【C型肝炎】健康診断でHCV抗体が陽性だった場合に知っておきたい知識

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【C型肝炎】健康診断でHCV抗体が陽性だった場合に知っておきたい知識

特に健康状態に異常を感じることもなく、元気に過ごしているのに、毎年定期的に受ける健康診断や献血時の血液検査で、「HCV抗体が陽性」という結果が示されたら、驚きますよね。自覚症状もなく普通に生活していたら尚更です。そこで、HCV抗体が陽性と診断されたらどうすべきか、そもそもHCV抗体とは何か、などをまとめてみました。

 

HCV抗体とは?

HCVとは?

そもそも多くの方はHCVという単語すら聞きなれないと思います。

HCVとは、Hepatitis C Virusの略です。日本語ではC型肝炎ウィルスといいます。余談ですが、かつてはnonAnonB型肝炎ウィルスとよばれ、よくわかっていませんでした。1988年に初めてウィルスが発見され、C型肝炎ウィルスと命名されました。現在では、このC型肝炎ウィルスは、RNAウィルスの一種であること、C型肝炎の原因になることがわかっています。

C型肝炎ウィルスは、直径約60ナノメートルの球形をしています。ウィルスの構造は、中心部にその遺伝子であるRNAを有するコアの部分とそれを覆っているエンベロープという外膜から構成されています。

HCV抗体の「抗体」とは?

身体が本来持っている外部から侵入してきた異物や細菌・ウィルスなどの病原体を排除しようとする働きのことを免疫といいます。この免疫系の働きに関連する言葉に、抗原と抗体というものがあります。

抗原とは、身体の中に外部から侵入してきた異物や細菌・ウィルスのことです。この場合はC型肝炎ウィルスがそれに該当します。

抗体とは、侵入してきたものに対して排除するために身体の中で産生されるタンパク質のことです。抗体には、特定の分子、すなわち抗原を認識し、それに特異的に結合して排除しようとする作用があります。つまり1種類の抗体は、1種類の抗原にしか対応できない仕組みになっています。

 

C型肝炎ウィルス(HCV)の感染について

このウィルスの感染経路は血液です。C型肝炎ウィルスに感染した人間の血液を介して、他者にうつっていきます。具体的には、感染者が使った注射針の使い回し、特に麻薬や覚せい剤の注射、入れ墨、感染者からの輸血などの機会に感染の危険性が高くなります。

輸血以外の行為は、基本的に違法行為です。非合法な行為をすることで、感染のリスクが高まります。遵法の精神からも、感染経路の面からも、こうした行為は行なってはなりません。

日常生活でC型肝炎ウィルスに感染するリスクはほとんどない

C型肝炎ウィルスに感染している人との性交渉は、感染のリスクがありますが、実際のところ、それで感染することは稀といわれています。ですから、夫婦間でC型肝炎ウィルスが感染することもあまりありません。共にC型肝炎ウィルスに感染している夫婦でウィルスの遺伝子排列を比較すると、一致しないことの方が大半です。つまり、これはそれぞれが違う感染源からC型肝炎ウィルスに感染していることを意味しています。その他の日常生活でも、常識的に行動している限りC型肝炎ウィルスの感染リスクはほとんどありません。

また、母親がC型肝炎ウィルスの感染者であった場合に、生まれてきた子どもに感染のリスクがありますが、こちらに関しても母親から子どもに感染することは少ないといわれています。

その他、学校や保育所など集団生活をおくる場において感染が広がることもまずありません。ですから、たとえ血液検査で”HCV抗体あり(陽性)”と指摘されたとしても、家族を含め他者にうつす可能性は通常低いので、普通の生活をおくる限りには心配ないでしょう。

 

HCV抗体の陽性が意味すること

HCV抗体とは、C型肝炎ウィルスに対して特異的に産生された免疫系のタンパク質のことです。C型肝炎ウィルス感染者の場合、血液中に常にC型肝炎ウィルスが放出され続けているので、免疫系が常時刺激されている状態になります。そのため、HCV抗体がたくさん産生されています。”HCV抗体あり(陽性)”と血液検査で示されたのなら、C型肝炎ウィルスに感染したことがあるということを意味しています。そして、このHCV抗体検査の正常値は、”陰性(マイナス)”です。

