咳が止まらない!自分で対処したいけど病院に行った方がいい?

tag / / / / / / /
[投稿日] '16/10/10 [最終更新日] '18/03/18 499views
咳が止まらない!自分で対処したいけど病院に行った方がいい?

咳が止まらない

咳がでても「かぜのせいかな?」、「咳ぐらいで病院に行く必要もないだろう」と考えてしまいますね。咳は多くの人が経験する比較的、身近な症状です。また、咳の程度も多くは1、2回、たとえ4、5回続けてでるような咳でも、1~2週間すればおさまるので病院に行くことは少ないでしょう。

しかし、中には8週間以上、咳が止まらないといったこともあり、酸素吸入や肺の手術などが必要になることもあります。咳は医学的には咳嗽(がいそう)といいますが、咳がでる病気は実に数十種類といわれ、咳の回数も咳が止まらない期間もさまざまです。

咳が止まらないときに原因を安易に決めつけて適切な対処をしないでいると、病気が重症化することもあります。重症化を防ぐには咳の原因はなにか、病院で治療を受ける必要があるかどうかを早期に確認し、適切な対処をすることが大切です。

 

そもそも咳はなぜでるのか

咳は病気の症状として現れるほかに、喉や気管などの気道を守るための「防御反応」として大切な役割を果たしています。

生体防御機能によって起こる咳

防御反応というのは気道内に入ったゴミやほこり、煙、細菌などの異物を感知して異物を除去するために働く「生体防御機能」によって生じる反応です。たとえば、食物が気管に入りそうになったときやほこりっぽい場所に行くとは咳がでますよね。咳は喉や気管を刺激した異物に対して、正常な状態を保つために反射的に起こる防衛反応です。この反射は咳反射(咳嗽反射)と呼ばれています。

また、気道に異物が入ると、気管支や喉などの粘膜からでる粘液が異物を捕まえ、粘膜表面の細かい毛(線毛)が異物を排出するために線毛運動を繰り返して異物を送り出します。運動会の大玉送りに例えられる線毛運動は毎分0.5~1cmほどの速さで異物を運び、運ばれた異物を体外に排出するのが咳の役割です。

気道を正常に保つしくみは咳だけではありません。鼻に異物が入り込んだときにでるくしゃみも重要な防御反応です。さらに、鼻の中に分泌される粘液と線毛も異物の排除に役立っています。

咳にも種類があります

咳はどのくらい長く続いているかという持続期間によって3つに分類されています。咳が止まらない期間が3週間以内であれば「急性」の咳で、3~8週間未満は「遷延性」といい、「慢性」というときは8週間以上続く咳です。

また、咳のほかに痰(たん)がでるかどうかで分けることもできます。痰を伴う「湿性」の咳と痰がでない「乾性」の咳があり、乾性の咳はいわゆる「乾いた咳」、「空咳」のことです。乾性の場合はほとんどが痰のでない咳ですが、粘り気のある痰が少量でることもあります。

咳に伴う痰はだした方がよい

痰は、気道の粘膜から分泌される気道分泌物に細菌やウイルスなどが混じったものです。健康状態がよければ気道分泌物はそれほど多くないので知らぬ間に飲み込んでしまいます。

しかし、分泌する量が多くなったり、粘り気が強くなったりすると飲み込めなくなって痰として排出されるのです。特に、細菌やウイルスなどの感染症にかかったときは、痰の中に細菌などの死骸が含まれるため粘液性の高いネバネバした痰になります。咳は異物を体外に出す防衛反応で、しかも、ネバネバした痰には異物が多いので咳を無理に止めず、痰もだす方がよいといわれています。

血痰がでたときは原因の把握を

痰は粘液性だけでなく淡黄色や緑色などの膿性の痰もあり、泡立つような泡沫性のもの、さらさらした水っぽい漿液性のものなど痰の性状は多様です。また、血液が混じった痰を血痰(けったん)といいます。血痰は肺を流れる肺血管の一部が破れて気道内に血液が入り痰と混ざり合ったもので、多くは茶色や暗赤色です。

血痰がでる病気としては肺がんや肺結核、気管支拡張症などが考えられますが、歯肉や舌から出血した場合も血痰になることがあります。血痰の場合は、出血の原因を的確に知ることが重要です。

 

咳の原因としてはどういう病気が考えられるか

咳を症状の一つとする病気は数多くあります。咳はインフルエンザや肺結核などの感染症をはじめ、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)、また、肺がんや喉頭のアレルギーなどでもみられます。

咳が止まらない期間が3週間未満の場合

咳は、原因によって咳が止まらない期間(咳の持続期間)が異なるので、咳が止まらない期間から病気を予測することができます。咳が止まらない期間が3週間未満の急性咳嗽の多くは呼吸器系の感染症で、具体的にはかぜ症候群や急性肺炎、気管支喘息などです。また、心臓の働きが悪くなるうっ血性心不全やアレルギー性鼻炎などの場合にも咳がでることがあります。

