押さえてとまらない鼻血はない!でも稀に病気が潜んでいることがあるので注意!

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[投稿日] '16/11/13 [最終更新日] '18/03/18 360views
押さえてとまらない鼻血はない!でも稀に病気が潜んでいることがあるので注意!

鼻血は誰もが経験したことのある身近な症状ですが、たかが鼻血でも、大きな病気のサインかもしれません。血が止まらない病気としては白血病が有名ですが、それ以外の血液の病気や、肝臓の病気が関わっていることもあります。今回は、鼻血が出る仕組みと考えられる病気、受診の目安や対処法についてご紹介していきます。思い当たる症状がないか、周囲にこんな症状の方はいないか、いざという時のためにぜひ知っておいてください。

 

そもそも鼻血はなぜ出るのか

鼻血のほとんどはキーゼルバッハ部位というところから出ます。キーゼルバッハ部位とは、鼻中隔(左右の鼻を隔てている壁)にある血管が豊富な場所で、軽い衝撃でも簡単に出血してしまいます。鼻の中は通常粘膜で覆われていますが、鼻をかみすぎた場合や乾燥している場合には、出血しやすくなります。また、血圧が高い場合は血管が破れやすくなって鼻血が出ることがあります。

キーゼルバッハ部位の血管1本1本は細いため、出血しやすい代わりに止血もしやすいことが特徴です。大量の鼻血が出る場合、そしてなかなか止まらないような場合は、なにか原因となっている病気が隠れているかもしれません。

 

鼻血がとまらない原因としてはどういう病気が考えられるか

鼻周辺の病気

上顎洞がん

おでこや頬など、鼻の周りには鼻の中の空間とつながっている空洞があり、これを副鼻腔といいます。副鼻腔のうち、頬のあたりにあるものが上顎洞です。上顎洞がんの症状としては、片方の鼻が詰まる、鼻血が出て止まらない、臭い鼻水が出るという鼻の症状の他、物が二重に見える、歯茎が腫れるなど、上顎洞の上の方であれば目、上顎洞の下の方であれば口の症状が出ることもあります。がんは細胞が異常に増殖したもので、その分血管も豊富です。弱い刺激でも出血しやすく、一度出血するとなかなか止まらないことが特徴です。

上咽頭がん

鼻の奥からのどまでの空間を咽頭(いんとう)と呼び、上から上咽頭、中咽頭、下咽頭と分類されています。上咽頭がんでは、鼻詰まりや鼻血が止まらないなど鼻の症状の他、のどの違和感や痛みが現れます。また、鼻と耳は上咽頭を通してつながっているため、耳詰まりや耳鳴り、難聴、中耳炎などもみられます。

全身の病気

白血病

血液のがんです。血液の中には赤血球、白血球、血小板という3種類の血球が含まれていますが、これらはもともと1つの細胞が変化して作られるものです。このもとの細胞(造血幹細胞)にがんが生じるのが白血病で、赤血球、白血球、血小板すべての血球が正常に作れなくなります。この結果、全身に酸素を運んでいる赤血球が足りなくなることで立ちくらみや倦怠感などの貧血の症状が現れ、免疫力を担っている白血球が足りなくなることで感染症にかかりやすくなり、血を止める働きをしている血小板が足りなくなることで出血しやすく、鼻血が止まらない原因になります。

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)

自己免疫性疾患(自分自身の細胞を敵とみなして攻撃してしまう病気)のうち、血小板のみが破壊されてしまう病気です。出血しやすくなることで、皮下に点々と出血がみられたり、はみがきの際に歯茎から出血しやすかったり、尿や便に血が混ざることがあります。一度鼻血が出るとなかなか止まらないことも症状の1つです。子どもでは予防接種や感染症を契機に発症し、半年ほどで症状が落ち着きますが、大人では原因不明で発症し、半年を超えても症状が続きます。

血友病

止血をするためには、まず血小板が集まりますが、そのかさぶたをより強固にするために働く凝固因子(ぎょうこいんし)という成分があります。血小板は堤防、凝固因子はコンクリートのようなイメージです。

凝固因子は1~13まで種類がありますが、血を固める一連の流れを分担しているため、1つでも欠けると血が止まらない状態になってしまいます。血友病は生まれつき凝固因子の8または9をもっていない病気で、男の子にのみ発症します。関節の中での出血など、深部出血と呼ばれる出血が特徴で、膝や肘が曲がりにくいという症状があります。やはり一度出血するとなかなか止まらないため、鼻血がでやすく、あざができやすいことも挙げられます。

血友病は生まれつきの病気として知られていましたが、最近では成人にも突然発症することが分かってきました。この場合、生まれつきもっていないのではなく、凝固因子8に対する自己免疫性疾患です。高齢者や妊婦に起こりやすいといわれています。

肝硬変

肝臓は、栄養を蓄えたり、身体に必要な成分を合成したり、逆に身体にとって有害な物質を解毒する働きがあります。その働きの1つとして、凝固因子7の合成をしています。肝硬変は、アルコールや脂肪の多い食事、ウイルス感染などを原因として、肝臓の機能が悪くなってしまう病気ですが、これらの働きがすべて悪くなり、凝固因子7の産生量も少なくなります。その結果、血友病と同じように血が止まらない状態になってしまいます。この他、全身のむくみやだるさ、かゆみ、立ちくらみ、黄疸(おうだん:白目や皮膚が黄色くなる)などがみられます。

