IgA腎症は、初期は自覚症状なく、検診の尿検査でしかわかりません!検診行くのはめんどうですが、受けましょう!

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IgA腎症は、初期は自覚症状なく、検診の尿検査でしかわかりません!検診行くのはめんどうですが、受けましょう!

IgA腎症の概要

みなさん、IgA腎症という病名は耳にしたことがありますか?

健康な方にとってはあまり聞かない病名かと思います。腎臓の腎という漢字が入っていることから、腎臓の病期なんだな、ということはおわかりになるかと思います。

近年、末期腎不全(腎臓の機能が極度に低下し、そのままでは生命を維持できなくなるくらいの状態)で透析が必要となってしまう患者さんが増えてきています。その原因の代表的な疾患として挙げられるのが今回ご紹介するIgA腎症です。IgA腎症とは、慢性糸球体腎炎という種類の腎臓の病期の中で、”糸球体”にIgAを主体とする沈着物が生じるもののことを指します。ちなみに糸球体とは、毛細血管が集まって球状になっている部位のことです。ちょうど毛糸が絡まり合って毛糸玉のようになっているのをイメージしていただくとイメージしやすいかもしれません。実際には毛細血管なので、毛糸よりももっと細い血管の集まり、ということになります。

慢性糸球体腎炎にも分類が色々あるのですが、その中でも、成人では3割以上、小児でも2割以上をこのIgA腎症が占めます。日本でのIgA腎症の発症率は、10万人あたり約4.5人/年と考えられていて、患者さんは30,000人以上いるとされています。男女の性差では、やや男性の方が多い傾向にあります。また、このIgA腎症が発症してから20年後までの病状を考えた時に、約4割近く患者が末期腎不全になるとされています。IgA腎症の約7割は健康診断などでたんぱく尿や血尿を指摘され発見されます。

 

IgA腎症の症状

IgA腎症の発症から発見まで

多くのIgA腎症の患者さんは、まず最初に自覚症状がありません。そのため、学校検診や職場検診での検尿で、尿潜血や尿たんぱくが陽性となり偶然発見されることが多いです。発症時期は分からないまま、血尿・尿たんぱくとともに腎臓の機能が低下してきます。また、通常の生活をしていて、かぜをひき(上気道炎)、目で見てすぐに分かる血尿(肉眼的血尿といいます)が生じることによって発見されることもあります。

急性腎炎様症状やネフローゼ症候群など、症状として浮腫(むくみ)が出ることで病気の発見につながることもありますが、このケースはそれほど多くありません。

それぞれの割合を出すと、検尿異常が約70%、肉眼的血尿が約12%、急性腎炎様症状が約5%、ネフローゼ症候群が約3%となり、その他が約10%を占めています。また、腎機能が低下していく過程で高血圧を認める患者も多いことが特徴です。

 

IgA腎症が検査で見つかるときの数値

ここではIgA腎症を発見するにあたって、検査でどの様な数値を確認しているかを説明します。1つ1つの項目の名前や数字が大事ということではないので覚える必要は全くありませんが、こんな検査で、こんな項目を調べているんだな、ということを知っていただければと思います。

尿検査

多くの患者さんが自覚症状のないまま、血尿・たんぱく尿で発症し、この検尿異常の発見をきっかけとして腎生検を行っていくことから、IgA腎症診断には検尿が必須です。しかし、一般的な尿検査だけではIgA腎症であると確定診断(病気が確かにあるということを診断すること)を出すことは困難であり、その他の検査と組み合わせて診断を出す必要があります。

血液生化学検査

血液生化学検査も尿検査と同様に、単独でIgA腎症の診断を行うことは難しいですが、半数の患者に血清IgA値が315mg/dl以上の高い値を示します。また、血清IgA/C3比が高い値を示したり、血清糖鎖異常IgA1が増加したりすることから検査の有用性は認められています。

腎生検

上記で示した尿検査や血液生化学検査で、持続する血尿・たんぱく尿、血清IgA高値、血清IgA/C3比高値、上気道炎に伴う肉眼的血尿を合わせて診断することでIgA腎症を強く疑うことが可能ですが、最終的にIgA腎症なのかどうかを判断するためには”腎生検”を行うことが必須となります。

腎生検とは、腎臓を細い針で刺して、一部組織を取ってくる検査のことです。こう書くと簡単な検査のように感じるかもしれませんが、実際はそうではありません。腎臓には心臓から送り出される血液を濾過してきれいにする機能がありますが、そのため血液が腎臓にはたくさん流れ込みます。そのため、腎臓に針を刺す腎生検は出血の危険性があり、経験豊富な腎臓専門医資格を持つ名医が可能な検査です。また、検査による合併症がおこる可能性がありますので、患者さんの同意を必要とする検査です。

腎生検を行うことで組織の評価も可能になるため、IgA腎症患者の予後の評価や治療の選択を判断するためにも有用性が認められています。

 

IgA腎症の原因

発症のメカニズムについては、実は現段階ではっきりと解明されていません。ただ、IgA腎症は血液中のIgA抗体と何らかの抗原、補体の複合体が腎糸球体に沈着して発症する免疫複合体疾患であると考えるという一説があります。ただ、この一説も免疫複合体を形成している原因として、アデノウイルスや単純ヘルペス、ヘモフィルスパラインフルエンザ、食物抗原や自己抗原などの諸説があるため、解析は十分にされていません。

