小児の肺移植手術は小児専門病院で行うと生存率が高い

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[投稿日] '16/07/10 [最終更新日] '18/03/18 749views
小児の肺移植手術は小児専門病院で行うと生存率が高い

肺移植は、生まれつき肺の病気などがあり呼吸を自分自身ではうまくできず、日常生活を送ることが困難な患者さんに対して行われる治療法です。肺移植が必要な患者さんは小児から大人まで年齢の幅は広く、重症な状態の方が対象になっています。今回は、肺移植手術と名医に関連する論文を紹介します。

 

肺移植とは

肺移植は、世界で5万人もの患者さんが受けている治療法ですが、日本では平成28年の時点で約470人が手術を受けているといわれています。

肺移植は呼吸が苦しいため日常生活がうまく送れず、人工呼吸器を常に必要とするような患者さんが対象となります。小児から大人まで幅広い年齢の患者さんが現在も肺移植を受けるために待機しています。

肺移植の適応となる病気は、原発性肺高血圧症、特発性肺線維症、気管支拡張症、肺サルコイドーシス、アイゼンメンジャー症候群、肺好酸球性肉芽腫症などですが、一般的にはあまり聞きなれないものが多いかもしれません。

肺移植には、脳死に至った方の善意によって提供された肺を移植する脳死肺移植と健康な家族から肺を移植する生体肺移植があります。海外では脳死肺移植が多いですが、日本では約40%が生体肺移植を占めています。

他人でも家族でも、自分と異なる肺を移植した場合には拒絶反応を起こさないために免疫抑制剤を一生内服しなくてはいけません。日本では肺移植に対する手術や免疫抑制剤は保険適応となっています。

 

小児の肺移植手術は小児専門病院で行うと生存率が高い

今回紹介する研究では、アメリカで肺移植を行った1046人の小児を対象にしています。62カ所の病院が調査の対象となり、内訳は大人を専門とする51施設(82%)、小児の症例数が多い小児専門病院3施設(5%)、小児の症例数が少ない小児専門病院8施設 (13%)となっています。病院ごとの手術件数が、手術後の生存率に影響するかどうかを調べました。

年間の肺移植手術件数が多い病院でも、大人を対象とする施設では小児の肺移植件数は1例か1例に満たないなど少ないことがわかりました。また、12歳未満において小児の症例数が多い小児専門病院では、症例数の少ない小児専門病院に比べて生存期間が4.4年長いことが明らかになりました。12-17歳の小児においても、同様に小児の症例数が多い専門病院において生存期間が2.1年長いことがわかりました。つまり、よい年齢が若い小児においては特に小児の手術件数が多い病院における生存率が高いということです。

興味深いことに、小児の症例数が少ない小児専門病院の方が、大人を専門とする病院に比べると生存率高いことが明らかになりました。大人を専門とする病院では、肺移植後に拒絶などで移植がうまくいかないリスクが高いこともわかりました。

今回の結果から、小児に対する肺移植の手術経験が多い名医のいる病院で手術を受けた方が手術後に生存する確率が高くなることがわかりました。小児の肺移植手術に関しても、名医に手術をしてもらった方が安心のようです。

 

小児科や呼吸器外科の名医がいる病院の探し方

クリンタルでも小児科の名医呼吸器外科の名医を紹介しています。手術には多くの医師が関わるので、医師1人あたりの手術件数はわからないことがほとんどですが、病院の手術件数を見れば1年間のおおよその症例数がわかります。症例数の多い病院には名医がいる可能性が高いと考えてよいでしょう。名医を探す時には、1年間の手術件数を比較してみるとよいです。

また、小児は大人と比べると臓器の大きさや体の反応も違うことが多いので、今回紹介した論文からもわかるように小児の症例経験数の多い名医がいる病院の方が安心です。

 

参考論文

Survival in pediatric lung transplantation: The effect of center volume and expertise.

Khan MS, Zhang W, Taylor RA, Dean McKenzie E, Mallory GB, Schecter MG, Morales DL, Heinle JS, Adachi I.

 

 

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