高血圧

血圧とは、血液が流れる際に血管の壁に加わる力のことです。高血圧の場合、より強い力が血管の壁に加わることになるため、細い血管では力に耐えきれずに破れてしまうことがあります。キーゼルバッハ部位に集まっている血管は毛細血管と呼ばれる非常に細い血管であり、破れやすい血管の1つです。チョコレートやコーヒー、紅茶にはカフェインが含まれていますが、カフェインは血管を収縮させる働きがあり、一時的に高血圧状態になります。このため、チョコレートを食べすぎると鼻血が出るといわれているのです。

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鼻血がとまらないときに病院の受診が必要な目安

原因が外傷や交通事故

ボールが頭に当たった、転んで顔面を打った、このようなアクシデントの後に鼻血が出るような場合、頭蓋骨に傷がついていることが考えられます。アクシデント後、一見元気そうに見えても、頭蓋骨の中でじわじわ出血が続いて止まらない場合があります。この場合、いずれ脳が圧迫されて意識が失われ、命に関わることもあるため、頭の怪我には注意が必要です。頭蓋骨の骨折の特徴として、頭蓋骨と脳の間には脳脊髄液と呼ばれる液体が満たされており、頭蓋骨の傷から脳脊髄液が漏れ出ることで耳や鼻から透明な液体が流れ出てくることがあります。また、出血が皮下に溜まることで、耳の後ろの生え際や、目の周りにパンダの目のようなあざができることがあります。

30分以上続く

通常の鼻血であれば、5~10分ほど鼻を抑えていれば止まるはずです。30分以上止まらないような場合、鼻の中になにか大きな出血の元がある可能性が考えられます。また、出血が続いているような状態では、身体に必要な血液が失われることでショック状態に陥ることがあります。ショックとは血圧が急激に下がる状態をいい、全身の血液が不足することで、顔色が青白くなる、脈が早くなる、冷や汗をかく、呼吸が苦しくなるなどさまざまな症状を示し、失神や意識障害を引き起こすこともあります。脳の血液量が足りなくなると、脳の一部が死んでしまうことで後遺症が残る可能性もあるので、意識がぼーっとしてくるようであれば早めに受診するようにしましょう。

もともとあざができやすい、立ちくらみしやすい

血液の病気の場合、血が止まらないこと以外にも貧血であったり、感染症にかかりやすいなどの症状を併せもっている場合が高いことが挙げられます。全身で出血しやすくなっているため、ぶつけた覚えのないところにあざができているような場合も注意が必要です。血が止まりにくい場合に最も怖いのは胃や腸などの消化管での出血です。見える部分の出血であれば、すぐに抑えて止血できますが、身体の内側での出血ではなかなか気付けず、知らないうちに貧血が進行してしまうことも珍しくありません。消化管内に出血がある場合、便に血が混じったり、便が黒く変色することがあります。これらの症状に気付いたら、すぐに受診するようにしてください。

 

鼻血がとまらない原因を調べるのにどういう検査をするか

内視鏡検査

先端に小さいカメラのついた細い管を鼻から入れて、鼻やのどの映像を映し出す検査です。直接は見ることのできない部位をカメラを使ってみることで、小さな病気の兆候や粘膜の変化などを見つけることができます。使用する管は直径4mm程度の柔らかいものであり、検査の際には管自体に麻酔をつけるため、違和感はありますが痛みはほとんどありません。

血液検査

鼻血のような血に関する症状では最も有効な検査です。赤血球、白血球、血小板、凝固因子の数や形をみることで、血液の病気であればすぐに見つけることができます。また、血液検査では臓器の機能をある程度知ることができるため、肝臓の異常を知ることができます。さらに、体内にがんがある場合、がん特有の成分である腫瘍マーカーというものが検出されるため、採血からもがんを見つけることが可能です。

 

自分でできる鼻血がとまらないときの対処法

鼻血を止めるときの基本は「下を向いて、小鼻をつまむ」です。キーゼルバッハ部位は鼻の穴の近くにあるので、小鼻をつまむように圧迫すれば、キーゼルバッハ部位を圧迫して止血することができます。通常であれば5~10分ほど、血液の病気で血が止まりにくい場合でも30分~1時間ほど圧迫を続ければ、ほとんどの場合で止血します。
このとき、血が垂れないようにと上を向かないよう注意してください。血が鼻の奥を通って口、のどへと流れてしまうと、気持ち悪いだけでなく、窒息や嘔吐の原因にもなります。

 

鼻血がとまらない状態にならないようにするには

まずは鼻血を出さないことです。キーゼルバッハ部位はどうしても出血しやすいため、鼻をいじらない、強くかまない、という鼻に優しい接し方を心がけましょう。高血圧や肝臓の不調は、食生活を見直すことで改善できる場合もあります。塩分や脂肪の多い食事、アルコールを控えるだけでも十分効果的です。運動の習慣をつけるとさらに良いでしょう。
もともとあざが出来やすい、一度出血すると止まらない、貧血の症状があるという方は、血液の病気が隠れているかもしれません。一度近くの内科に受診し、採血だけでも検査してもらってみてください。

 

 

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