胸部レントゲン検査(胸部X線検査)で異常な影がみられた時は….

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胸部レントゲン検査(胸部X線検査)で異常な影がみられた時は….

胸部レントゲン検査で異常な影がみられたら

職場の定期健康診断や人間ドックなどいろいろな機会に、胸部レントゲン検査(胸部X線検査)を受けた経験のある方は、大勢いらっしゃると思います。特に自覚症状もなかったので健康だと思っていたけれど、レントゲンを撮影してみたところ、なんらかの異常な影がうつっていると指摘されたら、心配ですよね。そこで、胸部レントゲン検査について、その特徴、目的、注意点、結果などについてまとめましたので、参考にしてください。

 

胸部レントゲン検査とは

胸のレントゲンを撮る検査のことを、正式には胸部レントゲン検査もしくは、胸部X線検査といいます。胸部レントゲン検査では、心臓・肺・気管・横隔膜・胃・十二指腸のあたりまで、検査することが出来ます。ただし、健康診断での検査対象となるのは、主に心臓と肺です。ここを中心とし、レントゲン写真に異常な影が認められないかどうかチェックをすることになります。

胸部レントゲン検査の方法

撮影の前にボタンやその他の金具のついていない服に着替えるか、もしくは上半身裸にならなければなりません。全く関係のないものが、レントゲン上に写り込んでしまうことを防ぐためです。そして、レントゲン照射装置とフィルムまたはプレートの間に立って、胸をフィルムまたはプレートに当てます。位置を合わせたのち、後ろ側からX線を照射して撮影します。撮影時間は、呼吸を整える時間を含めて数十秒ですから、非常に短時間のうちに済みます。

 

胸部レントゲン検査が原因で身体に異常をきたすことはほぼない

胸部レントゲン検査での被曝量

レントゲン写真を撮影するためには、X線を照射する必要があります。そのX線は放射線の一種です。

放射線の場合、検査によって被曝するのではないか、がんになったりするのではないかと不安に思われる方もおられると思いますが、胸部レントゲン写真を撮影するのに必要とされる放射線の照射量は、約0.05〜0.06mSvと非常に低いです。数値をみてもピンと来ないかもしれませんが、日本国内で一年間に受ける放射線の線量が平均で1.5mSv、東京からニューヨークを飛行機で往復した場合に受ける放射線の線量が約0.2mSvといわれています。

ですので、健康診断で胸部レントゲンを撮影する程度であれば、人体に悪影響を及ぼす可能性はほとんどないと考えられます。ただし、妊娠中もしくは妊娠の可能性があるといった場合は、お腹の中の赤ちゃんへの影響を考えて、事前に担当医に相談してください。

 

胸部レントゲン検査による異常の検出

胸部X線(胸部レントゲン検査)の撮影後は、撮影された胸部レントゲンを放射線科などの医師が確認し、心臓や肺、その他の臓器に異常な影がないか、あるとしたらその位置や大きさ、数はどうか、また、心臓や肺などの位置や形態に異常はないかもを調べます。病院によっては、コンピュータ処理により異常像を探すコンピュータシステムを有する施設もあり、異常な影を発見出来る確率が高まっています。

胸部レントゲン検査の異常はどう評価する?

胸部X線(胸部レントゲン検査)では、医師がレントゲン写真を見て、何も異常がなければ”正常”と診断されるわけですね。一方で、何か少しでも影が写っていれば、「異常所見あり・要再検査」と診断されます。

健康な方の場合、胸部レントゲン検査には心臓や肋骨は白色に、肺は黒色に写し出されます。例えばもし、肺になんらかの病気があれば、白い異常な影となってみえてきます。また同様に、心臓や大動脈についても何らかの異常な影があれば、レントゲンに濃淡の差として現れてきますから、こちらも発見することが出来ます。

胸部レントゲン 異常

 

胸部レントゲン検査の異常な影=病気ではない

胸部レントゲン検査を撮ったところ、異常な影が写っていたとして、ただちに病気と判断させるわけではありません。

まずは、以前の胸部レントゲンと比較することになります。以前のレントゲン写真と見比べてみて、異常な影が以前からのと同じ大きさや位置で変わりがない場合は、経過観察となることが多いです。もし、以前のレントゲンにはない新しい異常な影だったり、以前から認められていたけれど、大きくなってきている異常な影なら、追加で検査を行なわなければならないこともあります。

