口腔がんって、口の中にもがんってできるの?

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[投稿日] '17/01/02 [最終更新日] '18/03/18 779views
口腔がんって、口の中にもがんってできるの?

悪性腫瘍、いわゆるがんは、身体のどこにでも発生し得ます。お口の中であっても例外ではありません。しかし、お口のがんはどこで診てもらったらいいのでしょうか。そこで、お口のがん、つまり口腔がんについてまとめてみました。

 

口腔がんってなに?

口腔がんとは、お口に出来た悪性腫瘍のことです。身体全体にできる悪性腫瘍のうち、口腔がんは2〜3%の割合を占めています。年齢では、50〜70歳以降に多く発生していますが、20代でも発生することがあります。お口の中ならどこにでも出来ますが、舌や歯茎に出来る頻度が高いです。

その口腔がんですが、最も大きな特徴が、直接見える、触れることが出来るという点です。一般的には、いつまでたっても治りにくい口内炎の様な症状から始まります。出っ張った形の場合もあれば、くぼんだ形をしていることもあります。特に、しこりを伴っていたり、見た目が汚い感じがするものは注意が必要です。

参考:口腔がん診療ガイドライン 口腔外科学(ISBN-10: 4263405226)

 

口腔がんの治療はどこがするの?

口腔がんは、口腔外科の診療対象となる領域の病気です。たいていは治りにくい口内炎が出来たとの訴えで、かかりつけの歯科医院などを受診し、そこから口腔外科に紹介となる場合が多いです。中には耳鼻咽喉科を受診することもありますが、口腔がんであれば、口腔外科が主に担当になります。

 

口腔外科で診る口腔がんの種類

口腔がんと一言で言っても、出来る場所によっていろいろな種類のものにわけることができます。

一番多いのが、舌にできる”舌がん”で口腔がん全体の半分弱がこれにあたります。なお、舌がんは、舌の中央部ではなく、舌の縁に出来ることが大半です。次いで多いのが、歯茎に出来る”歯肉がん”です。歯肉がんは、下顎にできたなら下顎歯肉がん、上顎に出来たなら上顎歯肉がんとよばれます。そのほか、舌の裏にできる”口腔底がん”、頬に出来る”頬粘膜がん”、上顎にできる”口蓋がん”などがあります。これらは、お口の粘膜から発生する扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)というタイプになります。また、唾液を作り出す唾液腺にできる”唾液腺がん”という悪性腫瘍もありますが、これは腺がんというタイプの悪性腫瘍になります。

参考:口腔がん診療ガイドライン 口腔外科学(ISBN-10: 4263405226)
口腔外科相談室 日本口腔外科学会 https://www.jsoms.or.jp/public/

 

どんな場合に口腔外科で口腔がんの検査をしてもらうの?

以下の様な症状を感じたら、口腔がんの恐れもありますので口腔外科を一度受診してみてください。

  1. 口内炎が数週間続く、潰瘍が深い
  2. 口内炎にしこりがある
  3. お口の中に白い、もしくは赤い部分がある
  4. 上記に加え、首にしこりが出来ている

 

口腔がんのリスク要因

口腔がんの発生に関連する要因はたくさんあります。そのなかで代表的なものがタバコです。その影響の大きさは、口腔がんの死亡率に現れており、喫煙者の口腔がんによる死亡率は、非喫煙者のそれの約4倍といわれています。そのほか、過度な飲酒、歯みがき不足からくるお口の中の衛生状態の悪化、合い具合の悪い入れ歯や、ウィルスの影響などが口腔がんのリスク要因として考えられています。

参考:口腔外科学(ISBN-10: 4263405226)
https://www.jsoms.or.jp/public/soudan/selfcheck/

 

口腔がんの症状

口腔がんの症状は、場所によって異なります。

舌がん

舌がんになった場合の初期症状は、小さな口内炎であることが多いです。しこりや痛みを伴わないこともあります。しかし、時間の経過とともに、どんどん大きくなってきたり、しこりや痛みが生じてきたりします。そして、出血しやすくなったり、臭いを発する様になります。

歯肉がん

歯肉がんの初期症状は、歯周病の悪化と似ています。しかし、歯周病の場合は、抗菌剤で改善を図ることが出来ますが、歯肉がんの場合はそうでないところが、大きく異なります。歯肉がんも、舌がんと同様に出血しやすい、臭いを発してくるという症状はありますが、歯肉がもともと硬いので、舌がんの場合の様にしこりを伴っても、わかりにくいこともあります。また、歯肉がんが進行して顎の骨まで進展してくると、骨が溶けて歯がぐらついてきます。

口腔底がん

口腔底がんの場合は、舌の裏や下の前歯の裏側に、白く、もしくは赤くなった部分が生じてくるのが、初期の症状となります。成長に伴って、潰瘍ができ、しこりが生じてくる様になります。当初は痛くないこともありますが、潰瘍や口内炎が出来てくると痛みを感じる様になります。

