尿蛋白の検査ってなんのため?尿蛋白多いって言われたらどうしたらいいの?

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尿蛋白の検査ってなんのため?尿蛋白多いって言われたらどうしたらいいの?

職場での定期健康診断や、人間ドックなどの精密検査では、血液検査の他にもさまざまな検査が行なわれます。その中には、尿(おしっこのことですね)をカップに入れて行なう尿検査もあります。もし、尿検査を受けたところ、尿蛋白が多いと診断されたときは、どんな病気が隠れているのかと不安に思うこともあるでしょう。そこで、尿蛋白が多いと診断されたときは、どんなことを気をつければいいのか、どんな病気が隠れているのか、まとめてみました。

 

尿蛋白って何?

尿蛋白とは、尿の中に含まれているタンパク質のことです。尿蛋白検査では、尿の中にタンパク質が含まれているかどうかを調べています。一般的に、尿の中にはタンパク質が含まれないことが正常です。これは、身体が健康な場合、血液中に含まれているタンパク質は、通常腎臓で濾過されることで、尿にはほとんど含まれなくなるものだからです。すなわち、尿蛋白が多いと診断されたときは、尿の中に通常ほとんど含まれていない筈のタンパク質が検出されたということを意味しています。

ですから、尿蛋白の正常値は「マイナス(陰性)=無」となります。これは、尿の中にタンパク質が検出されていない、もしくは検出されていてもごく微量に過ぎないという意味です。尿蛋白が尿の中に含まれているかどうかは、尿を採取して、尿試験紙を用いて検査します。尿を尿試験紙に浸し、試験紙の色が、黄色の場合は「マイナス(陰性)」となります。もし、試験紙の色が緑色になっていたら、これは「プラス(陽性)」という意味です。すなわち、尿蛋白が多いと診断されるということです。なお、よりたくさん検出されますと、「ツープラス」というより重症な状態であると判断されます。

ただし、健康な人でも、尿の中にタンパク質がまったくないということはありません。1日あたり120mg以下の尿蛋白は認められます。ですから、尿蛋白定量法という尿に含まれているタンパク質の量を計測する前述と異なる検査方法であれば、1日あたり20〜120mgが正常値となります。

 

尿蛋白が多いときの原因って何?

尿は、腎臓でつくられます。腎臓の内部には、糸球体(しきゅうたい)とよばれる毛細血管の集まった部分があります。この糸球体では、身体の中に溜まった老廃物や栄養成分が代謝された後の残り物をろ過して取り除く働きが行われています。もし、この糸球体という部分に異常があれば、ろ過機能が低下し、そしてタンパク質が漏れ出してしまいます。尿蛋白が多いと診断されたことは、腎臓のろ過機能の低下を反映しているのです。そして、漏れ出したタンパク質の量が多ければ多いほど、腎臓の状態が悪いということになります。言い換えれば、尿蛋白というものは、腎臓からの異常を知らせるサインなのです。ただし、風邪の治りかけでも一時的に腎臓が機能を低下させてしまうことがあるので、そういったときに尿蛋白が多いと診断されることもありますし、激しい運動や、寒さ、ストレスなどでも尿蛋白が多いと診断されるときがあります。若い年代の方の場合は、体調が悪いことで一時的に尿蛋白が多いと診断されるときがありますので、体調の回復を待って、数週間後に再検査を行って確認することもあります。

 

尿蛋白が多いときには腎臓の病気?

尿蛋白が多いと診断されたときは、腎臓の病気が疑われますが、では腎臓とは何でしょうか。腎臓は、腰の上、背中側に左右に1つずつある臓器です。腎臓は、そらまめのような形状をしていて、そらまめの凹みの部分を中央に向けた感じで並んでいます。大きさは、握りこぶし1つ分くらいで、重さは150gほどです。腎臓の内部には糸球体とよばれる毛細血管が集まった部分があり、この糸球体で血液のろ過を行い、老廃物などを取り除くようになります。この取り除かれた老廃物が、尿となり身体の外に排出されるのです。

腎臓には、いくつかの大切な働きがあります。まず身体全体の水分量を調整し一定に保つことです。これは尿を増やしたり減らしたりすることで、行なわれます。そして、身体の中の老廃物を尿として排出するのも腎臓の大切な働きの1つです。また、ナトリウム・カリウム・リン・カルシウムなどの電解質とよばれる血液の成分の調整も行ないます。ビタミンDを活性化させ、活性型ビタミンDとするも腎臓の役目なのですが、活性型ビタミンDは、カルシウムやリンとともに骨を作り出すための大切なホルモンです。ほか、血液が弱アルカリ性に保たれているのも腎臓のおかげです。