胸部レントゲン検査で異常な影が見つかり、要再検査となる確率

胸部レントゲンを行なったとして、仮に以前の写真にはない異常な影があったとします。とても不安になりますが、この場合、実際には60%程度しか本当の異常所見は存在しないと言われています。しかも、このうち治療が必要となるものは、5〜10%ほどと言われています。実はあまり多くないのです。

こうなるのには、理由があります。健康診断は、健康である人を対象に、病気がないかを探し出すために行なわれるものです。専門用語では、スクリーニングといいます。ですから、ちょっとした変化でも異常な影としてひろいあげてしまうので、異常と指摘されやすい傾向が生まれてしまうのです。

 

胸部レントゲン検査の異常からどんな病気がわかるの?

胸部X線(胸部レントゲン検査)では、心臓のサイズが大きくなっていないか(これを心肥大といいます)、大動脈とよばれる非常に太い動脈に瘤状の異常な影ができていないか(これを大動脈瘤といいます)、結核にかかっていないか、胸の形が変わったり、胸に異常な影ができたりしてはいないか、肺のレントゲン上の色は変わっていないかなど、心臓や肺の病気の有無がわかります。

胸部レントゲン検査でわかる病気:①心肥大

心肥大とは、通常と比べて心臓が拡大した状態のことをいいます。

心肥大には、生理的なものと病的なものとがあります。前者であれば問題ありません。ところが、後者であれば、心臓が過度に大きくなってしまいます。心臓が大きくなっている時には、心臓の壁が厚くなっているか、心臓の壁の厚さ自体は変わらずに拡大しているか、ということがおきてます。心臓が適切な大きさではなく、拡大した状態になると、血液を送り出すポンプとして適切な働きができなくなるため、心不全などを引き起こすようになります。

病的な心肥大を起こす原因としては、高血圧症や心臓弁膜症などがあります。

この心肥大ですが、初期の段階では、自覚症状に乏しく、なかなか気がつかないことが多いです。けれども胸部レントゲン上で、心臓の形が大きくなり、異常な影として認められます。健康診断の際に胸部レントゲンによるチェックを定期的に受けることにより、早い段階で心肥大を発見することができれば、原因となる高血圧症治療などで改善が図れます。外科手術に至らない段階で病状のコントロールする機会が得れられるので、胸部レントゲン撮影を受けることは非常に有意義と言えます。

胸部レントゲン検査でわかる病気:②大動脈瘤

大動脈瘤とは、大動脈とよばれる太い動脈にできた瘤(こぶ)のことをいいます。大動脈瘤には、腹部大動脈瘤とよばれるお腹にできるものもありますが、胸部レントゲンで見つかるものは、胸部大動脈瘤という胸にできるタイプの大動脈瘤です。

大動脈は、人体で一番太い動脈で、直径20〜30mmあります。大動脈瘤とは、これが正常の1.5倍以上に膨らんだ状態のことをいいます。膨らんだ部分の血管壁は非常にもろくなりますので、容易に破裂しやすくなります。もし大動脈瘤が破裂しますと、大量の出血を伴いますので、生命に関わる事態に発展します。

ところが、この大動脈瘤は、自覚症状に乏しいという特徴があります。症状が現れた時には、かなり大きくなってしまっているのが一般的です。大きくなってから気づくということは、非常にリスクが高いです。そんな自覚症状に乏しい大動脈瘤であっても、胸部レントゲンを撮影すれば、大動脈の異常な影として写ってきます。胸部レントゲンを定期的に行ない、なるべく早期に発見できるように努めましょう。

胸部レントゲン検査でわかる病気:③肺結核

肺結核は、昔から人々の間に広く蔓延し、不治の病と言われ、たくさんの人の命を奪ってきました。新撰組の沖田総司、海外ではショパンのように、歴史上の有名人にも結核で亡くなった人は大勢います。

