血液検査で「ヘマトクリットが高い」って…自分の血液は今どんな状態なの!?

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血液検査で「ヘマトクリットが高い」って…自分の血液は今どんな状態なの!?

職場の定期健康診断や献血のタイミングなどで、「血液検査」を受ける機会があると思います。いざ結果を見ると、「ヘマトクリット値が高い」という指摘。ヘマトクリットってなんだ?血液の成分っぽいけど、血液の何かが悪いのかな、と感じて不安になると思います。そこで、ヘマトクリットとは何か?ヘマトクリットが高いとどういった病気が考えられるのかをまとめてみました。

 

ヘマトクリットって何?

血液成分の4種類のうちの1つ

まずはじめに、血液は何でできているかご存知でしょうか?

血液の成分は、大きく分けると下記の4つの成分に分かれます。

  • 赤血球:酸素を運ぶ役割
  • 白血球:細菌や異物を排除する免疫系の役割
  • 血小板:出血を止める凝固系の役割
  • 血漿(けっしょう):その他

血漿(けっしょう)は他の項目について少し馴染みがないと思いますので少し説明をしておきますが、血漿は血液から上記の3種類の血球成分(赤血球、白血球、血小板)を除いた残り分です。血液の5〜6割ほどをしめており、その9割が水で出来ています。血漿は免疫系や凝固系の役割、栄養分やホルモン、老廃物の運搬などいろいろな役割を担っています。

ちなみに、赤血球や血小板についても他のコラムで説明しています。

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ヘマトクリットとは何か

血液には上記の4つの成分がありますが、ヘマトクリットとは、このうちの「赤血球」に関する検査項目の1つです。

赤血球は、直径約10マイクロメートルほどの中心がくぼんだ円盤のような形をしています。中央の穴の部分がうすい膜で塞がっているドーナツといった感じの形でしょうか。赤血球は酸素と結びついて身体の各細胞に酸素を運んでくれています。赤血球は、血液を構成する成分のうち約40〜50%を占めています。なお、血球成分に限れば、実に96%が赤血球となります。血球のほとんどが赤血球といえます。その寿命は約120日で、寿命がきますと肝臓や脾臓などで破壊されてなくなります。

ヘマトクリットは、血液中に含まれるこの赤血球の体積の割合を表します。簡単にいうと血液の濃さを表していると言ってもいいでしょう。

ヘマトクリットが高い/低いのはどういう意味があるのか

ヘマトクリットが高いというのは、血液が濃い状態にあることを示しています。このとき、血液は非常にドロドロとしており、必要以上に固まりやすい状態になっています。血液が血管の中で固まることで、血液が詰まってしまう”血栓”というものを作りやすい状態になっています。こうしたときは心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高くなります。

反対にヘマトクリットが低いと血液が薄いという意味になります。この場合は貧血が疑われます。

参考:一般社団法人日本衛生検査所協会

 

ヘマトクリットが高いかどうかを調べる検査

ヘマトクリット検査の目的は、赤血球の状態を調べることにあります。ただし、赤血球の状態を調べるためには、ヘマトクリットだけでは足りません。ヘマトクリット以外に必要とされる赤血球に関係する血液検査項目には、「赤血球数」「ヘモグロビン」があります。赤血球数は、赤血球の数を調べます。ヘモグロビンは、血液の中に含まれるヘモグロビンという酸素と結びつく細胞の量を調べます。

この2つのうち、ヘモグロビンは赤血球の働きの中心的立場にあると言える重要な細胞です。ヘモグロビンが少ないと酸素が十分結びつけられないので、各細胞に酸素が送り届けられないことになるからです。ですから、例え赤血球数が正常値であっても、ヘモグロビンが不足していると貧血症状を認めることがあります。つまり、赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリットの3種類の検査項目が正常であるかどうかというセットで血液の状態を知ることができるということになります。

ヘマトクリットは採血時の時間帯や検査時の姿勢によっても変動します

ヘマトクリットは、日内変動といって1日の時間帯によっても結果が変動することが知られています。

例えば、朝方に採血しますとヘマトクリットは高い状態になります。そして夕方から夜間にかけて検査をしますとヘマトクリットはやや低くなります。

更に、時間帯の影響だけでなく、採血時の姿勢もヘマトクリットを高くしたり低くしたりと、ヘマトクリットの検査結果に影響を及ぼします。座って血液を採取するときと、寝た状態で血液を採取するときとでは、同じ時間であっても、時間帯による差ほどではありませんが、測定結果に違いが生じます。また、身体全体の水分量の影響を受けますので、夏場に限らず脱水状態に陥ったり、女性の場合に生理がおきたりといったこともヘマトクリットを変動させる要因になります。