また、ほとんどの場合に遺伝することはないのですが、なかには、家族にIgA抗体の産生が多くされる人がいる時に、子供に遺伝するという場合もあり、これを家族性IgA腎症と呼んだりします。腎機能がもともと低下していたり、高血圧を合併していたり、尿たんぱくの量が多い場合は、予後が不良であると言われています。

 

IgA腎症の治療法

IgA腎症の治療方法は確立されているとは言えないですが、食事療法などの生活習慣の見直しや、血圧を下げる薬を飲むことによる血圧コントロールなどの薬物療法を行うことが一般的です。今回は具体的に、生活習慣の見直し、ステロイドを使った治療方法について紹介していきたいと思います。

1.食事療法(塩分制限)

IgA腎症では塩分制限を行う必要があります。高血圧を合併している、また、腎機能低下がある場合は、末期腎不全などのリスクを軽減するために、6g/日未満の塩分制限が推奨されています。

ちなみに厚生労働省が2015年に発表した「平成26年国民健康・栄養調査結果の概要」によると、「2014年における成人の一日あたりの塩分平均摂取量は男性で10.9グラム・女性で9.2グラムであることが分かった」と報告されています。つまり6g/日未満というのは、通常の食生活の2/3程度の食塩量に控えるという数値になります。

IgA腎症 腎臓内科

IgA腎症 腎臓内科

2.生活指導

肥満の患者は、尿たんぱく量が多く、高血圧の発症や腎機能低下の進行リスクが高くなります。また、肥満は、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の危険因子でもあるため、肥満を解消することが求められます。

3.禁煙

喫煙は、腎機能低下を進行させると言われています。IgA腎症の場合も喫煙は避けることが必要です。

4.経口副腎皮質ステロイド薬

ステロイド薬を内服することで、身体の炎症を抑えたり、免疫力を抑制したりする作用があり、さまざまな疾患の治療に使われており、IgA腎症にも効果を発揮します。尿たんぱく減少と腎機能障害の進行を抑える効果も認められています。また、免疫抑制剤を併用することで腎機能を保持に有効であるという報告もあります。

5.ステロイドパルス療法

上記のようなステロイド薬も有効なのですが、一般的に効果が出るまでに時間がかかるといわれています。

そこで、ステロイド薬を大量に点滴で注入する「ステロイドパルス療法」というものが適用されることがあります。ブドウ糖液250~500mlにステロイド(メチル・プレドニゾロン)500~1000mgを溶かし、1−2時間かけて点滴で身体に注入します。3日間投与を1クールとして、隔月で計3回施行することで、尿たんぱくを減少させ、腎機能の長期的に見た予後を改善させる効果が得られるという報告があります。

パルスは日本語にすると「衝撃」という意味があり、大量のステロイド薬を投与する療法は、”劇的な効果を得る” ところからパルス療法と呼ばれています。

ステロイド薬を多く使う、というと副作用が心配になりますが、実際には意外に副作用が少ないことが明らかになっています。

 

ステロイドを使うことでの副作用

IgA腎症に対してステロイド薬を投与することが有効であるとされており、上記でも紹介しました。またステロイドパルス療法では副作用が少ないと書きました。しかし、ステロイド薬を内服することは全く副作用がないかというと、そういうわけでもありません。ここでは、ステロイドを使うことで起こり得る副作用について記載していきます。

1.易感染症

ステロイド薬を使用することで異常な免疫反応を抑えることができるのですが、必要な免疫反応も一緒に抑えてしまうというデメリットがあります。必要な免疫反応を抑えてしまうことで、風邪などの感染症に罹患しやすくなります。

2.骨粗鬆症

ステロイド薬には、骨密度を減少させるという副作用があります。そのため、骨がもろくなりやすくなり、転倒することで骨折をしやすい状態になります。

3.高血糖

ステロイド薬を使用すると、糖の生成を促進させる働きがあるため、血糖値が高くなりやすいです。

4.消化性潰瘍

粘膜の免疫機能も低下するため、消化性潰瘍ができやすい状態になってしまいます。

5.血栓症

血液の凝固作用が促進され、血管が詰まりやすく脳梗塞などを起こしやすい状態になります。

6.精神症状

抑うつ状態や不眠症などの症状がみられる場合があります。

7.ムーンフェイス(満月様顔貌)

ステロイド薬を使用することで、食欲が増進し、さらに、脂肪の代謝が悪くなることで太りやすくなります。満月のような丸い顔になることが特徴です。

 

IgA腎症の現在最も有効とされている治療

扁桃腺摘出術+ステロイドパルス療法

上記で紹介したステロイドパルス療法に加え、扁桃腺などで感染を起こすことで、異常なIgAが産生されると考えられているため、その原因となる扁桃腺を除去するという日本独自の治療方法です。日本では、臨床的効果が期待できるとしてこの治療方法がスタンダードになろうとしています。この方法で、比較的早期のIgA腎症では高確率で血尿やたんぱく尿を消失させることができます。

しかし、すでに腎機能が著しく低下した患者では、血尿や蛋白尿の消失させる可能性は低いとされていることが難点です。また、ステロイドパルス療法と扁桃腺摘出術を行うことが、ステロイドパルス療法の単独に比べて、効果的であるという報告もありますが、はっきりとした結論は出ていない現状です。

この治療の有効性について早急に根拠ある報告があがれば、世界でも有用な治療方法として広まるかもしれません。

 

 

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