これを片目でみて、ゆがんで見える人は加齢黄斑変性かも…!

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これを片目でみて、ゆがんで見える人は加齢黄斑変性かも…!

加齢黄斑変性は、加齢によって、眼の網膜の中心にある「黄斑」と呼ばれる部分に障害が生じ、視力の低下を著しく引き起こす病気です。日本ではあまり知られていませんが、欧米では失明原因の第1位で珍しくない病気です。今回のコラムでは、この加齢黄斑変性について紹介します。

 

加齢黄斑変性の概要

欧米では加齢黄斑変性が失明原因の第1位と書きましたが、最近では日本でも生活スタイルの欧米化や高齢化に伴い、失明原因の第4位になるほど増加がみられています。50歳以上の人の1%にみられ、高齢になるほど多い割合になると考えられています。

失明原因の第1位だけあって、アメリカでは、2010年時点で患者数は約1,000万人となっています。非常に多いですね。日本ではまだそこまで多くはありませんが、2007年に約69万人という報告がなされています。

 

加齢黄斑変性の症状

加齢黄斑変性の症状は大きく3つに分けられます。

一つは、視界の中心部が歪むことです(変視症)。これは目に見えている物の中心だけ歪む症状ですが、その周りは正しく見えます。

二つ目は、真ん中が陥没したように見えなくなり(中心暗点)、また著しく視力が低下します。視力は治療しなければ0.1以下になります。

三つ目は、症状が進むと徐々に色がわからなくなってきます。

上のような症状は、片側だけの場合は、両眼でみていたために、最初気がつかないことがあります。また程度の差はあれ、両眼で発症していることがあり、その場合には運伝免許の更新や読書など以外にも、食事など日常生活に支障をきたすようになります。

 

加齢黄斑変性の原因

「黄斑」とは何か?

加齢黄斑変性 眼科

眼球は大変性能の高いカメラのような役割をしています。人は何かをみるとき、光を眼球の中に取り込み、その情報を脳に送ります。細かい仕組みを説明すると、目に入ってきた光は角膜からカメラのレンズの役割を果たす水晶体を通って屈折され、眼球の奥にあるカメラのフィルムの役割を果たす網膜に到達し、網膜で光が電気信号に変換されて脳に伝達され、私たちは物が「見える」と感じるのです。

黄斑は、その網膜の中心にある直径1.5mm~2.0mm程度の小さな部分のことを指します。キサントフィルという黄色の色素が集まっているため、黄色をしています。この黄斑の中心を「中心窩」と呼び、この部分に高密度で色彩を感じる視細胞が集中しています。網膜とカメラのフィルムとで異なる点は、カメラのフィルムは、フィルムどの部分でも同様によく写ることができますが、網膜では、正常であってもこの黄斑の以外の部分ははっきりと「みる」ことはできません。そのため、他の部分が正常であっても、黄斑が障害されるだけで、視力が著しく低下し、運転が困難となり、文字を読むことなども難しくなります。また、黄斑のある網膜の下部には「網膜性色素上皮細胞」とよばれる層になっている細胞があり、その下には「脈絡膜」とよばれる血管がたくさんある組織があります。網膜が正しく働き、正常な視力を得るためには、この2つの細胞がしっかりと働く必要があります。

加齢黄斑変性の原因:滲出型と萎縮型

加齢黄斑変性はその名の通り、加齢に伴って発症する病気です。加齢とともに、網膜色素上皮の下に、老廃物が蓄積されていきます。これにより直接、あるいは間接的に黄斑部が障害されるのが加齢黄斑変性です。加齢黄斑変性には、滲出型と萎縮型の2つがあります。症状は同様ですが、発症の経緯が異なります。

滲出型の加齢黄斑変性は、網膜性色素上皮細胞が老化に伴う様々な原因で障害されることにより、脈絡膜との間に、新しい血管が作られますが(新生血管)、これら血管は破れやすく、出血や血液の漏えいが起こり、黄斑にダメージを与え、網膜の腫れを引き起こし、網膜下に液体を貯めてしまいます。これらの障害によって、網膜が正しく働かなくなり、視力が低下します。

一方、萎縮型の加齢黄斑変性は、黄斑の組織が徐々に萎縮していき、網膜が徐々に障害され、視力が少しずつ低下していきます。萎縮型と滲出型を比べると、滲出型の方が症状の進行が早く、視力悪化も重症なことが多くみられます。また日本では、滲出型の方が多いという報告があります。

加齢黄斑変性を悪化させる原因

加齢の他、喫煙、高血圧、遺伝子要因、酸化ストレスなどがあげられます。喫煙は、非喫煙者に比べると、加齢黄斑変性になりやすいという報告もされています。また強い太陽光も網膜に有毒物質が貯まりやすいという報告がされているため、サングラスなどで紫外線とブルーライトから目を守ることも必要です。