そんな腎臓の機能が低下すると、水分量の調整がうまくいかなくなり、むくみや高血圧症などを起こすようになります。また、尿からの老廃物の排出が減少しますと、食欲不振や吐気、嘔吐、けいれん、意識低下などの尿毒症とよばれる病態をひきおこすことがあります。また、電解質のコントロールがうまく機能しなくなると、低ナトリウム血症、高カリウム血症などを起こすこともあります。また、ホルモンのバランスが崩れて、骨が弱くなったり、血液が酸性化し息苦しくなったりします。

 

尿蛋白が多いと診断されたときに疑われる病気って何?

IgA腎症 腎臓内科

尿検査をうけたところ、尿蛋白が多いと診断されたときは、腎臓のろ過機能に異常があることが疑われるので、腎臓の病気がある可能性があります。すなわち腎臓病です。腎臓病は、急激に症状が発現して推移する急性腎臓病と、ゆっくりと時間をかけて進行する慢性腎臓病の二つに分けることが出来ます。このうち、慢性腎臓病とは、特に慢性化した腎臓病のことを総称した名称で、代表的な病気として糖尿病に伴って発症する糖尿病性腎症や、慢性腎炎が含まれています。これらの病気は、腎臓の糸球体のろ過機能が低下するのが特徴です。この結果、血液中にタンパク質が漏れ出すようになります。ですから、尿蛋白が多いと診断されたときは、こうした病気が隠れていることが疑われるのです。

一般的に腎臓病は、自覚症状に乏しく、末期に至るまで気がつきにくい特性を持っています。尿検査で尿蛋白が多いと診断されたときは、自覚症状がなくても早期に医師の診断を受けて、適切な治療を受けるようにしてください。それでは主な病気についてそれぞれ解説していきましょう。

急性腎臓病によって尿蛋白が多いケース

急性腎臓病としては、急性糸球体腎炎(きゅうせいしきゅうたいじんえん)が代表的です。急性糸球体腎炎は、5〜10歳くらいの子どもに多い病気です。秋から冬にかけてよく発症します。他の腎臓病と大きく異なる点として、完治が望めることがあげられます。

急性糸球体腎炎の原因は、おもに細菌感染です。そしてその症状は、まずは喉の痛みや発熱から始まり、10〜14日ほど経過したのちにむくみや血圧上昇、蛋白尿や血尿が出現します。血圧上昇のために頭痛や吐気を訴えることもあります。急性期を過ぎればむくみも血圧も正常化し、1〜3ヶ月後には蛋白尿も認められなくなります。その後は、しばらく経過観察となります。

治療法は、基本的に抗菌薬を使い細菌感染を抑え、安静にしたうえで、腎臓に負担のかからない食事に変更します。こうした処置を数日から数週間ほど継続し、症状が消失したら、終わりとなります。もし、子どもの風邪のような症状を引き起こしたのちに、尿検査をしたところ、尿蛋白が多いと診断されたときは、この病気である可能性が高いです。

慢性腎臓病によって尿蛋白が多いケース

慢性腎臓病とは、慢性に経過するあらゆる腎臓病の総称です。慢性腎臓病の原因となるものはいろいろあります。糖尿病や高血圧症などの生活習慣病や慢性腎炎などが代表的な原因といわれています。生活習慣病に関係することが多いことから、メタボリックシンドロームとの関連性もあります。日本国内では、慢性腎臓病の患者数は1300万人と言われ、実に20歳以上の人口に限ると8人に1人の割合になり、その数の多さが実感出来ると思います。

慢性腎臓病の症状は、初期段階では自覚症状に乏しいのが特徴です。腎臓病の悪化に伴い、貧血や息切れ、だるさ、むくみ、夜間の尿などの症状が出現してきます。言い換えますと、検査で尿蛋白が多いことに気づいておらず、自覚症状が現れてきたことで何らかの不調に気づいた段階では、かなり慢性腎臓病が進行している可能性が高くなります。自覚症状に乏しい初期段階で発見することが大切なのですが、それが難しいのが慢性腎臓病の特徴と言えます。そこで、定期的な尿検査を受けることで、初期の軽度な段階で尿蛋白が多いということが判明した場合、それは腎臓病の早期発見につながりますので非常に有用です。

