健康診断で高いと言われたHbA1cを下げるためのポイント

tag / / / / / /
健康診断で高いと言われたHbA1cを下げるためのポイント

「HbA1c が高い」という血液検査の結果がでた場合、あなたは値を下げるために何をすべきでしょうか。

HbA1cは直前の食事の影響は受けないので「前日に炭水化物を食べ過ぎたせいだ」などと勝手に解釈してはいけません。さらにHbA1cは下げることができずそのままになってしまうと病気が進行してしまい、命の危険を及ぼすこともあります。

ではこれから、HbA1cとは何か、下げるためには何をすればよいのかということについて詳しく説明していきます。

 

HbA1cとは何か

HbA1cを下げる方法についてお話する前に、そもそもHbA1cとは何か、ということからご説明していきます。

まず、この検査値は何と読むのかご存知ですか?

正解は、

ヘモグロビン エーワンシー

です。

ヘモグロビンは血液中の赤血球の1つで、「ヘム」という鉄を含んだ色素と「グロビン」というタンパク質が結合してヘモグロビンを形成します。このヘモグロビンは全身に酸素を運搬する役割を果たしています。全身をめぐる過程でヘモグロビンは血中に存在するブドウ糖と少しずつ結びつきます。これがHbA1cです。

ヘモグロビンの寿命は約4ヶ月といわれています。HbA1c の半数は過去1ヶ月間に作られ、残り1/4が過去2ヶ月に、残り1/4が3~4ヶ月で作られるといわれています。よって、HbA1cは過去1~2ヶ月の血中の糖の状態を反映することになります。つまり、HbA1cは血糖値とは違って直前の食事の影響を全く受けません。健康診断の直前に急に規則正しい生活を行っても、血糖値はなんとか下げることができるかもしれませんが、HbA1cはすぐに下げるということができmせん。正直に過去1~2ヶ月の血糖状態を反映するわけです。

糖尿病の診断基準として推奨されているのには、こういった理由があります。

 

HbA1cはどの程度の値まで下げる必要があるのか

2013年4月以降、日本ではHbA1cの基準値をNGSP値という国際標準に基づいて設定しています。日本人間ドック学会が公表しているHbA1cの基準値は以下の通りです。

  • 基準範囲:HbA1c 5.5%以下
  • 要注意:HbA1c 5.6-6.4%
  • 異常:HbA1c 6.5%以上

さらに、日本糖尿病学会が発表している「糖尿病治療ガイド2016-2017」では糖尿病患者に向けた血糖コントロール目標が設定されています。

  • 血糖正常化を目指す際の目標:HbA1c 6.0%未満
  • 合併症予防のための目標:HbA1c 7.0%未満
  • 治療強化が困難な際の目標:HbA1c 8.0%未満

参考:http://www.fa.kyorin.co.jp/jds/uploads/image/jds_guide_2016-2017_01.jpg

つまり、この双方の基準から考えると「5.5%以下」というのがHbA1cを下げるときの目標値として適当といえます。

 

HbA1cを下げるためのポイント1:「HbA1cが高い=糖尿病の薬」ではない

初めに述べた通り、「HbA1cが高い=必ず糖尿病」ということではありません。HbA1cが高い場合、もちろん糖尿病の可能性も十分ありますが、HbA1cが高い場合だけでなく低い場合にもそれぞれ病気の可能性があります。ですので、HbA1cを下げるためには血糖値を下げる薬だ!と安易に考えてはいけません。

HbA1cが高い場合に疑われる病気

・糖尿病

HbA1cの値だけではなく、血糖値、糖尿病の症状があるかどうか、糖尿病性網膜症などの合併症がみられるかどうかなどの総合的な観点から糖尿病と診断します。

・腎不全

腎不全(腎臓のろ過機能が働いていない)により血中の尿素窒素が上昇するとHbA1cも高値を示すことがわかっています。この場合、HbA1cが高い状態であっても血糖値が高くなりません。血糖値は正常値なのにHbA1cだけ高い場合は、腎不全の可能性も疑いましょう。

