HbA1cが高いって健康診断ででたら、糖尿病以外の可能性もあることをご存知ですか?

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HbA1cが高いって健康診断ででたら、糖尿病以外の可能性もあることをご存知ですか?

「HbA1c が高い」という血液検査の結果がでた場合、あなたは一番に何を考えますか。

「ついに糖尿病になってしまった」「前日に甘いものをたくさん食べてしまったからかな・・・」

もしこのような考えを持ったなら、実は全て間違いです。「HbA1c 高い=糖尿病」ではありません。他の疾患の可能性も疑わなければなりません。また、HbA1cは直前の食事の影響は受けないので「前日に炭水化物を食べ過ぎたせいだ」などと勝手に解釈してはいけません。さらにHbA1cは高いまま放置しておくと病気が進行してしまい、命の危険を及ぼします。

ではこれから、「HbA1cが 高い」という状態についてどのように解釈すべきかを詳しく説明していきます。

 

HbA1cとは何か

まずHbA1c(ヘモグロビン エーワンシ―)とは何かについてです。ヘモグロビンは血液中の赤血球の1つで、「ヘム」という鉄を含んだ色素と「グロビン」というタンパク質が結合してヘモグロビンを形成します。ヘモグロビンは全身に酸素を運搬する役割を果たしています。全身をめぐる過程でヘモグロビンは血中に存在するブドウ糖と少しずつ結びつきます。これがHbA1cです。ヘモグロビンの寿命は約4ヶ月といわれています。HbA1c の半数は過去1ヶ月間に作られ、残り1/4が過去2ヶ月に、残り1/4が3~4ヶ月で作られるといわれています。よって、HbA1cは過去1~2ヶ月の血中の糖の状態を反映することになります。つまり、HbA1cは血糖値とは違って直前の食事の影響を全く受けません。健康診断の直前に急に規則正しい生活を行っても、血糖値は正常値の範囲に収まるかもしれませんが、HbA1cは正直に過去1~2ヶ月の血糖状態を反映します。

よって、HbA1cは糖尿病の診断基準として推奨されている診断基準なのです。

 

「HbA1cが高い=必ず糖尿病」ではない

とはいえ、初めに述べた通り、「HbA1cが高い=必ず糖尿病」ということではありません。HbA1cが高い場合、もちろん糖尿病の可能性も十分ありますが、HbA1cが高い場合だけでなく低い場合にもそれぞれ病気の可能性があります。

HbA1cが高い場合に疑われる病気

・糖尿病

HbA1cの値だけではなく、血糖値、糖尿病の症状があるかどうか、糖尿病性網膜症などの合併症がみられるかどうかなどの総合的な観点から糖尿病と診断します。

・腎不全

腎不全(腎臓のろ過機能が働いていない)により血中の尿素窒素が上昇するとHbA1cも高値を示すことがわかっています。この場合、HbA1cが高い状態であっても血糖値が高くなりません。血糖値は正常値なのにHbA1cだけ高い場合は、腎不全の可能性も疑いましょう。

・異常ヘモグロビン血症

HbA1cはヘモグロビンに糖が結合したものを測っているので、ヘモグロビンそのものに異常が見られる場合にもHbA1cは高い値を示してしまいます。糖尿病も腎不全もない場合は、異常ヘモグロビン血症(ヘモグロビンが異常な形を形成し、血液にさまざまな影響を及ぼす病気)の可能性があります。

・鉄欠乏性貧血

HbA1cは赤血球の寿命によって蓄積量が変動するので、HbA1cの値も影響を受けます。鉄欠乏性貧血の場合、体内の赤血球が足りなくなるので補おうと赤血球の寿命は長くなります。その分HbA1cの寿命も延びるのでHbA1cは高値を示します。

HbA1cが低い場合に疑われる病気

・溶血性貧血

溶血性貧血では赤血球を攻撃する自己抗体がつくられてしまうため、赤血球が壊されてしまい、結果赤血球の寿命は短くなります。ヘモグロビンの絶対量が減るため、溶血性貧血など赤血球の寿命を短くする貧血ではHbA1cが低値を示すことがわかっています。

・インスリノーマ(膵島線種)

インスリノーマはすい臓に異常があり血糖値が低下してもインスリン(血糖値を下げるホルモン)が分泌され続けてしまう病気です。低血糖が持続している状態ですのでHbA1cは低値を示します。