血液検査時の状態をなるべく一定に

このようにヘマトクリットは時間帯や姿勢などにより影響を受けやすい検査ですので、定期的にヘマトクリットを検査する場合は、可能であれば採血を受ける時間帯や姿勢を、極力合わせるようにしておけば、こうしたことによる影響を最小限度に抑えることが出来ます。ヘマトクリットが高いか、低いかを評価する上で、こうしたことも正確な判断をする上で、重要な要素となってきます。

ヘマトクリット 高い

 

ヘマトクリットの値は男性で50%、女性で45%を超えると高い

では、ヘマトクリットの正常値はいくつなのでしょうか。それは、男性と女性によって変わります。男性の場合40〜50%、女性の場合30〜45%くらいです。ただし、検査を行なう施設によって、多少の差があることがあります。また、厳密には年齢によっても多少基準値は変わります。

ちなみに、赤血球数の正常値は、以下の数値です。

男性で420〜550万個/マイクロリットル
女性の場合で380〜500万個/マイクロリットル

ヘモグロビンの正常値は、男性で13〜18g/デシリットル、女性で11〜16g/デシリットルです。ですから、ヘマトクリットが高い場合は、男女ともにその検査値はおよそ50%以上にあるということです。

ヘマトクリットが高くても問題ないケース

しかし、ここで注意しなければならないことがあります。それは、ヘマトクリットが高い状態であっても正常とみなされる場合があることです。ヘマトクリットとは、血液中に占める赤血球の体積の比率のことをいいます。ですから、赤血球以外の白血球や血小板が少なくなると、相対的に比率が上がりますので、それにつれてヘマトクリットも高い状態となります。

例えば、生理前の女性はヘマトクリットが高い状態になることが知られています。これは、血小板という血を止めるための凝固系細胞が減少することで、相対的に赤血球の比率が高くなることによります。このように、身体が健康であってもヘマトクリットが高い状態となることがあります。

 

ヘマトクリットが高いときは多血症?

ヘマトクリットが高いということは、血液が”濃い”という状態にあることを示しています。血液が濃いということは一見するといいことかとも思えますが、実は、血液がドロドロとして詰まりやすい状態を指しています。血液がドロドロしてくると流れが悪くなり、血栓とよばれる血管の中に作られる血の塊が出来やすくなります。この血栓によって血管の中で血液が詰まりやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすことがあります。

このようにヘマトクリットが高い状態なると、生命予後に関わる病気につながることがありますが、そのような状態にしてしまう病気に、多血症という病気があります。なお、この反対が、皆さんがよくご存知の貧血症です。

多血症

多血症とは、血液の主成分である赤血球数が増加する病気のことです。赤血球は血球成分の9割以上を占める割合を持っているため、多血症=赤血球増多症と考えてもいいです。多血症は主に、血液を作っている骨髄とよばれる部分に異常があるために赤血球を必要以上に作ってしまう”真性多血症”と、赤血球数は増加していないけれども、下痢や嘔吐などの原因により脱水症状になることで血液の組成が変化したために一過性で赤血球の比率が高くなって起こる”相対的多血症”に分けることが出来ます。その他にも酸素欠乏性多血症などがあります。

真性多血症

血液は骨髄という骨の内側の部分で作られます。骨髄の中に造血幹細胞といういろいろな血液成分に分かれていく元の細胞があります。造血幹細胞が、まず骨髄系前駆細胞とリンパ系前駆細胞に分かれます。このうち骨髄系前駆細胞がさらに分かれていき、赤血球や白血球、血小板などの血球成分になっていきます。

真性多血症とは、この造血幹細胞の段階で異常が起き、血球成分の中でも特に赤血球が異常に増加し、ヘマトクリットが高い状態になる病気のことです。造血幹細胞に異常をきたす原因は、遺伝子レベルでの変異といわれています。真性多血症の治療は、必要以上にある血液を身体から抜き出す瀉血(しゃけつ)という治療か、骨髄の異常を治すための抗がん剤を用いた化学療法という治療が行なわれます。

