物が二重に見える!これって大丈夫?それとも重い病気のサイン?

物が二重に見える!これって大丈夫?それとも重い病気のサイン?

物が二重に見える

物が二重に見えるという現象は、医学的には「複視(ふくし)」と呼ばれています。複視は目を動かす神経の麻痺や乱視などが原因となることがありますが、脳の血管にこぶ(動脈瘤)ができたり、全身の病気が引き金になったり、原因はさまざまです。

片目でも物が二重に見えるのか?をまず確認!

物が二重に見えるのは両目で見たときですか?それとも、片方の目で見たときでしょうか。複視には「両眼性複視」と「単眼性(片眼性)複視」があり、原因が異なります。

・両眼性複視

片方の目を手で隠して見たときに二重に見えますか?

片目で見ると左右いずれの目にも複視は起こらず、両目で見たときだけ物が二重に見えるとすれば両眼性複視と考えてよいでしょう。両眼性複視の多くは、左右の視線にズレが生じる斜視(しゃし)が原因とされていますが、甲状腺や糖尿病などの全身の病気が原因になることもあります。

両眼性複視の場合は一つの物が上下にズレて見えたり、左右に二つ並んでいるように見えたりします。

・単眼性複視

単眼性複視は、どちらか一方の目で見たときに生じる複視です。ほとんどが乱視などの屈折異常ですが、白内障などの目の病気で起こることもあります。

たとえば、右目を手で隠して左目で見たとき、ダブらずにくっきりと見えますか。もし、二重に見えるなら、左目に何らのトラブルが起きていると考えられます。また、左目だけでなく、右目で見たときにも二重に見えるなら右目も単眼性複視の状態といえるでしょう。単眼性複視は、両方の目に同時に起こりうるものです。

普段は片方の目で見ることは少ないので、意識して片方ずつ見え方を確認するとよいでしょう。

物が二重に見えるという現象もさまざまです

物が二重に見えるといっても、二つのズレが大きい場合と小さい場合があります。複視が軽く、二つのズレが小さいときは「二重に見える」というより「物がぼやけて見える」、特に、単眼性複視のときは「ピントが合わない」などの自覚になることが多いです。

また、ある特定の方向、たとえば「右を見たときだけ二重に見える」ということもあるので、正面を見たとき(正面視)と横を見たとき(側方視)に複視が起こるかどうかも確認しましょう。さらに、遠くを見る、近くを見るといった違いでも見え方が変わることもあります。

 

そもそも物が二重に見えるのはなぜか

物が二重に見える、ダブって見えるのはどうしてなのでしょう。

乱視で物が二重に見えるのは焦点が合っていないため

人が物を見たとき、角膜(かくまく)と呼ばれる黒目の部分から光を取り込み、屈折させて目の奥にある網膜(もうまく)上に焦点を結ぶことで「物を見る」ことができます。乱視は、角膜に歪みが生じているために網膜にクリアにピントを合わせることができない状態です。乱視の場合には二重に見えるとは限らず、三重、四重といった見え方になることもあります。

乱視と複視は同じことを指していると感じるかもしれませんが、乱視は近視や遠視と同じく「屈折異常」という症状を指し、複視は「二重に見える」という見え方を現すことばです。複視という現象は乱視の人だけでなく、近視の人にも遠視の人にも起こります。

左右の目が別の方向を向いていると二重に見える?

眼球には眼筋(がんきん)という6本の筋肉があり、物を見るときは動眼神経や外転神経などの3本の脳神経によって眼筋をコントロールして目を動かしています。これらの眼筋や神経が正常に機能すると左右の目は同じ動き(連動)になりますが、麻痺などで眼筋がうまく動かなくなると両目を同じ方向に向けることができません。

このように別々の方向を向いてしまい、視線がズレてしまった状態が斜視と呼ばれる症状です。斜視になると、左右の目に映る像が異なってしまい物が二重に見えるという現象が起こります。

 

物が二重に見える原因としてはどういう病気が考えられるか

複視が現れる病気には、大きくは目の異常と脳の異常、全身の病気などがありますが、病院で検査しても二重に見える原因を特定するのが難しいときもあります。

目の異常で二重に見える場合

目の異常としては眼筋の異常が多く、斜視が原因で二重に見えることが多いです。斜視には黒目のズレる方向が外側か、内側かによって外斜視と内斜視、また、上下のどちらか一方に寄っているものを上下斜視と呼んでいます。動眼神経の麻痺が起こると外斜視となり、外転神経麻痺によって起こるのはほとんどが内斜視です。

