100人に1人、赤ちゃんの心臓の病気、先天性心疾患を学ぼう

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100人に1人、赤ちゃんの心臓の病気、先天性心疾患を学ぼう

先天性心疾患の概要

先天性心疾患というのは、赤ちゃんが生まれた段階で心臓に何かしらの疾患があることを指します。

平成26年の厚生労働省による患者調査傷病分類編では約3,000人の子供の発症が報告されており、割合で言うと全新生児のおよそ1%前後となっています。つまり生まれてくる赤ちゃん100人に対し1人の割合で発症しており、生まれつきの病気では頻度の高いものになります。

先天性心疾患ということが判明すると、小児心臓外科という子供の心臓の疾患を専門で診る診療科で治療を行うことになります。子供の心臓は大人と違い小さいですし、体力自体も少ないため高い専門性が必要になります。治療をお願いする場合にはぜひ名医にお願いしたいところです。

 

先天性心疾患の症状

そもそも妊娠中の超音波検査で心臓の疾患が判明することも多いですが、もちろんそこで気付かれずに出産後に気付かれる場合もあります。症状としては、疾患の種類により異なりますが、出生時より顔色が悪く、啼くと唇や爪先あるいは全身が真っ青になる、呼吸の数も多く、汗をよくかくなどの症状がおきたりします。また、ミルクの飲みがあまりよくなく、体重の増加も芳しくないなどもあります。

これらの症状を放置してしまうと、発育が遅れる可能性があります。また、出生時は無症状の場合でも、成長するにつれて疲れやすくなり、走ったりすると血色が悪くなったり、息がしづらくなってくる場合もあり、やがて日常生活にも支障をきたし、場合によっては命に関わる危険性をともないます。中には出生後すぐに死に至るほど重症な場合もあります。

先天性心疾患 心臓血管外科 小児外科

先天性心臓疾患の原因

先天性心疾患の分類

先天性心臓疾患は、受精後母親の胎内でいろいろな臓器がつくられていく過程で、心臓や心臓に密接にかかわる血管のかたちに異常がおきる病気です。そのため、胎盤を通じ母親の力を借りて育っていた環境から、出生して自分の力で呼吸や循環を行って行く際に異常が生じ、その心臓疾患を総称して先天性心臓疾患といいます。先天性心臓疾患のうち、約56.6%が心室中隔欠損症、9.6%が肺動脈狭窄症、5.3%が心房中隔欠損症、4.5%がファロー四徴症となっています。今回はこの主な4つの先天性心疾患について説明して行きます。

心臓には心房と心室という4つの部屋があります。下の左右の部屋は心室と呼ばれており、心臓から血液が送られるポンプの役割を担っています。この心室に穴があく病気を心室中隔欠損症(VSD)といいます。

一方、上の心房と呼ばれる部屋に穴があく病気が心房中核欠損症(ASD)です。通常、乳幼児期はほとんど症状がありませんが、30-40代以降心不全が出現します。

また、血管が細くなり心臓から肺へ十分な血液を送ることができず心臓に負担がかかってしまう病気を肺動脈狭窄症(PS)といいます。軽症の場合は無性状もしくは運動時苦しくなる程度ですが、重症の場合は出生時より心不全を認め死に至る場合もあります。

このうち、前に述べた、①心室中隔欠損症、②肺動脈狭窄症に加え、③全身へきれいな血液を送る大動脈が左側の心室だけでなく右側にもまたがる大動脈騎乗、④右側の心室が大きくなる右室肥大の4つの疾患を併発した状態を総称してファロー四徴症(TOF)と呼びます。この疾患は生後無酸素発作が起きたり、血色が悪くなり、幼児期では激しい運動ができなくなります。

先天性心疾患の根本原因

先天性心疾患がそれぞれどういった原因で発症するのかは、詳細にはわかっているわけではありません。

心臓は赤ちゃんがお母さんのお腹にいる間に、約30日間もの期間と複雑な過程を経てつくられていきます。赤ちゃんの遺伝子になんらかの異常があると、心臓がきちんと形成されず、心臓疾患の原因となるといわれています。また、妊娠中の喫煙や飲酒、胎児に影響を及ぼす感染症や薬も病気の要因と考えられています。

