることで、私たちは活動できています。

しかし生活習慣の悪化などによって、血中のコレステロール濃度が上昇し、これに伴って血管がコレステロールで詰まってしまうことがあります。この状態によって末梢組織への血流が局所的に不足してしまうことを「虚血」といいます。

「虚血」は心臓そのものに対しても起こることもあります。心臓自体ももちろん細胞でできているために、心臓自体に血液を送る血管が詰まると、心臓の「虚血」がおきます。これが「虚血性心疾患」です。

虚血性心疾患を発症した際に、詰まっている血管の両端を挟んで、新たに人工血管などで副血行路をつくることで血流量の回復をはかる治療を行うことがあり、この治療を「バイパス手術」と言います。よく知られているのが、心臓の主要動脈である冠動脈が狭窄したときに行なわれるバイパス手術で、 これを冠動脈バイパス術(CABG)といいます。

 

大動脈弁置換術:機能不全の弁を人工弁/生体弁に交換する手術

心臓の内部は4つの部屋に分かれています。心臓の中で、血液が一定の方向に流れ、逆流しないように、心臓の部屋と部屋の間には弁と呼ばれる扉がついています。心臓には4つの弁がありますが、左心室と大動脈の間にある弁が大動脈弁です。

この大動脈弁が正しく機能せず、血液が左心室へ逆流してしまう病気が大動脈弁膜症です。大動脈弁膜症は超音波検査などで重症度を調べたのち、必要に応じて大動脈弁を機械弁あるいは生体弁で置換する治療が行われます。この治療法を大動脈弁置換術(AVR)といいます。

 

体への負担を考慮して冠動脈バイパス術と大動脈弁置換術を一度にやることがあります

人によっては冠動脈狭窄と大動脈弁膜症を併発している場合もあり、一度の開胸手術で同時に手術することがあります。2つの手術を同時に行うと、それだけ複雑になり手術の難易度はあがりますが、身体に負担を大きくかける手術を別日に2回行うよりはダメージが少なくなると考えられる場合もあり、その場合は2つの手術を1度に行います。

 

冠動脈バイパス術・大動脈弁置換術の同時手術は、症例数が多く、レジデント制度のある病院で行うと合併症の発症率が下がる

今回の論文ではアメリカにおいて、1998年から2007年の間に行われた冠動脈バイパス術と大動脈弁置換術の同時手術について調査が実施され、それを病院の機能別に3グループに分けて比較分析が行われました。

  1. 心臓血管外科のレジデント制度がある病院
  2. 心臓血管外科のレジデント制度はないが他の科のレジデント医制度がある病院
  3. レジデント制度がない病院

※レジデント制度とは、専門医を育てるための研修プログラムのことです

調査の結果、合併症の発生率をそれぞれの病院群で比較すると、グループ1の病院に比べ、グループ2の病院では約1.4倍、グループ3の病院は約1.6倍の発生率、となっていました。

心臓血管外科のレジデント制度がある病院の約92%が年間25件以上手術を行なっていますが、レジデント制度がない病院は25件以上行なっている病院が約63%と低く、年間手術数が多いことが合併症の発症率を下げる一因になると考えられます。また論文ではレジデント制度がある病院では、患者にトラブルがあった際に、広い専門分野をもったチームが対応に当たるため、合併症の発生リスクを下げているだろうと述べています。

 

病院を選ぶ際は、病院の臨床指導が実施されているかを見ることもポイントとして考えてみては

今回の論文では年間手術数が多いことに加えて「レジデント制度がある病院であること」が病院を選ぶポイントであることがわかりました。レジデントを指導する病院は、その分野へ精通している名医が在職して後進指導にあたっているため、病院の技術水準や臨床経験が豊富である可能性が高いのでしょう。また、合併症などのトラブルの際にも、他分野の医師とチームで連携して診療にあたってくれるため、幅広く対応してくれる病院であるとも考えられます。治療を受ける病院を選ぶ際には、その病院がレジデント制度を持って後進の教育を行なっている病院かどうかというのを気にして探してみてもいいかもしれませんね。

 

参考文献:Outcomes of concomitant aortic valve replacement and coronary artery bypass grafting at teaching hospitals versus nonteaching hospitals.

 

 

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