発達障害の一つである自閉症スペクトラムの治療としてビタミンDの投与が効果あり

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発達障害の一つである自閉症スペクトラムの治療としてビタミンDの投与が効果あり

自閉症スペクトラムとは?

自閉症スペクトラム障害は、

  • 社会的相互作用の障害
  • 言語によるコミュニケーションまたは表情やジェスチャーなどの非言語コミュニケーションの障害
  • 興味・関心や活動が定型化する

という特徴をもつ、比較的頻度の高い発達障害の病気です。

主な症状として、友達が作れない、ルールに従えない、他人と目を合わせない、同年代の子どもと遊べない、場面に合った言葉が出てこないなどの社会性の障害や、毎日決まった行動を行い、予定外の活動に抵抗を示す、ミニカーを一列に並べる遊びを繰り返すなどの強いこだわりがみられます。

いまのところ完治する方法は確立されていません。

 

自閉症スペクトラムとビタミンDの関係性

今回ご紹介する研究は、自閉症スペクトラムの子どもに対し、治療としてビタミンDを投与することで、自閉症スペクトラムの症状に変化を与えるかどうかを評価したものです。

これまでの研究で、自閉症スペクトラムの子どもではビタミンDが欠乏していることが報告されていましたが、ランダム化比較試験を行ったものはありませんでした。従来の研究では、治療群(新しい治療を行う群)と対照群(治療を行わないまたは従来の治療を行う群)の患者を、主治医や病院などをくくりとして割り当てていたため、群によって偏りが生じていた可能性がありました。

今回用いられたランダム化比較試験という方法は、治療群、対照群をランダムに割り当てることで、得られる結果の客観性がより高めることができます。

 

今回の研究で試された自閉症スペクトラムの治療方法

この論文の研究では、二重盲検法を用いたランダム化比較試験が採用されました。

二重盲検法とは

二重盲検法とは、対象となる患者も医療者自身もどちらの群に割り振られたか分からないため、主観によって評価に影響を与えることを防ぐことができる試験方法です。患者や医療者が、自分たちは治療群に属しているということがわかっていると、治療の結果がよかったという方向に無意識のうちに寄ってしまったりする可能性がありますが、この二重盲検法ではそれを防止することができます。

研究の対象と研究に用いられた検査方法

対象となった患者は、3歳~10歳の男児85人、女児24人、計109人の自閉症スペクトラム障害の子どもです。

対象となる子どもの親に、ビタミンDまたはプラシーボ(薬効成分を含まない偽薬)を渡し、4ヶ月間毎日投与を行ってもらいました。治療群での毎日のビタミンD投与量は、300IU/kg/day(1日体重1kgあたり7.5µg)とし、1日量が5,000UI(125µg)を超えないよう設定しました。血液中に溶けているビタミンDの値は、試験の開始時と終了時に検査を行いました。

自閉症スペクトラムの重症度や子どもの社会的成熟度は、CARS(小児自閉症評定尺度)、ABC(異常行動チェックリスト)、SRS(対人応答性尺度)、ATEC(自閉症治療評価チェックリスト)という、一般的な評価方法を複数用いて評価しています。

自閉スペクトラム ビタミンD

 

自閉症スペクトラムの治療として子どもにビタミンDを投与することで症状が大幅に改善!

今回の研究の結果、ビタミンDを4ヶ月間投与した治療群では、社会的相互作用の障害や言語・非言語コミュニケーションの障害、興味・関心や活動の定型化などの自閉症スペクトラムの症状が大幅に改善しました。一方、プラシーボを4ヵ月間投与した対照群では、症状の改善はみられませんでした。

この研究では、自閉症スペクトラムの子どもに大量のビタミンDを投与することで、症状を改善させる有効性に加え、ビタミンDに対する忍容性や安全性が実証されたといえます。

 

自閉症スペクトラムの治療に関する今回の研究結果

この研究は、自閉症スペクトラムの患者にビタミンDを投与する有効性を示す初の二重盲検ランダム化比較試験でした。研究で用いた基準の範囲内であれば、ビタミンDの経口投与は、安全に自閉症スペクトラムの症状を改善させることができるため、自閉症スペクトラムの子どもたちに推奨できる方法といえます。

この研究では、対象とした患者数が多くないため、自閉症スペクトラムに対するビタミンDの有効性をさらに決定付けるためには、さらに大規模な研究が必要です。

 

まとめ

自閉症スペクトラムは生まれつきの脳の機能障害によるものと考えられています。

現在、症状の軽いアスペルガー症候群や否定型自閉症スペクトラムを含めると、約100人に1人と高い頻度で発症することが知られています。いまのところ完治する方法が確立された治療法はありませんが、この研究で実証されたように、子どものうちからビタミンDを豊富に含む食事を心がけることが症状の改善のためには有効といえます。また、ビタミンDが活性化するためには紫外線が必要であるため、有効性をより高めるためには、適度に日光を浴びることも重要です。

 

発達障害については、こちらのコラム「コミュニケーションや学習がうまくできないのは発達障害かも!?」も御覧ください。

 

参考文献:Saad K, Abdel-Rahman AA, Elserogy YM, et al : Randomized controlled trial of vitamin D supplementation in children with autism spectrum disorder. J Child Psychol Psychiatry. 2016 Nov 21

 

 

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