甲状腺がんの手術後に生じる副甲状腺機能低下症の合併は名医ほど防ぐことができる

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甲状腺がんの手術後に生じる副甲状腺機能低下症の合併は名医ほど防ぐことができる

甲状腺・副甲状腺とは

甲状腺は首の前面にある小さい臓器で、代謝に関わるホルモンを分泌しています。この甲状腺の裏側には副甲状腺というさらに小さい臓器があり、こちらは骨や腎臓、腸に働きかけて血液中のカルシウム濃度を上げる作用をもつホルモンを分泌しています。大きさは数mmで、甲状腺の上下左右に1つずつ、計4つの副甲状腺があります。

甲状腺がんで最も基本となる治療法は、がんを手術で切除する外科療法です。手術では、単にしこりのある部分のみを切除する方法では高率で再発してしまうため、ある程度大きいがんの場合は、甲状腺をまるごと取り除く甲状腺全摘術が行われます。

しかし、甲状腺全摘術では、反回神経麻痺、甲状腺機能低下、副甲状腺機能低下などの合併症が起こる可能性があります。副甲状腺機能低下症とは、副甲状腺ホルモンの分泌量が低下することで血液中のカルシウム濃度が低下し、手や足、口周辺のしびれ、筋肉のけいれんなどが生じる病気です。

 

甲状腺全摘術の合併症と医師の手術経験の関係

今回ご紹介するのは、甲状腺全摘後に生じる合併症の中でも、特に副甲状腺機能低下症を発症するリスク因子について調査した論文です。この論文では、医師の手術経験と副甲状腺機能低下症の関係を述べています。

研究の対象となったのは2003年3月から2006年8月までに、韓国の国立がんセンターにて1人の医師によって行われた531件の甲状腺全摘術です。

術後に副甲状腺機能低下症を呈したのは、全患者の25.4%にあたる135人の患者さんで、そのうち全患者の3.6%にあたる19人の患者さんは、恒久的な副甲状腺機能低下症を合併しました。

 

甲状腺全摘術の合併症リスクに手術経験数が影響

この研究の結果、副甲状腺機能低下症のリスク因子として、副甲状腺自家移植、両側リンパ節郭清、甲状腺外へがんが浸潤していること、などがありました。また、全摘した甲状腺の病理標本に副甲状腺組織がみられること、医師の手術経験が浅いことも、副甲状腺機能低下症を引き起こすリスクであることがわかりました。

1つずつ簡単にご説明しますと、甲状腺を摘出する際には、甲状腺にくっついている副甲状腺も一緒に取れてしまいます。そのため、副甲状腺を見分けるのが難しい場合には、通常一緒に摘出してから筋肉の中に移植します。これを自家移植と呼びます。しかし、副甲状腺は、一度外されてしまうと一時的に働きが落ちてしまうため、副甲状腺機能低下症を引き起こします。

両側リンパ節郭清と甲状腺外への浸潤、を説明します。肉眼的にはがんが甲状腺内に留まっているようにみえても、小さいがん細胞が周辺に散在していることもあり、多くの例で再発予防のためには甲状腺周辺のリンパ節郭清(かくせい:がん周辺のリンパ節を取り除くこと)を行います。このとき、副甲状腺も一緒に取り除かれてしまったり、副甲状腺に酸素や栄養素を送る血管が傷ついてしまうことがあります。

摘出した甲状腺を病理標本として顕微鏡で見たら、副甲状腺がくっついている場合に、副甲状腺機能低下がおこりうるというのは当たり前ですね。

そして最後の、医師の手術件数です。副甲状腺機能低下症のうち、術後一時的なものではなく、生涯治らない副甲状腺機能低下症に焦点を当てると、その主な原因は医師の手術経験であることが分かりました。永久的な副甲状腺機能低下症は、初めの2年間で行った手術のうちの6.5%に生じ、その後2年間で行った手術では1.8%まで発症率が低下しました。このことから、経験を積むほど、経験豊富な名医であるほど、永久的な副甲状腺機能低下症の発症率は低いことが分かります。

 

後遺症に悩まないためには名医による治療を

甲状腺全摘術による合併症、副甲状腺機能低下症を防ぐためには、名医ならではの外科的技術が欠かせません。よりよい術後を過ごすためには、手術経験豊富な名医による治療を受けることが望ましいと考えられます。

 

【参考論文】
Paek SH, Lee YM, Min SY, et al : Risk factors of hypoparathyroidism following total thyroidectomy for thyroid cancer. 2013 Jan.

 

 

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