また、単眼性複視は白内障などの眼球の異常で起こることもあります。白内障は目のレンズ部分にあたる水晶体に濁りが生じるもので、加齢によって増える病気です。

脳の異常で二重に見える場合

二重に見える原因が脳の異常というときは、重篤な病気の可能性もあります。脳梗塞などの血管の詰まりをはじめ、脳出血、脳動脈瘤といわれる血管にできたこぶ状の膨らみ、また、脳腫瘍が複視の引き金になることもあるので注意しましょう。さらに、事故などで頭に強い衝撃を受けた後に二重に見えるようになったという人もいます。

全身の病気で二重に見える場合

甲状腺の病気になると眼筋が腫れて複視になったり、高血圧や糖尿病で外転神経麻痺となって二重に見えるようになったり、体の病気が複視の原因になることも多いです。さらに、全身の筋力が低下する重症筋無力症になると目を動かす眼筋の筋力も低下して目の動きが悪くなり、二重に見えることがあります。

物が二重に見える

物が二重に見える

 

物が二重に見えるのがどれくらいだと病院の受診が必要か

動眼神経や外転神経などの脳神経に障害が起きて二重に見える場合はほとんどが自然に回復し、また、一瞬、物が二重に見えたなどの一時的な複視は心配いらないとされています。しかし、複視の中には命の危険につながる病気の症状ということもあるので、複視以外に現れている症状にも十分に注意しましょう。

呂律がまわらない!突然、二重に見えるようになったとき

体のしびれやめまいとともに、急に物が二重に見えるようになったときは脳梗塞などの脳の血管に異常が起きている可能性があります。脳血管障害による複視の場合は、物が二重に見えるだけでなく、体の動きが悪くなったり、舌がもつれたり、さまざまな症状を伴うことが多いです。気になる症状があるときは様子を見ずに至急、病院に行きましょう。

また、脳梗塞は梗塞の範囲が狭いと運動障害やしびれなどの感覚障害などがわかりにくく、脳の画像検査を行っても発見できないことがあります。原因が特定できないことも少なくありませんが、血圧が高い人や糖尿病の持病がある人は脳梗塞の発症リスクが高いので小さなサインを見逃さず受診することをおすすめします。

二重に見えるだけでなく、まぶたの下がりや頭痛を伴うとき

脳に動脈瘤がある場合、動脈瘤が大きくなることによって動眼神経が圧迫されて物が二重に見えることがあります。動脈瘤は破裂すると命の危険性が高いくも膜下出血を起こす可能性があるので、緊急手術になることも少なくありません。

複視のほかに、まぶた(眼瞼、がんけん)が下がっている(眼瞼下垂)、黒目に光を当てても瞳孔が開いたままといった症状が現れ始めると破裂の可能性が高くなっているとされています。

また、脳腫瘍の症状として現れる複視は、慢性的な頭痛を伴うことが多いです。特に、朝、起きたときにひどい頭痛が起こり、やがて一日中、痛みが続くようになります。普段と異なる症状があるときには放置せず、専門家に診てもらいましょう。

女性は特に注意!甲状腺の病気が疑われるとき

甲状腺の異常によって眼筋が腫れて、二重に見えることがあります。甲状腺機能に異常が起こり、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると眼球が飛び出したような眼球突出という症状が現れたり、動悸や発汗が増えたり、疲れやすくなります。また、甲状腺は喉の前の方にあるので、その辺りが腫れることも多いです。

甲状腺の病気は女性に起こりやすいので物が二重に見えるだけでなく、甲状腺の機能障害が疑われるときは病院を受診しましょう。

日常生活への支障を感じたときには受診を

物が二重に見えると外界の情報を正しく認識することができないため、危険に対する反応も遅くなってしまうでしょう。奥行きがわかりにくくなって段差で転びそうになったり、車の運転中に危ない思いをしたりといったこともあるので注意が必要です。

また、二重に見えることで頭痛や目の疲れなど体の不調が起こることもあります。物が二重に見えるという違和感が続き、日常生活に何らかの支障を感じるときは病院を受診して複視の原因を調べてもらいましょう。

受診先としては乱視や斜視、白内障などの目の病気であれば眼科へ、また、脳の病気の可能性が高いときは脳神経外科、あるいは脳神経外科と眼科のある病院をおすすめします。

 

物が二重に見えるときにはどんな検査で調べるのか

受診すると、二重に見えるのはいつから始まったか、どのような見え方なのかを尋ねられます。具体的には、常に二重に見えるのか、ときどきなのか、また、一定の方向を見たときだけなのか、さらに、眼痛や体のしびれなど複視以外に気になる症状はないかです。

また、眼筋麻痺があるとまぶたが下がることが多いので、まぶたや眼球の位置を目で確認(視診)します。さらに、甲状腺の異常が疑われるときは眼球突出や甲状腺の腫れなどの観察や手で触れて確認します(触診)。

