不妊症に関連する手術を経験症例数の多い名医に任せると妊娠率が1.5倍になる?

不妊症に関連する手術を経験症例数の多い名医に任せると妊娠率が1.5倍になる?

不妊症は、カップル10組のうち1組くらいの割合で診断されることがあります。不妊症の原因は女性と男性で半々といわれていますが、原因によっては手術が必要です。今回は不妊症に対する手術と名医との関連についての報告を紹介します。

女性の不妊症の原因で最も多い卵管障害

女性の不妊症の原因は、排卵障害、卵管障害がほとんどですが、それ以外には子宮や子宮頸管の問題があります。この中で、最も多い原因は卵管障害といわれています。

卵管は子宮の両側にある管のことで、卵子が卵巣から排卵される時に通り道となる大事な器官です。イメージとして子宮と卵巣をつなぐパイプのような役割です。しかし、卵管の内腔は最も太いところでも5mmで、細いところは1mm程度しかありません。つまり、卵管はさまざまな原因でつまりやすいといえます。

卵管障害の原因
次に卵管がつまってしまう、つまり閉塞してしまう原因ですが、クラミジア感染や子宮内膜症、虫垂炎などのお腹の手術歴が挙げられます。クラミジア感染は日本で近年増加傾向であり、女性の場合にはほとんど症状が出ないことが多く気付かないうちに卵管にまで炎症がおよび、癒着し閉塞してしまう可能性があります。子宮内膜症の場合には、子宮以外の場所で生理のたびに出血、はく離を繰り返すので、卵管周囲も癒着してしまうことが多いです。

卵管障害による不妊への影響
このように卵管が閉塞してしまうと卵子がうまく子宮へ運ばれないため妊娠率が低くなります。卵管は左右に1本ずつありますが、片側の閉塞でも妊娠率は下がりますが、両側となると卵管閉塞が改善しない限りは自然妊娠でも人工授精でも妊娠できないので体外受精となります。

卵管障害が原因の不妊症かどうかを調べる検査には、クラミジア抗体検査と子宮卵管造影検査があります。子宮卵管造影検査とは、造影剤を子宮から注入して子宮や卵管の構造、卵管閉塞の有無について調べる検査です。

原因不明の不妊症や子宮卵管造影検査で卵管閉塞が確認された場合には、検査と治療目的で腹腔鏡手術を行うことがあります。腹腔鏡手術とは、お腹に小さく切り込みを入れて腹腔鏡とよばれるカメラと手術器具を挿入し、卵管周囲の癒着をはがしていく方法です。原因不明の不妊症の患者さんでも、腹腔鏡検査をしたら癒着が見つかったということは多いといわれています。病院によっては、お腹を開けずに子宮から卵管へカテーテルを入れて風船を膨らませることにより卵管の狭窄や癒着を改善する手術法を行っている所もあります。

卵管障害に対する手術は卵管形成術といわれており、卵管閉塞が原因で不妊症になっていた場合には手術後に自然妊娠または人工授精による妊娠を望むことができます。しかし、手術によっても卵管閉塞が改善されない、または手術後しばらく経過しても妊娠しない場合には体外受精をする必要があります。

 

名医が卵管障害に対する手術をすると妊娠の可能性が高くなる

今回紹介する研究は、カナダの研究チームによって不妊症の原因と考えられる卵管閉塞に対する手術は症例経験数の多い名医がする方がよいかどうかを明らかにする目的で行われました。

研究対象
国民の治療歴が全て載っているデータから、研究チームが研究対象として決めた5年間の間に卵管閉塞に対して手術を行った547人の患者を対象として解析しました。手術に携わった医師は83人で、手術後に患者の経過を診た期間は2-7年でした。ちなみに手術件数が最も多い医師は5年間で59例で、最も少ない医師は1例でした。

研究結果
結果としては68人が妊娠し、そのうち12人は体外受精で妊娠したそうです。
興味深いことに、5年間の手術件数が11件以上の名医は術後の患者の妊娠率が14.1%だったのに対し、10件以下の医師の場合には8.9%と、相対的に低いことがわかりました。

つまり不妊症の原因となる卵管障害に対する手術は、経験症例数の多い名医にしてもらった方が妊娠率が上昇する可能性があるということが明らかになりました。妊娠率で比較すると、約1.5倍程度に増加するということになります。違いは数%とはいえ、どうしても妊娠したいカップルにとって、この数字の差は無視できない数字かと思われます。

不妊症の名医がいる病院の探し方

クリンタルでも不妊症の名医を紹介しています。手術には多くの医師が関わるので、医師1人あたりの手術件数はわからないことがほとんどですが、病院の手術件数を見れば1年間のおおよその症例数がわかります。症例数の多い病院には名医がいる可能性が高いと考えてよいでしょう。

名医を探す時には、1年間の手術件数を比較してみましょう。

不妊症の原因として卵管障害が疑われる場合には、腹腔鏡による卵管形成術だけでなく、体外受精や顕微授精も行える施設の方が安心かもしれません。なぜかというと卵管障害を手術で改善できなかった場合、手術をしてもその後なかなか妊娠しない場合には体外受精や顕微授精が必要になるからです。不妊症の治療は不安になったり、つらい気持ちになることも多いので、信頼できて治療実績が多いだけでなく、検査から手術、治療まで総合的に診てもらえる名医に相談したいものです。

 

今回は卵管閉塞に対する手術に関する論文を紹介しましたが、「名医が不妊症に対して子宮内膜症手術をすると自然妊娠率が上昇!」というコラムでは不妊症の原因となる子宮内膜症に対する手術に関する論文を紹介しているのでもしよければ併せて読んでみてくださいね。

参考論文:Hum Reprod. 1996 Jan;11(1):77-80.
Outcome study using an administrative database: terminal salpingostomy, physician case load and live birth rates.
Dunphy BC, Woodhead S, Platt H, Pattinson HA, Greene C, Camenzind A.

 

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