相対的多血症

相対性多血症は、赤血球数は増えていないけれども、血液の大部分を占める成分である血漿が減少するために、赤血球数が血液中に占める割合が相対的に増えてくる病気です。

血漿が減ってしまう原因はいろいろありますが、代表的な原因として脱水症状が挙げられます。下痢や嘔吐で体液を失ったり、水分の摂取量が不足したり、また汗を大量にかいたりすることで、体液が不足し、脱水に繋がります。脱水になると、身体の水分量が減り、血液中の液体成分である血漿が減少してしまうのです。

このようにして相対的多血症になることでヘマトクリットが高い状態になります。ですから、失われて不足した体液分の水分を補給することで、相対的多血症は改善されますので、ヘマトクリットも高い状態から脱することが出来ます。

そのほかに、相対的多血症を起こす原因としてストレスがあります。このストレスによる相対的多血症のことを、特に「ストレス性多血症」とよぶこともあります。ストレス性多血症は、その名前の通りストレスがかかることで起こりますが、直接的なストレス以外でも生活習慣病や喫煙などで起こりえるのが特徴です。生活習慣病とは、高血圧症や高脂血症などの慢性的な病気を示していますが、これらにより代謝異常をきたして血漿の量が減少することがあり、その際に相対的に多血症に至り、ヘマトクリットが高い状態になります。

酸素欠乏性多血症

高地で暮らしていると、空気が薄いためにどうしても低地に暮らす場合と比べて身体は常に酸素が不足した状態になります。そこで、身体は不足しがちな酸素を身体の細胞に少しでも多く届けるために、酸素の運び手である血液を増やそうとします。そこでエリスロポエチンという造血因子(血液を作るために、骨髄に働きかける作用を持つもの)の量が増えます。この結果、骨髄で赤血球がたくさん作られるようになります。このようにして赤血球数が増加しヘマトクリットが高い状態になります。

通常、酸素については意識している人はあまりいないと思いますし、酸素が欠乏するというと普通の方には縁がない病気かと思われがちですが、実は酸素欠乏性多血症は、「肥満」により身体が必要とする分の酸素を取り込めなくなり起こることもあります。また、睡眠中に呼吸が一時的にとまってしまう睡眠時無呼吸症候群という病気や、大量に喫煙をする場合に、たばこの煙に含まれる一酸化炭素が原因で起こる酸素が不足した状態でもおこることがあります。

この酸素欠乏性多血症は、酸素欠乏の原因が解消されると、エリスロポエチンの産生が落ち着くようになりますので、ヘマトクリットが高い状態であったものが、自然と多血症も改善されるにつれて、ヘマトクリットも正常化していくようになります。
ヘマトクリット 高い

 

ヘマトクリットが高くても初期の自覚症状はないことも!

ヘマトクリットが高い状態にあっても自覚症状に乏しいことが多く、血液検査を受けて初めて気づくことも少なくありません。

しかし、病状の進行に伴い徐々に症状が現れてくるようになります。初期の段階では、まずだるさやふらつきから始まることが多いようです。そして、頭痛や息切れを感じるようになります。さらに進行していきますと、顔色が赤くなる、目が充血する、歯茎から出血するという症状が現れてきます。そして、視野が歪むなどの視覚に関する異常や、身体全体のかゆみ、ほてり感、のぼせ感を認めるようになります。

 

ヘマトクリットが高い状態にならないために日頃の生活でも注意しましょう

ヘマトクリットが高い時に疑われる病気のうち、骨髄レベルで赤血球数が増加してしまう「真性多血症」に対しては、予防することは難しいです。しかし、そうではない「相対的多血症」や「酸素欠乏性多血症」によりヘマトクリットが高い状態になってしまうことについては、ある程度の予防が可能です。

そのためには、下記のようなアクションが有効です。

  • 水分不足にならないように水分をきちんと摂取する
  • 下痢などを起こさないよう体調管理をしっかり行う
  • ストレスや疲れをためないようしっかりと休息を取る
  • たばこを吸っている場合は禁煙をする
  • 生活習慣病による発症を防ぐために、食生活を見直して塩分や脂質の多い食事を控える

 

まとめ

ヘマトクリットが高い状態になると、血が濃くなります。それに伴い、血液の性状がドロドロとしたものになっていきます。ドロドロとしてくると血管の中に血栓とよばれる血の塊を作りやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞の原因となってきます。生活習慣を見直し、体調を管理することで、ヘマトクリットが高い状態にならないようにしましょう。

 

 

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