眼球運動検査

検査者が示すものを目で追い、眼球の動きを調べる検査です。両目を開けた状態で左右の目が同時に動くか(連動)、また、片方の目を覆い、左右の目の動きを片方ずつ調べます。

ヘスチャート検査(赤緑試験検査)

目を動かす筋肉(眼筋)の麻痺があると斜視のほか、目の動きが悪い、あるいは動き過ぎるなどの眼球運動障害など起こります。ヘスチャート検査は目が正常に動いているどうかか、どこの筋肉に麻痺が起きているかなどを調べたいときに行う検査です。

検査では、片方の目に赤、もう一方には緑のレンズが入ったメガネをかけてスクリーンに映し出された赤い格子に緑色の矢印を検査者の指示した位置に合わせるようにします。赤と緑のレンズを左右入れ替えて両方の目を検査しますが、ヘスチャート検査によって両目が同じところを見ているかを調べることができます。

眼位検査

眼位検査では、左右の目の位置(眼位)にズレがあるかどうか、また、ズレの程度を調べます。

眼位検査では、まず角膜反射検査でペンライトなどで両目に光を当てたとき、黒目(角膜)に映る光の反射が両目とも黒目の中心に来ているかどうかで斜視の有無を調べます。斜視があり、眼位のズレがあると光の反射は黒目の中心から外れてしまいます。

また、片方の目を隠して「プリズム」という光を屈折させる道具を使い、眼位のズレの程度(斜視の量)を測ります。眼位のズレが大きいと眼精疲労を引き起こすこともあります。

MRI検査

脳梗塞をはじめ、脳腫瘍や脳動脈瘤などが複視の原因になっているかを確認するには、磁気を利用した「磁気共鳴画像診断」と呼ばれるMRI検査を行います。MRI検査は放射線を使用せずに、鮮明な画像を撮ることができます。

血液検査

糖尿病や甲状腺などの全身性の病気を調べるために、血糖値や甲状腺ホルモンなどを測定します。

物が二重に見える

物が二重に見える

物が二重に見えるときに自分でできる対処法は?

目の周囲を温めて目の疲れをほぐす

斜視の中には「間歇(かんけつ)性外斜視」と呼ばれる一時的に斜視になるものがありますが、目が疲れるとピントの調節機能が低下して斜視が起こりやすくなります。目が疲れて斜視になると二重に見えることが増えますが、逆に、物が二重に見えることで目が疲れるといった悪循環も起こりがちです。

複視の原因を正しく把握することが大切ですが、一時的な斜視による複視であれば目を休め、目の周りを温かなタオルなどで温めて疲れをほぐすとよいでしょう。

正面で物を見るようにする

物が二重に見えるのは正面で見たとき(正面視)より、横を見たとき(側方視)の方がひどいという人がいます。たとえば、眼筋麻痺による複視は、麻痺が軽いときは側方を見るときに起こりやすく、正面では比較的、少ないという傾向があります。

側方視での複視を少なくするには、目だけを動かして物を見るのではなく、できるだけ頭や体ごと向きを変えて正面で物を見るようにするとよいでしょう。ただし、眼筋麻痺は重症になると正面で見ても二重に見えるようになります。重症になる前に、早めに病院を受診し適切な治療を受けましょう。

二重に見るときにはまぶたもチェック!

物が二重に見えるときは片方の目を手で覆い、両目で見たときに複視が起こるのか、片目で見たときに起こるのかをチェックしましょう。また、眼筋麻痺が起きて、目の周囲にある眼筋の動きが悪くなると二重に見えるだけでなく、まぶたが下がり気味になったり、腫れたりします。見え方のチェックだけでなく、鏡でまぶたの状態を確認することも大切です。

物が二重に見えるときは、複視以外に目の痛みや頭痛、体のしびれなどが現れていないかという点にも注意しましょう。

 

物が二重に見えるという現象が起こらないようにするには

日頃から目の疲れを予防する

一時的に起こる斜視は目の疲れが引き金になることもあります。パソコンやスマホなどを長時間続けると目の動きが悪くなり、複視が起こりやすくなるので、ときどき休憩を入れて目の疲れを防ぎましょう。

目の状態に合ったメガネを使う

メガネの左右の度数が合っていないと物が二重に見えることがあります。メガネを使っていない人も、左右の視力に大きな違いがあると複視が起こる可能性があるので自分の視力や目の状態に合った適切なメガネを使いましょう。

原因となりうる病気の予防を心がける

白内障などの目の病気、また、糖尿病や高血圧、甲状腺などさまざまな体の病気が複視の原因となります。これらの病気にかからないようにするとともに、もし、何らかの異常を感じたときには早めに病気を受診しましょう。

原因を明らかにし、適切な治療を受けて重症化を防ぐことが複視の予防につながるでしょう。

 

 

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