なお、HCV抗原を検査しない理由は、HCV抗原の検査では、C型肝炎ウィルス感染者の95%はきちんと診断できるのですが、残りの5%が偽陰性となってしまうことが知られているからです。偽陰性とは、ほんとうは陽性なのに、陰性と誤ってでされた結果のことです。偽陽性であれば、再検査をすることもできますが、偽陰性の場合は、再検査をすることはまずありません。ですから、HCV抗原検査は行われていないのです。

 

HCV抗体が陽性と診断された場合の追加検査

C型肝炎ウィルスに感染しているかどうかの診断は、HCV抗体だけでは行なわれません。HCV抗体の検査は、あくまでもこれまでにC型肝炎ウィルスに感染したことがあるということしかわかりません。こういった検査をスクリーニング検査と言います。その中には、現在もC型肝炎ウィルスに持続性感染している人と、かつてC型肝炎ウィルスに感染したけれど、現在は治癒してウィルスはもういない人が含まれているからです。ちなみに後者には”HCV抗体あり”と検査結果が示された人のうちの30〜40%が該当します。そこで、”HCV抗体あり”と検査結果で示された場合は、以下の2種類の検査を組み合わせて、C型肝炎ウィルスに『現在』感染しているかどうかを総合的に判断します。

HCV RNA

C型肝炎ウィルスの遺伝子であるRNAの量を検出するための検査です。このような量を量る検査を定量検査といいます。ちなみに、HCV RNAの定量検査の正常値は1.2Log IU/ml未満です。そして、HCV RNAの検査に関しては、同時に拡散増幅検査とよばれる検査も並行して行ないます。これは、血液中に含まれるC型肝炎ウィルスの量が少ないので、それを試験官の中で1億倍にまで倍増させて計測する検査です。HCV RNA検査の結果の判断ですが、定量結果が1.2未満で正常範囲であるけれど、拡散増幅検査では増幅反応を認める場合があります。このときは陽性である、すなわちC型肝炎ウィルスに感染しているとみなされます。

HCVコア抗原

C型肝炎ウィルスの中核部分(コア)のタンパク質を検出する検査です。もし、身体の中にC型肝炎ウィルスがいれば、陽性となります。正常値は、1.0fmol/l未満です。しかし、精度はHCV RNA検査に劣ります。そのため、陽性のときは、C型肝炎ウィルスがいることを確認出来ますが、反対にこの検査結果が正常値未満であっても、直ちにウィルスの存在を否定するものではありません。

 

HCV抗体が陽性だった時の肝臓の検査について

HCV抗体が陽性と診断され、追加の検査でC型肝炎ウィルス感染が確認された時、まず行われるのが、現在の肝臓の炎症の程度を調べる検査です。このためには、ASTとALTで肝障害の有無、γ-GTPで肝機能の状態を調べる検査を一番目に行い確認します。状態によっては、追加でアルカリフォスファターゼ(肝障害の有無)、ビリルビン(肝障害の状態)、総タンパク(肝機能の状態)、アルブミン(肝機能の状態)、血小板(肝細胞の線維化の進行度)、コリンエステラーゼ(肝機能や脂肪肝)などの検査を行ない、肝臓の状態をさらに詳しく調べます。また、肝癌の検査として、腫瘍マーカーという血液中の特定の物質の有無やその量を調べる検査も行なうことがります。

 

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HCV抗体が陽性の場合、C型肝炎ウイルスの感染の可能性を意味する

日本で献血者のうち、HCV抗体が陽性である人の比率率は1~2%です。ここから、HCVの感染者数は150万人程度と推定されています。

なお、C型肝炎ウィルスに感染すると約70%の人がC型肝炎ウィルスの持続性感染を起こし、ウィルスキャリアとなります。”HCV抗体あり”と指摘された場合は、まさにこの状態である可能性が高いです。C型肝炎ウィルスはやがて慢性肝炎を引き起こし、肝硬変、肝癌へ進行していくことがあります。特にC型肝炎ウィルスによる慢性肝炎をC型肝炎といいます。言い換えれば、慢性肝炎や肝硬変ならびに肝癌は、C型肝炎ウィルスの感染による肝臓の一連の病気であると考えることができます。

C型肝炎ウィルスに感染した時の症状は、まず身体全体のだるさから始まります。ついで、食欲が無くなり、寒気がしたり、吐気がしたりします。こうしたところは風邪に似ていますので、注意が必要です。そして、黄疸といって皮膚や眼が黄色くなる状態が現れることもあります。しかし、ほとんどの場合はそこまで症状がひどくなることなく、自覚症状を感じないままに7割ほどの確率で持続性感染に移行するといわれています。

参考:国立感染症研究所 http://www.niid.go.jp/niid/ja/vir2heptopi/3653-hcv-epidemiology-for-home-doctor.html

 

C型肝炎ウィルスに感染するとどうなるの?