先天性心疾患の進行

心房中隔欠損症や症状の軽い肺動脈狭窄症・心室中隔欠損症は、幼少時は無性状もしくは運動時苦しくなる程度ですが、30-40代以降心不全と呼ばれる心臓の機能が低下する病気が出現することがあります。心室中隔欠損症においては穴が小さい場合は成長に伴い、自然に穴が塞がる場合みられます。しかしながら、重症の肺動脈狭窄症や心室中隔欠損症は生後徐々に心不全を併発し、ファロー四徴症では生後より無酸素発作や、血色が悪くなり、同様に心不全を併発し、幼児期では激しい運動ができなくなり、死に至ります。

 

先天性心疾患の治療法

疾患により治療法が異なるため今回は前に述べた主な先天性心疾患について述べます。また、いくつかの先天性心疾患を併発している場合もあり、その場合は児の疾患の状態に合わせた治療が行われます。

心室中隔欠損症

心室の穴が小さく、経過を診ていき自然に閉じる場合もあります。しかし、穴が大きく心臓に負担がかかる場合、利尿剤や強心剤で心臓を助け、あいている穴を塞ぐ手術を行います。手術は心臓を止めて、人工心肺という機械を使いながらパッチという人口のあて布を穴に縫い付けます。体への負担は大きく、感染や不整脈などいくつかのリスクがあり1週間以上の入院が必要になりますが、根治できる一般的な手術です。

心房中隔欠損症

心房中核欠損症は軽症であれば無治療のことがほとんどです。中程度〜重度の場合は穴をふさぐ手術が必要になります。開胸して直接穴を縫ったり、穴を覆う手術か、もしくはカテーテルを使用して穴を防ぐ方法があります。手術は胸に傷ができ、感染や麻酔による負担等危険性もありますが、臨機応変に最適な方法を選択でき予後も良好です。カテーテル治療は身体への負担は少なく簡易ですが、血栓症や不整脈を起こす可能性もあり誰でも受けられる訳ではなく医師が判断を行います。

肺動脈狭窄症

肺動脈狭窄症では死亡率が低く、合併症の少ないカテーテル治療が第一選択となります。カテーテルでは血流を良くするために肺動脈の狭くなっている部分を拡げ、バルーンと呼ばれる人口の風船のようなものでふくらませます。この治療がうまく行かなかった場合や、カテーテルでは治療ができないタイプの場合は形を整える手術を行います。

ファロー四徴症

ファロー四徴症の場合は、β遮断薬という薬で悪化を予防し、症状に合わせて利尿剤や強心剤で心臓を助け、手術を行います。

手術は状態により1回で根治する場合と2段階に分けて行われる場合があります。生後すぐに暫定的な処置として姑息手術を行い、1歳前後で根治手術をおこないます。(姑息手術とは疾病の完治を目指すのではなく、症状の緩和を主眼において行う手術のことです。)

姑息手術はBTシャント術と言われ、細い肺動脈を助けるため人工血管をつくり血流を助けるバイパス手術を行います。一方の根治手術は心内修復術と言われ、人工心肺を用いて心室の穴を閉じ、狭くなっている肺動脈の流れを良くする手術を行います。どちらも人工心肺を用いて行われ、体の負担は大きく、出血具合によっては輸血が必要な場合もあります。また、手術後すぐに元気に動き回れるわけではなく、心臓を助ける薬物治療や定期受診が必要です。以前は治らない、もしくは生命に危険が及ぶ可能性が非常に高かった病気のひとつでしたが、近年は手術の成功例も高く、助かるケースが増加してきています。

 

先天性心疾患の最新治療

先天性心疾患は医療の発展により出生前に診断がつくようになってきています。現在は重症の場合、出生後すぐに手術などの治療ができるよう高度医療機関にて出産前に準備を整えるという体制が組まれます。

海外では胎児期での治療が提唱されていますが、高度な技術が必要であり、また母体へのリスクもあるため課題はいくつもみられますが、出生後の児の負担は軽減されるため今後の発展に期待がもたれています。

 

 

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