少しぐらい血圧が低いのはそんなに問題じゃない、と放置していませんか?

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[投稿日] '16/12/24 [最終更新日] '18/01/19 715views
少しぐらい血圧が低いのはそんなに問題じゃない、と放置していませんか?

「朝なかなか起きられない」「急に立ち上がったときにクラクラする」「めまいがする」これらの症状が見られる場合、血圧が低いこと(血圧が一時的に低くなること)が原因となっている可能性があります。

血圧が高い場合、あなたは「すぐに治療を開始しなければ」と焦るかもしれません。しかし、血圧が低い場合は、あまり気にせずに放置している方も多いのではないでしょうか。しかし急激な血圧の低下は意識を失う恐れもあり、命の危険を伴う可能性もゼロではありません。何かしらの原因があって血圧が低い状態が続くのであれば、その原因によっては早急に治療を始めなければなりません。

それでは、血圧が低いとは体がどのような状態にあり、どのような病気が隠れている可能性があり、どのように治療をすすめていけばいいのかなどについて説明していきます。

 

血圧が低いと判断するのは一体何を測っているのか

血圧とは、血液が流れるときに、血液が血管の壁を押す圧力のことです。血圧は、心臓から送り出される血液量と血管の抵抗によってほぼ決まります。

血圧を測ったことのある方はご存知かもしれませんが、血圧は「収縮期血圧(上の血圧、最高血圧ともいいます)」と「拡張期血圧(下の血圧、最低血圧ともいいます)」の両方を測定します。最高血圧は心臓が収縮するとき、最低血圧は心臓が拡張するときの血圧です。この収縮期血圧、拡張期血圧共にそれぞれ高血圧・低血圧の基準が設けられており、基準値から外れると「高血圧」あるいは「低血圧」と診断されます。

 

血圧が低いとされる基準値(低血圧の基準値)について

低血圧の基準値は、高血圧の基準値と同様WHO(世界保健機関)によって定められた値を日本も採用しています。

  • 低血圧基準値:収縮期血圧100mmHg以下、拡張期血圧60mmHg以下

この「mmHg」という単位ですが、血圧の圧力によって持ち上げられる水銀の高さを「mmHg」として血圧の単位に用いています。

なお、高血圧の基準値は、収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg以上です。

 

血圧が低い場合の分類・原因・症状

血圧が低い状態は大きく3つに分類することができます。何か原因疾患があるわけではないのに慢性的に血圧が低い「本態性(一次性)低血圧」と、何か原因があって血圧が低くなっている「症候性(二次性)低血圧」、そして急に立ち上がったときなど体位を変換した時のみに生じる「起立性低血圧」です。これら3つの低血圧の症状・原因などについて見ていきましょう。

本態性(一次性)低血圧

分かりやすく説明すると本態性低血圧は、原因となる病気が不明で「体質的に血圧が低い状態が続いている」状態ということです。よく見られる症状として、蒼白い顔色、無気力、疲れやすい、冷え性、朝起きられない、立ちくらみなどです。

症候性(二次性)低血圧

症候性低血圧とは、心臓疾患やホルモンの異常など何か体に原因があって血圧が低くなっている状態をさします。症候性低血圧症には急性のものと慢性のものがあります。急性の場合の症状としては、ショック症状(眠気、錯乱、呼吸・脈拍低下など)、意識障害、四肢のしびれなどが挙げられます。慢性の場合は、めまいや倦怠感など本態性低血圧と似た症状が見られます。

急性の場合、原因疾患として、心筋梗塞や狭心症、ケガによる大出血などが考えられます。慢性の場合は、甲状腺機能低下症(ホルモンの異常)、また薬による副作用(高血圧の薬やうつ病の薬)などの可能性があります。

起立性低血圧

起立性低血圧は心臓から送り出された血液が、重力によって心臓に戻りにくい状態に一時的になるため生じます。起立性低血圧がおきる原因としては、自律神経や心臓、内分泌の異常や、あとは高齢者でもよくみられます。

 

血圧が低いことがわかったら何科に行くべきか

低血圧と診断されたらまずは、その低血圧が本態性低血圧なのか、症候性低血圧症なのか、起立性低血圧なのか、また急性なのか慢性なのかを医師に見分けてもらう必要があります。それには精密検査が必要なこともあるので、まずは専門の循環器内科で診てもらうことをお勧めします。

 

血圧が低い場合の治療法

それでは、治療法について見ていきましょう。

本態性低血圧の場合は、症状が強く生活に支障をきたしたり本人が悩んだりしていない場合は特に治療を行いません。めまいや立ちくらみなどの症状が強い場合には、必要に応じて、薬を服用します。血圧を上げるために心臓からの血液量を増やす薬や、血管を収縮させて血圧を上げる薬です。その他、血圧が低いことで生じる全身倦怠やめまい、頭痛などの症状を改善するため抗不安薬を用います。

症候性低血圧症の場合は、まず原因疾患を特定することが第一です。基本的に原因疾患の改善とともに低血圧は解消されていきます。出血が原因であれば、止血・輸血、甲状腺の病気であれば、甲状腺の治療を行います。

起立性低血圧の場合もまずは、原因の特定が最優先です。原因が特定されたらその治療を、原因が見つからない場合は日常生活の改善から始めます。自律神経の機能障害による場合は、自律神経訓練法などのリラグゼーション法で改善をはかります。日常生活の改善では、水分をきちんと摂取すること、急に立ち上がらないようにすることなどから、下半身に血液が流れ過ぎないようにする医療用ストッキングの着用したりして様子を見ます。

 

血圧が低いといわれたら何か自分で気をつけられることはある?

何か原因疾患がある場合を除き、血圧は日常生活の注意である程度改善することができます。

・規則正しい生活を送る

疲れをためずに十分な睡眠をとるようにしましょう。自律神経を整えることで、強いストレスなどによる急な血圧低下を減らすことができます。

・運動をする

本態性低血圧の場合は筋肉を鍛えることで改善が期待できます。筋肉がポンプの役割をはたし、血液を心臓に戻すことができるからです。水中ウォーキング、エアロビクスなど体に負担をかけない範囲で適度な運動を取り入れてみてください。

・水分を多めに摂取する

水分を多く摂取することで体内を循環する血液量を増やすことができます。また、水分がドロドロの血液を薄めてサラサラな血液にして血液の流れを良くする効果も期待できます。しかし過度な水分摂取は膀胱や胃などに負担をかけ、むくみの原因にもつながるので気をつけましょう。

・動作はゆっくり行う

特に起立性低血圧の人は、めまいや立ちくらみを予防するために睡眠時は頭部をやや高めにして寝るようにしましょう。そして起きるときは足を動かし血液の循環を良くしてからゆっくり起きるようにしてください。

・温度差に気をつける

血圧は温度差によって変化します。特にお風呂は注意が必要です。入浴時の転倒や意識低下は急激な血圧の変化によってもたらされます。血圧が低い方は熱いお湯に浸かることは控えましょう。熱いお湯に浸かることで血管が広がりさらに血圧が低下してしまうからです。

 

さいごに

高血圧に比べると低血圧は軽く見られ放置されがちです。しかし、低血圧の種類によっては重大な疾患が隠れている可能性があります。血圧が低いことがわかったら、きちんと原因を見つけ出してもらうためにも、専門の病院で検査してもらいましょう。原因が特になく、血圧が低い状態が続いている場合は生活習慣の見直しをしてみましょう。

 

参考:愛知県薬剤師会HP(https://www.apha.jp/medicine_room/entry-3518.html)
日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン(http://www.jpnsh.jp/data/jsh2014/jsh2014_gen.pdf)

 

 

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