尿道下裂の手術を受ける前に、なるべく合併症を発生させないために知っておきたい予備知識!

尿道下裂の手術を受ける前に、なるべく合併症を発生させないために知っておきたい予備知識!

そもそも尿道下裂って何?

尿道下裂とは生まれつきの(先天性の)尿道の奇形で、陰茎の先端にあるはずの尿道口が本来の位置よりも根元側に作られてしまう病気です。

奇形の程度は非常にさまざまで、陰茎の途中に尿道の出口ができてしまうものもあれば、陰嚢に開口するものもあります。本来の位置に尿道口がないため、尿が飛び散ったり、陰茎が曲がったり、性行為に支障をきたすなど、審美面だけでなく、機能的にも種々の問題が生じます。

尿道下裂の発生率は男児250人に1人とされています。原因は男性ホルモンが影響しているといわれていますが、はっきりとした理由は不明です。しかし、ホルモンが関係していることを裏付けるように、男性器の別の奇形を合併するなど、複合的な疾患を有した症例も報告されています。尿道下裂という言葉はそれほど知られていないように思いますが、250人に1人という確率はそんなに少なくないですよね。

治療方法は手術による尿道の再形成で、だいたい1歳から2歳の間に行われます。手技が難しく、手術方法も200以上と多岐にわたるといわれています。術後の合併症には、尿道瘻(にょうどうろう:尿道口以外の部位から尿が漏れてしまう)、縫合不全、尿道狭窄、陰茎の捻じれなどあります。これらの合併症のリスクを出来るだけ少なくするためには、どのようなことに気をつけて治療を選択したらいいのでしょうか。

今回は、尿道下裂の手術を行う医師の熟練度に注目して、成功率や合併症の頻度に関して分析を行った論文についてご紹介致します。

 

尿道下裂の患者を担当医師の3つのグループに分類して

対象となったのは、1997年1月から2013年12月までの16年間に行われた324件の手術です。このうち、追跡期間が1年に満たないものなど、条件を満たさなかったデータは除外され、調査対象となった症例は296件となりました。対象患者は9ヶ月から16歳までの小児で、平均年齢は2.9歳でした。

これらの症例は、手術の行われた時期によって

  • 1997年から2004年までに行われた93件の手術をⅠ群
  • 2005年から2006年までに行われた53件の手術をⅡ群
  • 2007年以降に行われた153例の手術をⅢ群

の3つのグループに分類され、その結果が分析されました。

1997~2004年の手術は5名の泌尿器科医によって行われ、2005年以降は1人の泌尿器科医によって行われました。

 

医師の手術経験が増えると成功率が高まり、合併症の発生が減る

手術成功は「陰茎の先端に適切な大きさの尿道口を形成でき、かつ術後、治療が必要な合併症が生じなかった患者」と定義されています。

分析の結果、手術が成功した症例は

  • Ⅰ群:60/93件(64.5%)
  • Ⅱ群:32/50件(64%)
  • Ⅲ群:128/153件(83.7%)

となりました。

また、術後に合併症が発生した症例は

  • I群:33件(35.5%)
  • II群:18件(36%)
  • III群:25件(16.3%)

となりました。また合併症で最も発症頻度の高かったものは、どのグループでも尿道瘻が一番多くなっていました。(Ⅰ群:20件、Ⅱ群:11件、Ⅲ群:17件)

 

尿道下裂の手術を受けるなら、経験豊富な名医を!

I群は複数の医師が手術を担当しているので評価しづらいですが、II群とIII群は1人の同じ医師によって手術されているので、その比較は参考になります。Ⅱ群とⅢ群を比較すると、III群の方が手術の成功率は上昇し、合併症の発生率は低下しています。このことから、経験を重ねた名医であるほど、手術成績が良いことが分かります。今回の論文では、名医の基準となる正確なケース数を数値化することは難しいものの、手術で良い成績を残すためには50件の手術経験が必要であると結論付けています。

また他の同様の研究を見ると、尿道下裂の手術の合併症率は50~75症例を経験した後に安定することが報告されています。

尿道下裂では、尿の方向が定まらない、立位での排尿ができないなどの排尿に関する症状に留まらず、陰茎の発達が不十分、膣内に射精できないなど性器に関するコンプレックスにもなり得ます。尿道下裂の手術は難しいものとお伝えしましたが、手術経験豊富な名医の手にかかれば成功率の低い手術ではありません。心身ともに健康な子供に育つためには、名医による治療が必要だと考えられます。

 

参考論文:MS Ansari, Shikhar Agarwal, et al : Impact of changing trends in technique and learning curve on outcome of hypospadias repair: An experience from tertiary care center. 2016 Sep.

 

 

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