・異常ヘモグロビン血症

HbA1cはヘモグロビンに糖が結合したものを測っているので、ヘモグロビンそのものに異常が見られる場合にもHbA1cは高い値を示してしまいます。糖尿病も腎不全もない場合は、異常ヘモグロビン血症(ヘモグロビンが異常な形を形成し、血液にさまざまな影響を及ぼす病気)の可能性があります。

・鉄欠乏性貧血

HbA1cは赤血球の寿命によって蓄積量が変動するので、HbA1cの値も影響を受けます。鉄欠乏性貧血の場合、体内の赤血球が足りなくなるので補おうと赤血球の寿命は長くなります。その分HbA1cの寿命も延びるのでHbA1cは高値を示します。

HbA1cが低い場合に疑われる病気

・溶血性貧血

溶血性貧血では赤血球を攻撃する自己抗体がつくられてしまうため、赤血球が壊されてしまい、結果赤血球の寿命は短くなります。ヘモグロビンの絶対量が減るため、溶血性貧血など赤血球の寿命を短くする貧血ではHbA1cが低値を示すことがわかっています。

・インスリノーマ(膵島線種)

インスリノーマはすい臓に異常があり血糖値が低下してもインスリン(血糖値を下げるホルモン)が分泌され続けてしまう病気です。低血糖が持続している状態ですのでHbA1cは低値を示します。

・肝硬変

肝硬変では赤血球を製造する脾臓の機能が亢進してしまうため、赤血球の寿命が短縮し、HbA1cの蓄積量は減ってHbA1cは低い値となります。

 

このように、糖尿病以外に腎疾患、貧血などの可能性もあるのです。HbA1cが高いからといって、糖尿病と決めつけて血糖値を下げる薬をいくら使用しても、糖尿病でない場合は意味ないどころか逆に危険です。まずは糖尿病以外の病気も視野に入れて専門の病院で調べてもらう必要があります。

 

HbA1c 高い

 

 

HbA1cを下げるためのポイント2:値によって正しい対応をする

HbA1cを下げることができないと最終的には命に危険が及ぶ可能性があります。一体どのようになってしまうのか、下げるためにはどうすればよいのかということについて、HbA1cが高い原因が「糖尿病」である場合に絞って説明していきましょう。

糖尿病は進行性の病気です。一度発症すると現段階の医療では、完治することはできないといわれています。しかしさまざまな治療薬の開発によって糖尿病の進行を抑えることは可能になってきました。もちろん薬だけに頼らず食生活も改善することでHbA1cを下げる努力を日々続けることが大切です。

HbA1cの値によって状況も変わりますので、それぞれ整理していきましょう。

HbA1cが6.0%未満のとき

HbA1cが6.0%未満であっても、5.4%以上の方は糖尿病を発症する可能性が十分にあります。この範囲にいる方は、ぜひ値が上がっていかないうちにHbA1cを下げていくようにしましょう。

この場合、専門の病院で「ブドウ糖負荷試験」という試験を行って境界型糖尿病(糖尿病予備軍)かどうかを確認してもらうことをおすすめします。ブドウ糖負荷試験とは、75gのブドウ糖溶液を飲んで、その後血液検査を行って血糖値の変動を測定し、血糖値レベルを「正常型・境界型・糖尿病型」の3つに分ける試験です。境界型であることが判明したら、数年以内に糖尿病を発症する確率が高いことがわかっています。

また、境界型なら食事療法を開始し、HbA1cを下げることが望ましいです。そのためには、管理栄養士による指導を受けるなどをおすすめします。さらに最低でも年に1回はHbA1cの値が上がってしまっていないか、きちんと下がる傾向にあるか、を確認しましょう。

