肝移植は経験症例数の多い名医の方が胆道合併症が少ない!

肝移植は経験症例数の多い名医の方が胆道合併症が少ない!

肝移植を名医が行ったほうが良い理由

肝移植は、肝細胞がんやウイルス性肝硬変(C型、B型)などの肝臓病において行われる治療法の1つです。患者さんは肝臓をすべて取り出し、ドナーから提供された肝臓の移植を受けます。肝臓には胆管という管と、肝動脈、肝静脈、門脈の3つの血管がつながっています。胆管とは、肝臓と腸をつないでいる管で、胆汁(肝臓で作られる消化液)を分泌する際に用いられています。肝移植では、これらの管を正確につなぎ合わせることが求められます。

肝移植の手術における合併症は多岐に渡ります。出血、感染症、というような手術にはつきものの合併症から、つなぎ合わせた血管が狭くなってしまう血管狭窄、胆道をつなぎ合わせる際の問題、移植の拒絶反応など、が主なところです。

その中でも今回特に取り上げる胆汁漏は、胆管のつながりが緩いために胆汁が漏れ出してしまう状態です。胆管をきつく縫合すると、胆汁の流れは悪くなり、胆道狭窄の原因ともなります。しかし、逆に緩く縫合した場合、胆汁がお腹の中で腸の外に漏れて、重篤な感染症や敗血症(血液中に病原体が侵入して、高熱や血圧低下など全身症状をもたらす重篤な状態)などを引き起こす原因にもなります。

 

肝移植における経験値と合併症率の関係

今回ご紹介する論文は、肝移植と合併症の率に関して、経験の浅い医師と経験豊富な名医との間に差があるのかを韓国のサムスンメディカルセンターでレトロスペクティブに(過去の症例を振り返って)調べたものです。

対象となった患者さんは、2011年1月から2012年12月までに肝移植を受けた136人の患者さんです。患者さんの年齢や性別、病変の進行度、治療の際に使用した医療機器、移植した肝臓の大きさなどに加え、治療を行った医師を経験の浅い医師と経験豊富な名医とで比較しながら、評価を行いました。

合併症の発生率は経験によって異なる

経験豊富な名医は102件の手術を担当し、経験の浅い医師は34件の手術を担当していました。その結果、胆道合併症を発症した患者さんは、経験豊富な名医による治療を受けた群では102人中31人(30%)、経験の浅い医師による治療を受けた群では34人中17人(50%)でした。

合併症について詳しくみると、胆管狭窄が生じた患者さんの割合は、名医による治療を受けた群では102人中28(27.5%)、経験の浅い医師による治療を受けた群では34人中9人(26.5%)と差はみられませんでした。一方、胆汁漏が生じた患者さんの割合は、名医による治療を受けた群では102人中3人(2.9%)、経験の浅い医師による治療を受けた群では34人中9人(23.5%)と明らかな差がみられました。そしてこの胆汁漏が生じた患者さんが多い分、経験の浅い医師による治療を受けた群では、ドレナージ(管を入れて溜まった液体を引き出す処置)によって腹腔内の胆汁を処理する追加の治療を行う頻度も高くなりました。

また、経験の浅い医師によって生じた合併症と時期を詳しくみると、はじめの1~10件の中で4件の胆道狭窄が生じ、11~20件の中で2件の胆道狭窄と7件の胆汁漏が生じ、21~30件の中で2件の胆道狭窄と1件の胆汁漏が生じ、31~37件の中で1件の胆道狭窄が生じていました。このことからこの論文では、肝移植における合併症を減らすためには、少なくとも20件の手術経験が必要と結論づけています。

 

肝移植の名医を探す場合には症例数も検討しましょう

移植は適合するドナーからの臓器提供があってはじめて行える治療であり、肝移植を必要としている患者さんの誰もが受けられる治療ではありません。治療を受けられる場合には、貴重な機会に合併症を起こさないように、手術の担当医師は慎重に選んだ方がよいでしょう。

経験症例数が多い医師の方が胆道合併症が少なかったということから、どこで手術を受けるかという一つの基準として、医師の経験症例数がなりうると思います。肝移植は日本全体でもそれほど手術件数が多くなく、医師としても経験を重ねることが難しい治療法でもありますが、なるべく経験している医師を探しましょう。

 

【参考文献】
Kim JM, Cho W, Kwon CH, et al : Bile duct reconstruction by a young surgeon in living donor liver transplantation using right liver graft. 2014 Sep.

 

 

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