 

加齢黄斑変性の検査

視力検査、アムスラー検査、眼底検査、造影検査、などがあります。

視力検査

他の視力検査と同様に視力を測定します。加齢黄斑変性では視力が低下しています。加齢黄斑変性特有の検査ではなく、著しい視力の低下が起きたことで、何らかの疾患を疑い、追加の検査の結果で加齢黄斑変性が判明する場合があります。

アムスラー検査

家庭でもできる簡単な検査で、方眼紙を片眼でみて歪みがないか確認します。大事なのは片目でみることです。両目でみてしまうと、どちらかに異常があったとしても正常な目のおかげで歪んでいないように見えてしまう場合があります。

眼底検査

網膜の状態が詳しくわかります。黄斑部に網膜下出血がみられ、むくみや網膜剥離がみられます。その他新生血管などの状態も調べます。

造影検査

静脈から造影剤を注入し新生血管などの状態を詳しく捉えます。

 

加齢黄斑変性の治療法

滲出型の加齢黄斑性は、いくつかの治療法がありますが、これらは視力を完全に回復し、正常にさせるものではありません。治療の目的は、新生血管の拡大を抑え、縮め、視力を維持、改善させることです。また、萎縮型の加齢黄斑変性には、現在、治療法がありません。

滲出型の加齢黄斑性病変の治療の種類は、主に抗血管新生薬、光戦力学的療法、レーザー光凝固術、サプリメントなどがあります。

抗血管新生薬

抗血管新生薬は、抗VEGF薬とよばれる新生血管を沈静化させる薬を目の中(硝子体内)に注射することが一般的です。初めは1ヶ月ごとに3回注射を行い、その後は定期的に診察を行い、新生血管がまた活動していれば、再度注射を行います。また光線力学的療法と組み合わせることもあります。新生血管の発育が止まるため、視機能が維持されるだけでなく、視力が回復することも珍しくありません。治療後に一時的に眼圧が高くなるため、緑内障をもっている患者さんには慎重に行います。また脳梗塞や心筋梗塞の既往歴がある方にも慎重に行います。入院の必要はなく、日帰りで行えます。副作用は、一過性の高眼圧、結膜下出血などの他、ごくまれに眼内炎が起こることがあり、その際はすぐに受診する必要があります。

光線力学的療法(PDT)

光線力学的療法は、光に反応する薬を体内に注射し、それが新生血管に到達した時に弱いレーザーを照射して新生血管を破壊します。治療を行う前に、造影検査を行い、脈絡膜新生血管をはじめ、病変を確認して病変に合わせて、レーザーの照射範囲を測定します。まれに眼底出血により視力の低下がみられます。また、治療後48時間以内に光にあたると、光過敏症などの合併症が起こることがあり注意が必要です。また、治療のためには専用のレーザーを所有している眼科PDT認定医を受診するのが望ましいでしょう。

レーザー光凝固術

レーザー光凝固術は新生血管をレーザーで照射して焼いてしまい、新生血管を破壊して黄斑へのダメージを食い止める外科的治療です。この術式の場合、病変が黄斑から離れた場所であれば、行うことができますが、病変が黄斑に及んでいる場合は、黄斑をレーザーで焼いてしまうわけにはいきませんので、通常は行いません。

サプリメントと食事

ビタミンC、ビタミンE、βカロチン、亜鉛などを含んだサプリメントは加齢黄斑変性に効果があると知られています。これは発症が少なくなるというもので、完全に抑えることはできません。しかし、進行予防という観点から、発症した人には内服が強く勧められています。またほうれん草など緑黄色野菜に含まれているルテインという成分の摂取量が少ないと、加齢黄斑変性を発症しやすいという関連性が指摘されています。普段の健康状態においても、バランスのとれた食生活が大切です。意識して緑黄色野菜を食べていきましょう。

 

加齢黄斑変性の最新治療

まだ研究途中ですが、いくつかの企業で、iPS細胞を利用した取り組みがなされています。滲出型加齢黄斑変性の患者さんの本人の皮膚細胞から、iPS細胞を作成し、それを網膜上皮細胞(RPE細胞)に変えて、RPEシートを作り、網膜の黄斑に移植すること視機能の低下を防止し、改善する新しい治療法があります。また滲出型加齢黄斑変性には、いくつかの治療法があるものの、萎縮型にはまだ決定的な治療法がだされていません。そのため、iPS細胞から分化させたRPE細胞を含んだ混濁液を作り、炎症による欠損箇所に混濁液を注入する方法の開発が進められています。いずれも薬事法の改正とともに、再生医療分野における新しい治療法の実現に向けて、環境の整備が始まっています。

 

 

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