咳が止まらない期間が3週間以上続く場合

3週間以上にわたって咳が止まらない場合も感染症による咳ということもありますが、咳の止まらない期間が長くなるほど感染症以外の病気が多くなります。特に、8週間以上、咳が止まらないときに考えられるのは咳喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺結核、肺がんなどの病気です。

咳喘息は本格的な喘息になる前の段階、あるいは初期症状といわれる状態でアレルギー体質の人に多く、冷たい空気などちょっとした刺激で発作的に咳がでます。また、咳は乾性の咳で一日の中では明け方にひどくなり、咳が数か月続き、長いと1年近く咳が止まらないこともあります。

近年、増加傾向にあるCOPDは慢性気管支炎と肺気腫を含むもので、日本人の死因として上位を占めるようになりました。特に、40歳以上の中高年ではおよそ1割にCOPDの可能性があるそうです。COPDになると炎症によって気管支が膨らんで空気の通り道が狭くなり、酸素を吸い込む肺胞も炎症で破れてしまうと呼吸がしにくくなります。COPDは長期の喫煙が大きく影響し、自分でタバコを吸うだけでなく、タバコを吸う人が周りにいるだけでも発症しやすいといわれる病気です。

 

咳がどれぐらいだと病院の受診が必要か

咳が止まらない場合、どんな状態になったら病院を受診する必要があるのでしょうか。

咳が止まらない期間や血痰の有無

2週間以上たっても咳が止まらないときは受診するとよいでしょう。また、痰を伴う咳の場合、血痰がでるときには出血の原因を病院で調べてもらうことをおすすめします。市販の咳止めを飲んでいるのに咳が止まらない場合も医師に診てもらいましょう。

生活への影響や体力の消耗が大きい

咳が止まらない状態が続くと夜、眠れない、集中力が続かないなど日常生活や社会生活への影響も大きくなります。咳のために睡眠不足で疲れが取れない、咳が止まらないので息苦しくてつらいというときは体力も消耗していることでしょう。

1回の咳で消費されるカロリーは約2キロカロリー。1分間にたった2回の咳でも4時間も続けばおよそ1,000キロカロリーになります。高齢者は自覚症状がはっきりせず、自分から言わないこともあるので特に注意が必要です。早めに病院に行きましょう。

周囲への影響が心配されるとき

お子さんやお年寄りなど抵抗力の低い人と一緒に暮らしている人は、家族への影響を考えて早期に病院で診てもらう方が安全です。また、人と接する仕事に就いている人も咳の原因を病院で早めに特定してもらい、自分が感染源にならないようにしましょう。

 

咳を調べるのにどういう検査をするか

病院では医師による問診で咳が止まらない期間がどのくらいか、どんなときに咳がでるか、また、咳以外に気になる症状やこれまでにかかった病気などを確認します。さらに、聴診器で呼吸音を調べ(聴診)、咳のほかに現れている症状に基づいて痰の検査などいくつかの検査を組み合わせるのが一般的です。

咳が止まらない期間が3週間未満の場合

呼吸器系の感染症が考えられるため、胸部のレントゲン撮影や血液検査を行います。急性の咳に限らず、胸部のレントゲンは咳の原因を知る上で重要な検査です。また、血液検査では白血球数や炎症によって数値が上昇するCRP値などから感染症の有無などを知ることができます。

咳が止まらない期間が3週間以上続く咳の場合

レントゲンや血液検査のほかに、肺活量などの肺機能検査やCTスキャン(コンピュータ断層撮影)、痰がでる場合は痰の検査や気管支の内視鏡検査などを行うのが一般的です。また、咳がでるのは呼吸器の病気だけではなく、胃液の逆流で胸やけなどが起こる逆流性食道炎でも乾いた咳が長く続くこともあるので胃カメラなどを行うこともあります。

咳 止まらない 対処法

自分でできる咳の対処法

咳が止まらないときに自分で対処するにはどんな方法があるのでしょうか。

喉の乾燥を防ぐ

あなたの部屋に湿度計はありますか。室内で快適に過ごせる湿度は40~60%といわれています。しかし、冬場など乾燥しやすい季節になると湿度は20%台に下がってしまうことも少なくありません。

喉が乾燥すると咳がでやすい状態になります。気道の粘膜も線毛も乾燥した状態ではうまく機能しないので、湿度を適切に保つことが重要です。加湿器を使う方法もありますが、わざわざ用意しなくても濡れたタオルを部屋にかけておくだけでよいでしょう。

また、鼻と口をしっかり包み込める大きめのマスクをすると吐いた息で喉を潤すことができます。もし、マスクをしていると耳が痛くなるという人は、耳の負担を軽くした就寝用のマスクを試してみましょう。