C型肝炎ウィルスなどにより肝炎を起こしますと、肝臓の細胞が破壊されていき、肝臓の働きが低下します。肝臓は、本来予備力が大きい臓器なので、多少の異常があっても自覚症状を感じることもなく、普通に過ごすことが出来ます。それ故に、”沈黙の臓器”ともよばれる臓器です。そのために、C型肝炎ウィルスに感染していても、症状がないために、血液検査を受けて初めて気がつくことも多いです

肝臓には、タンパク質や糖質、脂質などの栄養素を作ったり、ため込んだり、代謝したりする役割があります。また、血液中に含まれた薬を代謝したりや有毒物質を解毒する働きもあります。そして血を止めるための細胞である血小板の生成するところでもあります。胆汁を産生したり、細菌やウィルスの感染防御を担っていたりもします。このように、肝臓はさまざまな重要な働きをする臓器なのです。人間がいきていく上で、肝臓が健康であることは、非常に大切なことであるといえます。

 

C型肝炎の治療

C型肝炎の治療については、日本肝臓学会がC型肝炎治療ガイドラインを作成しており、最新版は2016年10月に改定されました。わが国ではこれに準じて治療が行われています。そこでは、C型肝炎の治療は、「抗ウィルス療法による、C型肝炎ウィルスの排除」「肝臓の炎症の進行を抑える」「肝癌の早期発見と早期治療」の3本柱を目標として進められていきます。

抗ウィルス療法

抗ウィルス療法としては、インターフェロン療法やインターフェロンとリバビリン(コペガス錠200mg)の併用療法があります。これがC型肝炎の治療の第一歩目です。そのほか、インターフェロンを用いない治療(インターフェロン・フリー療法)があります。それは、我が国では2014年から導入された抗ウィルス剤であるダクラスタビル(ダクルインザ錠60mg)とアスナプレビル(スンベプラカプセル100mg)による併用療法です。この適応は、基本的にはインターフェロンが使えない患者、もしくはインターフェロンが効かない患者です。これらの薬を用いた治療法は、インターフェロンを用いない日本で初めての治療法です。臨床試験では、優れた有効性が確認されています。しかしながら、これによりC型肝炎ウィルスが排除された場合の、肝癌の抑制効果については、未だ研究段階にあります。このため、長期的な予後を確認するために、肝癌に対する経過観察が、高齢者で発がんリスクのより高い場合は特に、必要となります。

抗ウィルス療法以外の治療

抗ウィルス療法に効果がない場合や、そもそも抗ウィルス療法に適応がないとされる場合は、肝臓の炎症を抑えることを中心とした治療を行ないます。これは、強力ネオミノファーゲンCやウルソデオキシコール酸などとよばれる薬を用いて行なう治療です。肝臓の炎症が進むと、肝細胞が線維化し、肝臓本来の役割が果たせなくなってきます。これらの薬は、この肝細胞の線維化を抑えることを目標に使用されます。

 

肝癌のリスクが高くなってきた場合は、CT検査や超音波画像検査などの画像検査や腫瘍マーカーの検査を追加して行い、肝癌の早期発見と早期治療を目指します。

 

まとめ

血液検査の結果、HCV抗体が陽性という結果が提示された場合、それはC型肝炎ウィルスに感染している、もしくは感染していた可能性があるということです。治療を受けウィルスの排除に成功し、抗体が残っているだけの状態であればよいですが、もしも現在進行形でC型肝炎ウィルスに感染している場合、放置すればC型肝炎になり、肝硬変、進行度によっては肝癌に至ることもあります。

肝臓の病気は、肝臓の臓器特性から、自覚症状に乏しいのが特徴です。しかも、なかなか治りにくい性質もあります。自覚症状がないからといって、HCV抗体が陽性であっても放置することはよくありません。もし、血液検査でHCV抗体が見つかった場合は、かならず医師の診察を受けるようにしましょう。

 

 

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