そんな恐ろしい結核ですが、第二次世界大戦後の治療法の進歩により、過去の病気のように思われがちです。実はそうではありません。日本国内でも毎年新たに発病し、死亡に至る人がいますし、他の先進国と比べてもその数は多いです。発展途上国を中心に世界的にもまだまだ感染は拡大しており、人類の約3割がかかっているとも言われています。

肺結核の原因は、結核菌という細菌による感染です。現在では、結核菌の特定ができたことから、イソニアジド・リファンピシン・ストレプトマイシンという抗菌剤を用いた3剤併用療法という治療で完治が望める病気になりました。けれど、最近では、抗菌剤の効かない薬剤耐性結核菌が増加傾向にありますし、そもそも感染に気がついていなければ、知らない間に周囲の人に広めてしまっていることもある、油断すると恐ろしい病気には変わりがないのです。

そんな恐ろしい肺結核ですが、胸部レントゲンで見つけることができます。胸部レントゲン上では、肺に空洞がある等といった異常な影として写しだされます。定期的に胸の状態をレントゲンでチェックすることで、結核を早期に発見し、自分を守るだけでなく、周囲の人も結核から守るようにしましょう。

胸部レントゲン検査でわかる病気:④肺気腫

肺気腫とは、肺胞とよばれる肺の中にある空気を取り込むための小部屋が壊れてしまう病気のことです。

肺気腫の原因としては、タバコや加齢などが挙げられています。肺結核になると、咳やたん、息切れを起こしやすくなり、呼吸困難を起こすことで、チアノーゼという血液中の酸素不足の状態になります。

肺気腫の治療について、破壊された肺胞の修復治療は非常に困難です。そのため、基本的には対症療法といわれる、酸素吸入器を使ったりして呼吸困難などの自覚症状の改善を図り、栄養管理を行うことが中心となります。もちろん、禁煙は欠かせません。

肺気腫患者には、胸部レントゲン写真を撮影すれば、肺の血管が細くなっている、または肺が通常よりも広がっているなどの典型的な異常所見が認められます。肺気腫は、治療が非常に困難です。定期的に胸部レントゲンによるチェックを受けることにより、できるだけ軽い段階で発見するようにしましょう。

肺がんの初期は胸部レントゲン検査ではわかりにくい

ただし、肺がんについては、従来から早期発見の目的にて検査対象とされてきましたが、胸部レントゲン撮影だけでは、かなり病状が進んでからでないと発見することは厳しいともいわれています。一般に、20mm程度の大きさにならないと、レントゲン上に異常な影は写ってこないといわれています。ですから、胸部レントゲンだけに頼るのではなく、肺がんの早期発見を目指す場合は、胸部CT検査を受ける方がいいでしょう。

 

胸部レントゲン検査結果の異常な影の良し悪し

胸部レントゲンに写ってくる異常な影のすべてが問題となるわけではありません。中には、心配しなくてもいいタイプの影もあります。”胸膜肥厚””肺硬化巣”とよばれるものです。胸膜肥厚とは、胸膜とよばれる肺を覆っている膜の炎症が治った後に、残された痕のことです。胸膜の炎症が治る過程で胸膜が厚くなったために胸部レントゲンに写ってくるものです。肺硬化巣とは、過去に肺炎や肺結核などの肺の感染症にかかったことによる炎症の痕のことです。カルシウムが沈着した石灰化という状態をおこしてレントゲンに写ってくることがあります。

 

まとめ

健康診断で胸部レントゲン検査を受けると、自覚症状のないうちに心臓や肺の病気を見つけられることがあります。もちろん、胸部レントゲンだけで、すべての病気が見つかるわけではありません。けれども、検査を受けてみないことには、みつかるものもみつかりません。反対に、異常な影があったとして、それがすべて病気を意味するものでもありません。しかし、それは放置していいという意味ではありません。もし検査の結果、「異常所見あり・要再検査」となったら、指示に従い追加の検査を受けるようにしてください。

定期的に検査を受けて、なるべく早い段階で病気の発見を心がけ、必要に応じて生活習慣の改善や治療を受け、健康な生活を送りましょう。

参考:日本人間ドック学会 – 胸部X線

 

 

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