食べもので咳を鎮める

咳 止まらない はちみつ

大根、玉ねぎ、ハチミツは咳を鎮めてくれる食品として古くから知られています。大根や玉ねぎには独特の辛みがありますが、この辛みは「硫化アリル」という成分で殺菌作用や炎症を抑える作用があるので咳を少なくし、喉の痛みを和らげるにも効果的です。玉ねぎは食べるだけでなく、皮をむいて二つに切り、枕元に置くだけで効果があるといいます。

また、ハチミツには呼吸器系の病気を引き起こす細菌の増殖を抑える抗菌作用があり、傷の治りをよくし、粘膜の保護にも役立つそうです。ハチミツは咳が止まらないときだけでなく、喉の痛みにもうまく利用するとよいでしょう。

寝るときに注意したいこと

咳はうとうとと寝つく頃にではじめて眠れないこともあるでしょう。睡眠時は自律神経のうち副交感神経という睡眠中やリラックスしたときに働く神経の影響で気管支が収縮し、咳が多くなります。

また、仰向けの姿勢も咳を増やす要因の一つです。咳が止まらないときは横向きになると肺や気道の圧迫が少なくなり、呼吸が楽になるでしょう。もし、仰向けで寝たい人は背中を少し高くすると呼吸の際に動く横隔膜の位置が下がり、肺を拡げやすくなります。上半身を少し起こすと心臓に戻る血液(静脈血)が減少するといったことも肺の負担を少なくしてくれます。

上半身を挙げるには背中に薄いクッションや薄い毛布、バスタオルなどを当てるとよいでしょう。楽に感じる姿勢は人によって違うので、自分に合う高さを工夫することがポイントです。また、衣類で体を締めつけたり、布団などの寝具が重かったり、体を圧迫する要因に気を配りましょう。

喉などを温める

冷たいものを飲んだり、食べたりすると喉に刺激になり、また、首回りが冷えることで咳が増えるといわれています。寒さは気管を収縮させ、線毛の動きを悪くするので寒さ対策は重要です。

水分を摂るときは冷たいものよりも常温のもの、できれば温かいものにしましょう。お湯にハチミツを混ぜてレモンを浮かべれば、喉にやさしい飲み物が簡単にできます。

市販の薬を服用する

咳が止まらないというときには痰がでたり、熱がでたり、さまざまな症状を伴うことがあります。市販のせき止めを飲む場合には薬剤師に自分の症状を伝えて助言を受けて適切な薬を選びましょう。また、市販の薬を飲んでも咳が止まらないときは、そのままにせず病院で診てもらうことをおすすめします。

 

咳がでないようにするには

うがいの習慣で喉の乾燥を防ぐ

喉の乾燥を防ぐには「こまめなうがい」を習慣にしましょう。また、マスクの着用や水分の補給を心がけ、喉の渇きを感じる前に対処しましょう。痰がでる人は、水分不足になると粘り気が強くなって痰がでにくくなります。うがいと水分補給を心がけましょう。

部屋を掃除して原因を除去

ほこりやダニの死骸などが原因で咳が止まらないということもあります。こまめに掃除してほこりを除去したり、換気をして空気をきれいにしたり、咳を発生させる原因を少なくしましょう。

咳 止まらない 掃除

喉の刺激を少なくする

喉に刺激を与えないようにするには「~すぎる」に気をつけましょう。冷たすぎる、熱すぎる、また、辛すぎるといった飲食物を控えることが大切です。タバコの吸いすぎも喉の刺激になるだけでなく、COPDや肺がんのリスクを高めるので注意しましょう。

咳によい食品を積極的に摂る

咳が止まらないときは喉によい食品を意識して摂りしましょう。さきほどご紹介した大根や玉ねぎ、ハチミツのほかに、生姜やしいたけなどの野菜もおすすめです。ハチミツはそのままなめたり、パンに塗ったり、手軽に使えます。さらに、大根を一夜漬けにしたハチミツ大根など咳によい食品を組み合わせて使うとよいでしょう。

ストレスによる影響を少なく

ストレスの状態になると免疫力が下がり、感染症にかかりやすくなります。また、咳喘息を誘発することもあり、心因性の咳嗽を引き起こすことも少なくありません。心因性の咳は何かに集中しているときや睡眠中にはでないという特徴があり、時も場所も構わずに咳がでてしまう他の病気とは異なります。
咳は数多くの病気によって起こる症状です。咳が止まらないときには病院で診てもらうとよいでしょう。

 

 

名医検索サイトクリンタル
名医検索サイトクリンタルでは日本全国の約30万人の医師から厳選された名医だけを掲載しております。手術数や外来の待ち時間など、受診する名医を決めるために必要な詳細情報を掲載しておりますので、受診先を検討される際の参考にしてください。

「どの名医に治療をお願いすればよいのかわからない!」とお悩みの方には、クリンタルの名医紹介サービスをお勧めしています。クリンタルが独自に厳選した「3,500人の有数の専門医」「35,000人の街の名医」の中から、あなたの病気/症状やご希望を考慮して、クリンタルの医師が最適な名医をご紹介します

クリンタルの名医紹介サービス