【米国論文】急性大動脈解離の名医と名医以外では術後死亡率が10%違う!

【米国論文】急性大動脈解離の名医と名医以外では術後死亡率が10%違う!

急性大動脈解離とは

大動脈とは心臓から全身に血液を送り出す動脈であり、私たちの体の中でもっとも太い血管です。大動脈は3層構造(外膜、中膜、内膜)になっており、心臓から送り出される血流に耐えられるように十分な強さとしなやかさを持っています。しかし、何らかの原因で大動脈の一番内側にある「内膜」に裂け目ができると、中膜の中に血液が入り込み、大動脈の壁が2つに裂けてしまうことがあります。これを大動脈解離といいます。

大動脈解離は発症時期と発症部位により分類されます。まず、発症してから2週間以内のものを急性大動脈解離、2週間以降のものを慢性大動脈解離と呼びます。また、解離した部位によりStanford A型とStanford B型に分類されます。大動脈は心臓から脳・上肢に血流を送るために一旦上に向かい、その後Uターンして下半身の方に血流を送りますが、心臓から頭の方に向かう大動脈(上行大動脈)に解離が認められるものをStanford A型、上行大動脈に解離がなく、それ以降の大動脈(弓部大動脈や胸部下行大動脈など)に解離が認められるものをStanford B型と言います。

 

急性大動脈解離の症状と治療

急性大動脈解離の7-8割はかなり強い胸部痛あるいは背部痛が伴います。また、狭心症や心筋梗塞などを伴う場合や、下半身の麻痺、腎障害を伴う場合もあります。急性大動脈解離の治療は解離の部位と程度によって異なります。Stanford A型の急性大動脈解離では、解離した部分が心臓に血液を供給する血管である冠動脈の入口を圧迫するなどして心臓の機能に甚大な影響を及ぼすため、解離した部位を人工血管で置き換える緊急手術が必要となります。また、Stanford B型の急性大動脈解離では、解離部位の瘤の大きさ(最大径)が5cm以上である場合や血流障害がみられる場合には手術適応となりますが、それ以外の場合には血圧を厳格に管理するなどの保存的治療が優先される場合が多いです。

 

急性大動脈解離の手術件数と治療成績との関係を調べた論文

今回ご紹介する論文は、急性大動脈解離の手術件数と治療成績に関係があるかどうかを検討した研究です。本研究では、アメリカの入院患者データベース(Nationwide Inpatient Sample: NIS)に登録された患者のうち、急性大動脈解離と診断された成人患者を対象としています。対象期間は2003年から2008年の6年間で、急性大動脈解離の手術を受けた5,184名(平均60.3歳)の患者を調査対象としています。

本研究では、1年間に外科医が執刀した急性大動脈解離の件数に基づき、年間手術件数が最も少ないグループ(年間1件未満)、少ないグループ(年間1件以上2件未満)、多いグループ(2件以上5件未満)、最も多いグループ(5件以上)の4つに分類し、急性大動脈解離に対する手術施行後の死亡率を主要な評価項目として治療成績を検討しています。また、1施設あたりの急性大動脈解離の手術件数についても、年間手術件数が最も少ないグループ(3件未満)、少ないグループ(3件以上8件未満)、多いグループ(8件以上13件未満)、最も多いグループ(13件以上)の4つに分類し、同様の検討を行っています。

 

急性大動脈解離の年間手術件数が多い名医ほど手術後の死亡率が低い

分析の結果、全体的な術後死亡率が21.6%である中で、年間手術件数が最も多いグループ(5件以上)は17.0%、最も少ないグループ(1件未満)では27.5%と、死亡率において10%もの差がみられました。さらに、1施設あたりの急性大動脈解離の手術件数が最も多いグループ(13件以上)では術後死亡率が16.4%、最も少ないグループ(3件未満)では27.4%と、こちらでも10%以上の差がみられました。

 

今回の結果から、急性大動脈解離の手術においては、施設の手術数、医師個人の手術数、両方とも多いほど死亡率が減少してくことがわかりました。つまり急性大動脈解離の年間手術件数が多い心臓外科医ほど名医であり、多い医療機関ほどいい病院であると言えます。

 

急性大動脈解離の名医は年間手術件数を基準に選ぶと良い

先ほど述べたように、急性大動脈解離では多くの場合に胸部痛や背部痛といった症状が伴います。この痛みはかなり強いので、多くの場合は、病院を探している暇などなく、そのまますぐ近くの大きな病院を受診、もしくは救急車を呼んでどこかに搬送されるということになります。

ですので、高血圧や高脂血症など大動脈解離のリスクが高い方は、前もって近くで手術件数の多い病院や名医を探しておくのがよいでしょう。心臓血管外科の手術件数や体制というのは病院によって大きく異なっています。全ての心臓血管外科で同様の治療が受けられるのではなく、医師や施設により死亡率が10%も違うとすると、事前準備をしておくこともやぶさかではないでしょう。

<参考文献>National outcomes in acute aortic dissection: influence of surgeon and institutional volume on operative mortality. Ann Thorac Surg. 95(5):1563-1569, 2013

 

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