大腸がん切除手術では医師の年間手術件数によって合併症率に1.5倍の差が!

大腸がん切除手術では医師の年間手術件数によって合併症率に1.5倍の差が!

大腸がんとは

近年、食生活の欧米化に伴い、日本では大腸がんが増加傾向にあります。大腸がんができやすいのは直腸とS状結腸(下行結腸と直腸を結ぶS字の結腸)と呼ばれる部位で、大腸がんの割合全体の約7割をしめています。早期がんは2センチ以下の小さながんがほとんどで、肛門出血に気づいて検査するか、症状がなくても大腸がん検診で見つかるケースが増えています。がんができる部位や進行度により症状は異なりますが、大腸がんの代表的な症状は、血便、便秘、下痢、腹痛です。

 

大腸がんの治療方法

大腸がんでは、外科手術、化学療法(抗がん剤を使用する治療)、放射線療法など複数の治療を組み合わせて行われます。中でも、外科手術は体内からがんを直接取り除くことで高い治療効果が得られるため、大腸がんの中心的な治療法とされています。

手術方法としては、内視鏡手術、腹腔鏡手術、開腹手術、ロボット支援手術などがあげられます。どの手術方法を選択するかは、がんができている部位や進行度などに応じて決定されます。

たとえば内視鏡手術は、内視鏡を使って粘膜を切除する方法です。開腹手術に比べて切除部位が小さく、出血や痛みも少ないため患者さんにとって負担が少ないことが大きなメリットですが、リンパ節転移がないと判断された早期がんのみが対象となります。

腹腔鏡手術は、腹壁に数ヵ所小さな穴を開けて、腹腔鏡と電気メスなどを入れて、モニター画面で患部を確認しながらがんを切除します。内視鏡手術と同様に開腹手術に比べて切除部位が小さく、出血や痛みも少ないため患者さんにとって負担が少ないことが大きなメリットであり、大腸内視鏡では切除が難しい大きさや形状のがんが対象となります。一方で、腹腔鏡手術は遠隔操作であり、腹腔内での操作範囲に限界があること、臓器や血管の損傷が起こった場合に気づきにくいこと、など技術の難しさがあります。そのため、腹腔鏡手術を受ける場合には信頼できる名医にお願いするのが良さそうです。

 

大腸がんに対する選択的切除手術の件数と治療成績との関係を調べた論文

今回ご紹介する論文は、大腸がんに対する選択的切除手術(手術により、病変部のみを限定的に切除すること)の件数と治療成績に関係があるかどうかを検討した研究です。本研究では、アメリカの医療研究機関の約9割が参画している「ユニバーシティ・ヘルスケア・コンソーシアム」と呼ばれる組合に集積されたデータのうち、大腸がんと診断された18歳以上の患者を対象としています。

対象期間は2008年から2011年の4年間で、結腸切除手術を受けた17,749名(平均65歳)の患者を調査対象としています。本研究では1年間に外科医が執刀した結腸切除手術の年間手術件数が

  • 最も少ないグループ(5件未満)
  • 中程度のグループ(5件以上11件未満)
  • 最も多いグループ(11件以上)

の3つに分類し、大腸がんに対する結腸切除手術施行後の死亡率を主要な評価項目として治療成績を検討しています。

また1施設あたりの結腸切除手術件数についての年間手術件数が

  • 最も少ないグループ(9件未満)
  • 少ないグループ(9件以上18件未満)
  • 多いグループ(19件以上37件未満)
  • 最も多いグループ(37件以上)

の4つに分類し、同様の検討を行っています。

 

年間手術件数が多いほど、術後合併症の発生率や再手術率が低い

上記グループ毎の結果を比較したところ、両比較とも年間手術件数が多いほど、術後合併症の発生率や歳出率が低くなることがわかりました。

医師毎の年間手術件数比較では、最も少ないグループは最も多いグループに比べて、手術後の合併症の発生率が「約1.5倍」、再手術率においても同様に年間手術件数が最も少ないグループの方が「約1.4倍」頻度が高くなることがわかりました。また施設規模毎の年間手術件数比較でも、最も少ないグループは最も多いグループに比べて「約1.2倍」再手術率が高くなることも示されました。

この分析結果から、大腸がん切除の年間手術件数が多い外科医ほど、手術後の合併症や再手術率が少ない名医であり、年間の手術件数が多い病院の方が手術でのリスクが低くなりやすいと言えます。

 

大腸がんに対する選択的切除手術の名医は年間手術件数を基準に選ぶと良い

今回紹介した論文の結果から、大腸がんに対する選択的切除の年間手術件数が多い医師は少ない医師に比べて手術成績が良いことがわかりました。また年間手術件数が多いほど、腹腔鏡手術を選択している割合が多いことも論文から示されており、手術後の経過と術式の選択には相関性がありそうです。

大腸がんでは、がんの部位や進行度により治療方法が異なりますので、まずは手術適応があるかどうか医師に診断してもらうことが大切です。手術適応のある大腸がんであると診断された場合には、まず手術件数やどのような術式の手術を多く実施しているかを基準に、大腸がん手術の名医を探してみてはいかがでしょうか?

<参考文献>Surgeon volume and elective resection for colon cancer: an analysis of outcomes and use of laparoscopy. J Am Coll Surg. 218(6):1223-1230, 2014

 

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