慢性腎臓病は、進行度をステージによって表し、そのステージは5つに分けられています。ステージ1では、腎臓の機能はほぼ正常です。ステージ2から4で、徐々に腎臓の機能が低下していきます。この段階では、食事内容の見直しなど生活習慣を改善したり、薬の治療が主に行なわれます。また血圧のコントロールも大切です。ステージ5に至りますと、腎臓の機能はほとんど失われた状態(これを腎不全といいます。)になります。ステージ5では、人工透析や腎臓移植が治療の選択肢となります。

慢性腎炎

慢性腎炎とは、糸球体の炎症によって1年以上の長期間に及び蛋白尿が出たり、または血尿を認める病気のことです。慢性糸球体腎炎(まんせいしきゅうたいじんえん)ともいいます。腎臓病の中で最も頻度が高いのがこの病気です。原因は、免疫系という身体を異物や細菌から守るためのシステムの異常により起こるのでないかと考えれております。症状は、蛋白尿や血尿、高血圧症、むくみ、だるさ、めまい、頭痛、肩こりなどです。慢性腎炎の治療は、基本的に食生活の見直しなどの生活習慣の改善と、薬による治療となります。むくみが激しい場合は、利尿薬とよばれる尿を出しやすくする薬を使うこともあります。

糖尿病性腎症

糖尿病になりますと、血糖値が上昇しますが、その状態を放置し長期化してしまいますと、全身の血管に動脈硬化が進行していきます。これは腎臓の糸球体の毛細血管も例外ではありません。毛細血管は元々非常に細く、動脈硬化により壊れやすくなります。糸球体の毛細血管が動脈硬化により詰まったり、破れたりすることで、糸球体が本来持っているろ過機能が低下し、老廃物などをろ過出来なくなると考えられています。

糖尿病性腎症は、第一期から第五期までの進行度が五段階に分けられています。第一期では、尿蛋白は正常値ですが、第二期になりますとごく微量の尿蛋白が検出され始めます。第三期以降では、尿蛋白が更に増加してきます。そして血圧も上昇するようになり高血圧症になります。そのために更に糸球体の毛細血管が傷み、腎臓の病態を悪くさせていいくという悪循環に陥ります。

治療としては、第一期では血糖値のコントロールが主な治療方法となります。第二期になりますと高血圧症の治療も並行して行なわれます。第三期ではタンパク質の食事制限が加わります。そして第四期には人工透析が考慮され透析療法が導入されるようになります。最後の第五期になりますと人工透析療法や腎移植を行なわなければならなくなります。尿蛋白が多いと診断されたときは、糖尿病性腎症であれば少なくとも第二期以降であることを示しています。

糖尿病性腎症の場合、自覚症状は各段階ごとに異なります。まず第一期と第二期においては自覚症状が乏しいという特徴があります。ですから尿検査を行なわないとわからないことが多いです。第三期になりますと、身体のむくみや息切れ、食欲不振と満腹感などの自覚症状が現れます。第四期や第五期では、顔色が悪くなったり、疲れやすくなったりします。また、筋肉のこわばりや、骨の痛み、手足のしびれ感、発熱、腹痛、吐気、嘔吐を伴うようにもなります。自覚症状が顕著になってくる第三期以降になりますと、治療を試みても腎臓の状態が正常に戻ることはほとんどありません。悪化していくのをくい止める、もしくは遅らせるのが現状では治療の限界です。言い換えますと、如何にして第二期までに糖尿病性腎症を見つけ出せるかが、とても大切になってきます。

 

まとめ

尿検査を受けたところ、尿蛋白が多いと診断されたときは、腎臓病の存在を疑います。急性糸球体腎炎を除き、ほとんどの腎臓病は完治が望めない病気です。最終的には腎臓が機能しなくなる腎不全に陥り、人工透析や腎移植が必要となります。しかし、初期の段階では自覚症状に乏しく、なかなか気がつきにくいです。そのため、尿検査を定期的に行ない、なるべく早期の段階で腎臓病を発見し、よい状態のままでコントロールするために食事用法や薬物療法などの治療を受けることが非常に重要になってきます。検査で尿蛋白が多いと診断されたときは、 自覚症状がなくても、それは腎臓病の初期症状かもしれません。必ず医師の診察を受けるようにしましょう。

 

 

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