HbA1cが6.0%〜6.9%のとき

HbA1cが6.0~6.9%の方は、下げるための治療を何もせずにいると、数年でHbA1cが7%以上に進行してしまう可能性があります。

HbA1cが7%以上というのは、糖尿病の合併症予防のための目標値ですので、この値に近づいてしまっている場合には、値を下げることが重要です。値を下げることができないと、神経障害、腎症、網膜症を併発する危険性が高まります。

6%を超えている場合、要注意のゾーンに入っています。ですので、糖尿病内科で薬を中心とした治療を受けつつ、日頃の食生活にもより一層注意をしましょう

HbA1cが8.0%以上のとき

HbA1cが8%以上になってしまうと、5年から10年かけて糖尿病の合併症が進みます。

両足のしびれから始まり、悪化すれば足が壊死して下肢切断も余儀なくされる神経障害、視力低下で最悪の場合失明に至る網膜症、そして人工透析が必要な腎症を患う可能性がでてきます。人工透析が必要になった段階で透析を受けないでいると約2週間程度で死亡してしまうとされています。また、人工透析が始まると予後はあまり良くありません。10年以内に亡くなってしまう方も多数存在します。

これら命の危険を及ぼす合併症を防ぐためにも、糖尿病専門医に診てもらいつつ、きちんと継続的に治療を受け、値を下げることが重要です。

HbA1cを下げるためのポイントとしては、きちんと厳格に治療を続ける、というところになります。

8.0%以上の時には、値がそれ以下である場合よりも、より厳格に治療を進める必要があるというのは当然のことながら、なかなか徹底することができない患者さんもいます。薬を処方されていれば食生活が多少乱れてもそのうち治っていくのではないか、というふうに考える方が多いようです。これは大きな間違いで、糖尿病に関しては代表的な生活習慣病の1つに分類されるように、まさに生活習慣を反映した疾患であり、生活習慣が根本原因になっています。いくら薬を飲んでいても、根本原因である生活習慣を改善しなければ、長期的な症状の安定は実現困難です。

 

まとめ

HbA1cが高いという結果が出た時に、すぐに値を下げる必要がある!と考えてしまいがちですが、まずは身体の状態を正確に知るために、専門の病院で再検査をしてもらいましょう。

HbA1cが高い場合、まず一般的に思い浮かぶのは糖尿病ですが、糖尿病だけではなく腎疾患、貧血、肝硬変などの他の疾患の可能性も視野に入れて受診することが大事です。糖尿病かどうかを調べて「糖尿病ではなかった」とほっとするのではなく、HbA1cが高い理由、低くならない理由、どの程度下げる必要があるのか、ということをきちんと解明し、必要な治療を受けましょう。値を下げることができ、毎年の健康診断で値が上がってこないかということが確認できるまで安心してはいけません。

もし、糖尿病と診断された場合には、食事療法、薬物療法を中心とした治療を1日でも早く始め、HbA1cを下げることが必要です。境界型糖尿病(糖尿病予備群)であっても油断は禁物です。糖尿病は少しずつ進行していく病気です。また1度発症すると完治はできないといわれています。しかし、治療によって進行を遅らせて合併症の併発を抑えることができれば、命の危険に常に怯える心配はありません。

 

 

名医検索サイトクリンタル
名医検索サイトクリンタルでは日本全国の約30万人の医師から厳選された名医だけを掲載しております。手術数や外来の待ち時間など、受診する名医を決めるために必要な詳細情報を掲載しておりますので、受診先を検討される際の参考にしてください。

「どの名医に治療をお願いすればよいのかわからない!」とお悩みの方には、クリンタルの名医紹介サービスをお勧めしています。クリンタルが独自に厳選した「3,500人の有数の専門医」「35,000人の街の名医」の中から、あなたの病気/症状やご希望を考慮して、クリンタルの医師が最適な名医をご紹介します

クリンタルの名医紹介サービス