頬粘膜がん

頬に生じる悪性腫瘍が、頬粘膜がんとよばれるものです。他の口腔がんと同様、初期は粘膜が赤くなったり白くなったりすることから始まります。次第に、潰瘍やしこりが出来てくるのですが、頬にできることで、大きくなってくるとお口を開けたり閉めたりするのが、難しくなってくる特徴があります。

口唇がん

口唇がんは、唇に出来るがんです。上唇、下唇のどちらにも生じます。口唇がんは、唇に出来る腫れや潰瘍が主な症状ですが、やはりしこりが生じてきます。唇は見えやすい場所なので、早期発見しやすいです。

口蓋がん

口蓋とは口の中の天井の部分のことです。特に歯がない部分のことを言います。口蓋にも悪性腫瘍ができることがあります。歯肉がんと同様、硬い粘膜に覆われていますので、初期の場合はしこりができてもわかりにくいです。がんの拡大に伴い腫れてきます。そして、潰瘍が出来、この頃になるとしこりも明瞭になってきます。

口腔外科での口腔がんの診断手順について

口腔がんが疑われる場合、口腔外科では画像検査と細胞の検査を行ないます。

画像検査は、パノラマX線写真とよばれる歯科でよく撮影する通常のレントゲン写真とCTやMRIを撮影し、病変部とその周囲および、リンパの状態などを確認します。

細胞の検査については、口腔がんが疑われるところの表面を綿棒でこすって細胞を採取する細胞診という方法と、メスで一部を切り取って行なう組織生検という方法の2種類があります。前者の方が簡便に行なえますが、確実性では後者に劣ります。細胞を検査することで、口腔がんかどうかだけでなく、がんであった場合に、どのタイプのがんかがわかります。この検査の結果は、その後の治療方針の決定にとても影響してきますので、診断には欠かすことができません。

 

口腔外科での口腔がんの治療について

口腔外科では、口腔がんの治療も行ないますが、その治療を主に行なっているのは、大学病院やがんセンターの口腔外科です。口腔がんの治療は、

  1. 外科手術
  2. 化学療法
  3. 放射線治療

の3つが基本柱になっています。

口腔がんの外科手術

外科手術とは、腫瘍切除術とリンパ節の切除術になります。その範囲は、口腔がんの大きさによって変わってきます。口腔がんが大きくなった場合に、腫瘍切除術を行なうと手術後の生活に支障が出ることがあります。”生活に支障”とは、顔貌の変化だけでなく、食べにくくなったり、話しにくくなったりすることなどを意味しています。こうした影響を少しでも緩和するために、手術の時に同時に、再建手術とよばれる、身体の他の部分から筋肉や骨を採取して移植する手術を行ないます。再建手術は、口腔外科単独ではなく、形成外科などほかの診療科と合同で実施します。

口腔がんの化学療法

化学療法は、いわゆる抗がん剤の治療のことです。どの抗がん剤を使うかは、やはり腫瘍の状態をみて考えることになります。手術後に行なう化学療法と、手術前に行なう化学療法があります。手術前に行なうのは、手術前に少しでも口腔がんを減らし、手術後の治療成績を向上させるのが目的です。

口腔がんの放射線治療

放射線治療は、がん細胞が正常な細胞よりも放射線により障害されやすいという性質をりようして、がん細胞を死滅させたり、あるいは増殖出来ない程度にまで制御するのが目的で行なわれます。放射線治療での照射範囲や、照射量については、口腔がんの状態によって検討した上で、決定されます。放射線治療は、口腔外科単独で行われるものではなく、放射線科と合同して実施されます。

 

まとめ

お口の中にも悪性腫瘍が発生することがあります。お口に出来た悪性腫瘍を口腔がんといいますが、その割合は全ての悪性腫瘍のうち3%程度を占めています。口腔がんは50代以上に多く認められますが、若い年齢層でも発生することがあります。

口腔がんは、お口に出来た悪性腫瘍の総称でして、出来た場所によって”舌がん””歯肉がん””口腔底がん””口蓋がん”などに分けられます。その内訳は舌がんが最も多く、次いで歯肉がんとなります。

口腔がんの症状は、治りにくい口内炎というのが代表的です。2週間以上治らないような口内炎やしこりを伴う口内炎は、がんを疑ってみる方が良いでしょう。そして、口腔がんを疑うポイントもまとめておりますので、参考にしてください。もし、このような症状があるのなら、口腔外科を受診して、一度診察を受ける方が良いと考えられます。

口腔がんの治療成績は近年向上しておりますが、早期発見・早期治療が肝心となっています。不安なことがあれば、早めの受診をお勧めします。

参考:口腔がん診療ガイドライン 口腔外科学(ISBN-10: 4263405226)
口腔外科相談室 日本口腔外科学会 https://www.jsoms.or.jp/public/

 

 

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