甲状腺手術を名医がすると術後合併症が半分に!

甲状腺手術を名医がすると術後合併症が半分に!

甲状腺には、良性や悪性の腫瘍だけでなく、甲状腺の機能が亢進するバセドウ病などの病気が発症することがあります。病気の種類によって内服薬で治療をする場合もあれば、手術の適応になる可能性もあります。今回は名医が甲状腺の手術をすると、術後合併症のリスクが減ることを明らかにした研究を紹介します。

甲状腺手術の適応とは

甲状腺には良性や悪性の腫瘍だけでなく、甲状腺ホルモンが増加または減少する甲状腺機能亢進症や低下症など多くの病気が発症する可能性があります。それぞれの疾患に対して、手術の適応は異なるので以下にまとめます。

甲状腺良性腫瘍に対する手術

基本的に良性なので経過観察が多いですが、悪性の可能性がある場合や腫瘍が大きい、大きくなる傾向がある、形が不整、気管を圧迫しているなどの症例に対しては手術適応になることがあります。良性腫瘍は通常5cm程度に大きくならないと症状が出ないといわれています。

甲状腺良性腫瘍に対しては、腫瘍を含む甲状腺のみを摘出します。大概は片側に存在する腫瘍を含む甲状腺の半分を摘出します。(甲状腺葉切除術)

甲状腺悪性腫瘍に対する手術

悪性腫瘍の場合には、甲状腺の切除に加えてリンパ節の切除も行います。手術する範囲は、転移の程度を考慮して決まります。甲状腺に近い部分のリンパ節から首の血管に沿った部分のリンパ節切除まで行うこともあります。

バセドウ病に対する手術

バセドウ病とは、甲状腺からホルモンが過剰に分泌されて代謝が異常に亢進する病気のことです。動悸、体重減少、眼球突出、下痢などの症状が出ることが多いですが、病状が重いと心不全を起こすこともあります。手術では、甲状腺ホルモン産生組織を切除します。甲状腺を刺激する物質が、手術後に残っている甲状腺を刺激しても過剰な甲状腺ホルモンが出ないようにする目的のために手術を行います。

バセドウ病に対する手術の適応は、抗甲状腺薬では病状のコントロールが難しい、抗甲状腺薬の重い副作用である無顆粒球症や肝障害が出るため内服継続できない、悪性腫瘍の合併、甲状腺に対する抗体の数値が高く将来の出産に不安がある、眼球突出が高度、早期に治したい場合などです。

手術の方法には、甲状腺を2g以上残す亜全摘術、0-2g残す準全摘術、甲状腺を全て取る全摘術の3つの方法があります。手術様式は、術後の経過を考慮して決めます。術後の再発を防ぎたい場合や将来の出産を控えている場合には、全摘術か準全摘術が推奨されます。

 

全ての甲状腺の手術の後に共通して起こる可能性のある合併症としては、出血、感染、嗄声(させい)などがあり、多くはないですが肺炎や腎機能障害のような重い合併症が起きることもあります。

 

年間手術件数の多い名医が甲状腺の手術をすると術後合併症が半分に!

この研究では、アメリカ全土で2003-2009年の間に甲状腺に対して手術をした77,863人の患者を対象にしています。年間の手術件数の多い名医が甲状腺の手術をすると、手術後の合併症の発生率や医療費にどのように影響を与えるか解析しました。

名医の定義付け

手術件数の多い名医は年間30例以上手術をしており、少ない医師は年間1-3例ということがわかりました。年間4-29例の医師は、手術件数が中等量と定義されていました。

年間の甲状腺の手術件数が30件以上である名医は、手術件数が少ない医師に比べて術後の合併症リスクが約半分であることがわかりました(7.7% vs 15.8%)。手術件数が中等量(年間4-29例)の医師における術後合併症の確率は10.9%だったので、30例以上の手術件数の多い名医(7.7%)が最も合併症リスクが低いことが明らかになりました。

名医だと医療費にもインパクトあり

また、医療費に関しては、日本円にすると名医が手術した方が約40万円も安くなることがわかりました。もし中等量または手術件数の多い名医が甲状腺手術を実施すれば、約12%の医療費削減になるそうです。アメリカでは約15万件の甲状腺手術が1年間に行われているので、その経済効果はとても大きいと筆者らは結論付けています。

論文の結論

年間の甲状腺手術の件数が最も多い、30件以上の名医においては、手術件数の最も少ない医師に比べて合併症を起こすリスクが半分以下ともっとも低いことが明らかになりました。

今回の結果から甲状腺に対する手術においても名医が行った方がよいことがわかりました。今回は名医による手術が、合併症だけでなく、医療費削減にも効果があることが明らかになり、名医の存在は患者さんにとっても国にとってもよいといえます。

 

甲状腺手術の名医がいる病院の探し方

クリンタルでも甲状腺機能低下症/亢進症の名医を紹介しています。例えば名医がいる病院として挙げている、伊藤病院のホームページを見ると毎年の甲状腺手術の件数と内訳が報告されています。2015年の診療実績をみると、甲状腺悪性腫瘍手術は1094件、甲状腺良性腫瘍手術は419件、バセドウ病手術は180件と、年間約1700件の手術を行っていることがわかります。

 

手術には多くの医師が関わるので、医師1人あたりの手術件数はわからないことがほとんどですが、病院の手術件数を見れば1年間のおおよその症例数がわかります。症例数の多い病院には名医がいる可能性が高いと考えてよいでしょう。

名医を探す時には、1年間の手術件数を比較してみるのもよいかもしれません。

 

参考論文:Association of Surgeon Volume With Outcomes and Cost Savings Following Thyroidectomy: A National Forecast.

 

 

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