・肝硬変

肝硬変では赤血球を製造する脾臓の機能が亢進してしまうため、赤血球の寿命が短縮し、HbA1cの蓄積量は減ってHbA1cは低い値となります。

 

このように、糖尿病以外に腎疾患、貧血などの可能性もあるのです。HbA1cが高いからといって、糖尿病と決めつけて血糖値を下げる薬をいくら使用しても、糖尿病でない場合は意味ないどころか逆に危険です。まずは糖尿病以外の病気も視野に入れて専門の病院で調べてもらう必要があります。

HbA1c 高い

 

HbA1cはどの程度の値で高いのか

2013年4月以降、日本ではHbA1cの基準値をNGSP値という国際標準に基づいて設定しています。日本人間ドック学会が公表しているHbA1cの基準値は以下の通りです。

  • 基準範囲:HbA1c 5.5%以下
  • 要注意:HbA1c 5.6-6.4%
  • 異常:HbA1c 6.5%以上

 

さらに、日本糖尿病学会が発表している「糖尿病治療ガイド2016-2017」では糖尿病患者に向けた血糖コントロール目標が設定されています。

  • 血糖正常化を目指す際の目標:HbA1c 6.0%未満
  • 合併症予防のための目標:HbA1c 7.0%未満
  • 治療強化が困難な際の目標:HbA1c 8.0%未満

http://www.fa.kyorin.co.jp/jds/uploads/image/jds_guide_2016-2017_01.jpg

 

HbA1cが高いまま放置しておくとどうなるのか

HbA1cが高いまま放置しておくと命に危険が及びます。一体どのようになってしまうのかHbA1cが高い原因が糖尿病である場合に絞って説明していきましょう。

糖尿病は進行性の病気です。一度発症すると現段階の医療では、完治することはできないといわれています。しかしさまざまな治療薬の開発によって進行を抑えることは可能になってきました。もちろん薬だけに頼らず食生活も改善することが大切です。

HbA1cが6.0%未満でも、5.4%以上の方は糖尿病を発症する可能性が十分にあります。この場合、専門の病院で「ブドウ糖負荷試験」という試験を行って境界型糖尿病(糖尿病予備軍)かどうかを確認してもらうことをおすすめします。ブドウ糖負荷試験とは、75gのブドウ糖溶液を飲んで、その後血液検査を行って血糖値の変動を測定し、血糖値レベルを「正常型・境界型・糖尿病型」の3つに分ける試験です。境界型であることが判明したら、数年以内に糖尿病を発症する確率が高いことがわかっています。また、境界型なら食事療法を開始しましょう。管理栄養士による指導を受けることをおすすめします。さらに最低年に1回はHbA1cの値が変動していないかどうか確認しましょう。

HbA1cが6.0~6.9%の方は、何も治療をせずに放置していると数年でHbA1c7%あるいは8%以上に進行してしまう可能性があります。HbA1cが7%以上になると糖尿病の合併症である神経障害、腎症、網膜症を併発する危険性が高まります。

HbA1cが8%以上になると、5年から10年かけて糖尿病の合併症が進みます。両足のしびれから始まり、悪化すれば足が壊死して下肢切断も余儀なくされる神経障害、視力低下で最悪の場合失明に至る網膜症、そして人工透析が必要な腎症を患う可能性がでてきます。人工透析が必要になった段階で透析を受けないでいると約2週間程度で死亡してしまうとされています。人工透析が始まると予後はあまり良くありません。10年以内に亡くなってしまう方も多数存在します。

これら命の危険を及ぼす合併症を防ぐためにも、糖尿病は早期から治療を始める必要があるのです。

 

まとめ

「HbA1c 高い」という血液検査の結果がでた場合はまず専門の病院で再検査をしてもらいましょう。

HbA1cが高い場合、まず一般的に思い浮かぶのは糖尿病ですが、糖尿病だけではなく腎疾患、貧血、肝硬変などの他の疾患の可能性も視野に入れて受診することが大事です。糖尿病かどうかを調べて「糖尿病ではなかった」とほっとするのではなく、HbA1cが高い理由、低くならない理由をきちんと解明し、必要な治療を受けましょう。

もし、糖尿病と診断された場合には、食事療法、薬物療法を中心とした治療を1日でも早く始めなければなりません。境界型糖尿病であっても油断は禁物です。糖尿病は少しずつ進行していく病気です。また1度発症すると完治はできないといわれています。しかし、治療によって進行を遅らせて合併症の併発を抑えることができれば、命の危険に怯える心配はありません。

 

 

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